【忍者の見た世界と現代解釈:前編】生死を乗り越えた忍びたちの世界観

忍者の見ていた世界観について、忍術秘伝書 「万川集海 巻ノ三 正心第二」の内容を元に気づいたことを書きます。

忍者たちは、生死を伴う過酷な任務の中、恐怖を乗り越えて、生死への執着を離れた精神状態を手に入れるため禅の思想や陰陽五行などを独自解釈して身につけていました。

中には現代科学的には無理のある内容もある気がしましたが、解釈法を変えることで今を生きる私たちにも使えるかもしれないと気づきました。

では初めに、忍者の見た世界を忍術秘伝書 「万川集海 巻ノ三 正心第二」を元にざっと要約してみます。

忍者の見た世界

世界(宇宙)には「空」という概念があります。空は存在するけれども目には見えず、触ることもできないものです。

この空が理解できると「気」という一種のエネルギー、概念的な空に対して具体的な気の存在を認識できます。

気には「陰」と「陽」の2種類があり、陽は動的な気で、陰は静的な気です。陰陽の2つの気は輪のように循環する構造を持っていて、このエネルギー循環によって「五行」が生まれます。

「五行」はこの世界にあるすべてのもの、自然、動物、人、現象を構成している「木火土金水」の5大元素です。

この五行はお互いを生み出す「相生」、またお互いを滅ぼす「相剋」で繋がり、循環する構造を持っています。

五行の相生相剋によって自然が生まれ、1年の四季の流れができ、自然や動物、人に至るまですべてを生み出しています。

この陰陽の気の流れは、生まれては死にまた生まれます。陰陽の循環、空という概念は過去から現在、そして永遠の未来まで存在し続けています。

人や自然は死ぬと陽の状態から陰の性質に変わります。そして再び生まれ陽の性質になります。

つまり、生も死も「気」という状態としては一緒であり、性質が陰から陽に、陽から陰に変化しているだけです。

死ぬと「空」という概念に戻るだけであり、私たちはこの世界の流れに乗っ取っているだけなのです。

物質として存在するものばかりに囚われ、永遠の世界の構造(目に見えない空という概念)を知ろうとしない愚かな人は死を恐怖して生に執着してしまうのです。

読み解く手がかり

この忍者の見た世界を理解するには、物語の前提である「空」という概念を理解しなければなりません。

空を理解したら次に「気」という目に見えない具体物を理解する段階に入るのですが、日本語には気という字が入る単語が沢山あります。

空気、気合い、気配、気配り、元気などはどれも目に見えないものですよね?目には見えないけど存在していて、AからBに影響を与える一種のエネルギーのようなものが気のつく単語には多いです。

空→気と来たら、陰陽(気の循環)→五行(相生相剋)→万物の誕生と順番通りに理解を進めていけば問題なく理解できると思います。

ここから難しくなりますが、次に忍者の世界の時間軸の話になります。

陰陽の循環は過去から未来まで永遠に続いており、私たちはその中の一瞬を生きています。

自然の四季の流れを参考にするように、生まれては死んでいき再び生まれるのが時間軸で捉える陰陽の循環です。

そしてその中に私たち人も存在しており、生まれてきて死ねば、再び陰陽の循環によって生まれるのだと言っています。

生死という名前の始まりと終わりは本来なく、気の性質が陰陽に変化しているだけであり、万物は空という概念の中に存在しているだけという事です。

これを理解するのに重要なのは、人間のミクロ視点で世界を理解しようとしないことです。神のようなマクロ視点で全体を理解しようとすればだんだんわかってきます。

理解を深めるには感情を排除する必要があります。感情が入った状態では今現在にしか目が向かず、過去の歴史から広大な未来までを認識することができません。あくまで世界のプログラムとして認識しなければいけません。

ポイントをまとめると

<忍者の見た世界のポイント>
①前提となる「空」という概念を理解する。
②「気」を理解する。
③陰陽から五行までを順番通りに理解する。
④1年の四季の流れを理解する。
⑤過去から未来の時間軸を理解する。
⑥生死はなく、気の陰陽循環と空の概念のみ。

この物語が難解なのは。①から⑥までを正しく順番通りに話を進めていかなければ理解ができない構造になっているというのと、一つ一つの言葉の意味が抽象的で分かりづらく、理解するのに時間がかかるためです。

以上は忍者の見た世界を簡単にまとめ、それを読み解く手助けのコメントを書きました。

しかし、実際の忍者の見た世界を理解するには、万川集海の原本を読み、自分の中で思案して内容を咀嚼し、その世界(宇宙)構造を頭で理解して心で悟る必要があります。

より理解を深めたい方は万川集海原本を手にとってみて下さい。

後編について

後編では、忍者の見た世界の僕なりの解釈を書いていきます。現代人がどのように忍者の見た世界を認識し、生死の恐怖を乗り越えて、その先にある自由を手にすることができるのか?

お楽しみに

「【忍者の見た世界と現代解釈:後編】現代に生きる私たちの不安を乗り越える忍びの思考」はこちら↓
https://note.mu/kiyo_design/n/n4d55f12aed2a

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