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ヴィスコンティの夏

昨日は夏の思い出を回想するような投稿を多く見かけた。それはきっと太陽がまぶしかったから、などと軽く物騒なことを口走ってみる。

「異邦人」は小説を読んだし、ヴィスコンティの映画も観た。ヴィスコンティ監督、カミュ原作、マルチェロ・マストロヤンニとアンナ・カリーナが主演。なんとも豪華な布陣。マストロヤンニよりはアラン・ドロンとかヘルムート・バーガーの方が、、、なんてチラっと考えてしまうけどこの作品ならマストロヤンニも悪くない。一回だけしか観てないけど鮮烈な印象を残している。とんでもない再現力だと思った。ここまで原作小説の世界を違和感無く映像化した作品を他に知らない。なんでこれだけいつまで経っても日本で配給されないのだろう。

思えば「ベニスに死す」も夏を強く感じさせる映像だった。あれはもう僕にとってはビヨルン・アンドレセンのプロモーションビデオという程度の印象しかないけど、もう一度観てみたら印象変わるのかな。小説の方は途中で挫折した。

ヴィスコンティ作品では「若者のすべて」が一番好き。僕の人生を変えた映画でもある。何しろこの映画を観て、衝動的にその映画館のスタッフ募集に応募し、高倍率の難関を突破して採用され、実際に映写技師として働くことになったのだから。

夏の映写室は地獄だった。密室の中、高熱を発する映写機のそばから離れることができない。あらゆる設備がくたびれたオンボロミニシアターだったから空調の効きもイマイチだった。僕はそんな場所で三回も夏をやり過ごした。

久しぶりに映写機触ってみたいなあ。

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