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媚を売るな

媚びるのも媚びられるのも好きじゃない。媚びるという行為は、結局のところ相手を自分の都合の良いようにコントロールするための布石としか思えないからだ。だから僕は会社でも上司には媚びないし、媚を売ってくる若い奴とは距離を置く。だからいつまで経ってもウダツがあがらないって、やかましいわ。

しかしまたなんでそんなことを急に言いだしたのか。今日 iPhone のバッテリーを交換してきて、担当したスタッフのおっさんの対応が何だか全体的に不快だった。誰が見ても人が良さそうな顔をしているし、実際愛想はかなり良い方だと思う。この対応に腹を立てる客なんていないだろうなとは思う。でも何かが引っかかって笑顔で受け答えすることができなかった。

このおっさんはクレームを回避することしか頭に無いんじゃないか。そのために振りまいている愛想なんじゃないか。彼は相手のことなんか見ていない。自分のことしか考えていない。そんなふうに思えてならなかった。

僕の iPhone の壁紙は猫カフェで撮った猫の写真なのだけど、それを見ておっさんが言い放った言葉に背筋が凍る思いをした。

「このにゃんこちゃんはおうちで飼ってるにゃんこちゃんなんですか〜?」

は?お前が話しかけてるのはまあまあいかつい風貌でさっきから無表情を決め込んでる40代のおっさんやぞ。それは一体どういうトーンなんだよ。困惑するわ。

不快な気持ちは少しずつ、憐れみへと変わっていった。この人も好きでこんな接客をしてるわけじゃないのかもしれない。相手の雰囲気に合わせた会話なんてできない、ただただ不器用な人というだけで、それでも彼なりに導き出した処世術なのかもしれない。

とにかく早く終わらせたくて、終始淡白な対応で済ませて切り上げてきた。なんだか疲れてしまったよ。

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