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鑑賞編 絵を見よう!

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働く人びと

働く人びと

神戸市立小磯記念美術館にて開催中の「働く人びと」を見た。

「働く人びと」は、小磯良平生誕120年を記念した企画展示。小磯良平の大作「働く人びと」を中心に、小磯が生きた戦後日本から現代までの様々な美術家の作品を通してヒューマニズムを炙り出す試み。
同年代のアーティスト、乙うたろう氏が出品していることからこの展示を知った。

乙うたろう氏は、美術家にとって働くとは?というテーマの最終章で紹介されてい

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Painting Love

Painting Love

enartsで開催しているグループ展を見てきました。

展覧会詳細

京都市立芸術大学出身の画家5名の作品が展示されています。
皆さん僕の先輩にあたる方々で、年代的に一回り上、80年代生まれの作家になります。

高校生の頃、京芸の卒展で、関口正浩さん、松田啓佑さんの作品に初めて出会いました。
たしか学内展だったと思う。関口さんはカラフルな油絵の具の塗膜をコラージュしたような作品で、松田さんは激しい

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「キャラクター絵画について」について

「キャラクター絵画について」について

パープルームギャラリーでの企画展「キャラクター絵画について」を見てきました。

(その日は弾丸アートツアーが敢行され、国立近代美術館ゲルハルト・リヒター展、タカイシイギャラリー梅津庸一個展、六本木アートナイトのドラえもん&カイカイキキギャラリーのドラえもん展、MA2ギャラリー元永定正×岩名泰岳コラボ展、そしてパープルームギャラリーへという、アートファンの濃縮された1日となっていたのであった!そして

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「キャラクター絵画」回顧録 番外編〜キャラ絵を描く意味〜

「キャラクター絵画」回顧録 番外編〜キャラ絵を描く意味〜

「キャラクター絵画」について僕なりにダラダラ書いたけれども、状況説明にスペースを割いてしまい、個人的な話をする余裕が無かったので、そういったことも書き足しておきたいと思う。

記事の中で、「キャラクター絵画」が孕む問題点として、僕は以下のことを挙げた。

キャラクターは多くの人々(あるいは特定のクラスタ)が知るイメージであり、そのイメージを引用すれば容易に広く多数の共感を集めることが出来た。
しか

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「キャラクター絵画」回顧録5

「キャラクター絵画」回顧録5

これで本当に終わり!

2010年頃に起きた「キャラクター絵画」ビッグバン?がやがて収束した後、その後の風景、新しい動向について、僕が気になるものを付け足しでお話して終わりにしたいと思います。

「パープルーム」は、アーティスト梅津庸一氏が主宰する相模原市を拠点とした美術家集団です。
僕は2015年?2016年頃?からしかウォッチしていないのだけれど、当初は「パープルーム予備校」として、梅津庸一氏

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「キャラクター絵画」回顧録4

「キャラクター絵画」回顧録4

最後に書き足し。
(終わらんかもしらんが。)

前回の記事では、2010年頃にSNSの発達を契機として一気に盛り上がったムーブメント、その最も大きな特徴とされた「キャラクター絵画」が孕んでいた問題を、僕なりの視点でお話しました。

キャラクターを描くことで、多くの人々と共鳴することが出来た反面、キャラクターはみんなのものであるが故に、作品のアイデンティティにはなり得ず、唯一無二のアートとして作品化

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「キャラクター絵画」回顧録3

「キャラクター絵画」回顧録3

現在「キャラクター絵画」と呼ばれているもの、その始まりから振り返るメモ。
長くなったけど、がんばって〆ます。
(これでもう終わりにしたい…)

約10年前、TwitterやpixivなどSNSの発達によって、インターネット上で出自を超えて無数の絵描きが交流を始め、作品を通じてコミュニティが無意識的に形成・拡大していった。
絵画・イラスト・オタク文化等の様々なジャンルを越境するユニークな制作が生まれ

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「キャラクター絵画」回顧録2

「キャラクター絵画」回顧録2

つづき。
(なんか長くなりそうな予感…)

今「キャラクター絵画」というジャンルが仮にあるとして、その背景を考えるには、2010年頃にSNSの整備をきっかけに起こった、オタク文化・イラスト・絵画・アートの領域横断的な活動を振り返る必要がある。

イラスト投稿コミュニティサイト「pixiv」の中で盛り上がったムーブメントは、やがてリアルの世界でも広がりを見せる。
いわゆる「オフ会」として、現実の場で

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「キャラクター絵画」回顧録1

「キャラクター絵画」回顧録1

「キャラクター絵画」というカテゴリーが存在するらしい。

なんそれ?

僕なりに、わかることから勝手な思い込みまでを書いてみようと思う。
(何となくあまり気が進まないけど…)

キャラクター絵画と言っても、現在その言葉だけからイメージしても範囲が広く曖昧すぎる。
ここ10年ほどの時代背景は最低でも押さえておく必要があると思う。

僕の知る限りでは、2010年頃からpixivユーザーを中心として、キ

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名もなきモノ

名もなきモノ

ここ最近考えていることを書き流してまとめていきます。

匿名性についての雑記から

アーティストがネット上で作品を発表することはごく普通、もはや当たり前になった。その時に何が問題になるのか、実は今まであまり意識出来ていなかったのだが、最近になってそれは「名前」だったのではないか、と考えられるようになった。

そう考えるようになったきっかけがある。
一つは、NFTやメタバースといったIT革新への興味

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元永定正との出会い

元永定正との出会い

立て続けに展覧会の感想を。

大阪のリヒター展に行く前に、兵庫県立美術館のミニマルアート展に行ったわけだが、そこで思いがけず元永定正の絵を見ることができた。

常設のワンコーナーで、元永定正の初期作品からニューヨークで発表されたと思われる垂らし込み作品、エアブラシによる作品までがまとまって展示されていた。実はあまり作品をよく知らなかったのだが、すべての作品に大変感銘を受けた。
初期作品を見ると、僕

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アートに集う人々 ベンジー/惑星ザムザ/Chim↑Pom

アートに集う人々 ベンジー/惑星ザムザ/Chim↑Pom

展示メモをもう少し書いてみたいな。

東京編。
ベンジーの個展、惑星ザムザ、Chim↑Pom@森美術館をハシゴした。
この三つを網羅したアートウォッチャーはおそらく僕だけではないか?
それぞれ全く違う作品だったのだが、作品が違えばそこに集まる人々も違っていたのが印象に残った。
作品に集う人々、そういった視点で振り返ってみたい。

ベンジーこと浅井健一さんの個展に伺うのは2回目で、前回は確か5年前く

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ミニマルアートとしてのゲルハルト・リヒター

ミニマルアートとしてのゲルハルト・リヒター

久しぶりに展覧会をいくつか見た。
一緒に見に行った弟が「展示はハシゴして見ると面白い」と言っていて、なるほどそうだとちょっとした知見を得た。
感想を書き留めておきたい。結構書くかも。もしかしたら記事が分かれるかも?

先日、友人に誘われてゲルハルト・リヒター展(エスパス ルイ・ヴィトン大阪)を見た。

リヒターは正直言って今興味がない。と言うより、否定的な見方すらしていた。

なぜなら絵に心を感じ

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Slow Culture

Slow Culture

ヒマだからブログでも書くか。 

京都市立芸術大学のギャラリー@KUAで先日開幕された展覧会に行ってきました。京芸出身の人たちを中心に若手作家を集めた絵画の特集展「Slow Culture」。よく知ってる作家もいれば、初めて見る方もいて、何よりそのセレクトがユニークで、告知が出た時から楽しみにしてた。だって最近楽しいことが全然ないんだもん。アートぐらいしか、面白い事ないんだもん。 

まぁそれはさ

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