FOUJITA

藤田嗣治の図録をお借りして食い入るように見てる。フランス、マイヨール美術館で行われている回顧展の図録。(日本にも巡回するらしいよ。絶対観に行こ。)

このカバー、おもろすぎん?

それはそうとして・・・うますぎる!

あの画面をスルスル這っていく、素晴らしくセクシーな線は、面相筆で描かれているらしい。なるほど面相筆なら可能。面相筆??油絵に面相筆??面相筆で、墨で描かれている。墨!?!??パニックになりますよね。しかしなるほど、墨の黒だからパリッと乾いている。確かに、フジタの自画像は、面相筆を持っている。そして筆先は黒く湿っている。

普通、油性の油絵に水性の墨は乗らない。ちょっと調べると、フジタは油性面の上にさらにタルク(ベビーパウダーみたいなもん?描画中のフジタの隣に、ベビーパウダーの缶が写っている!)を乗せて吸水性の下地を作ってから墨で描いていたらしい。かなり下地には拘っていた模様。油絵というのは線描には向かない。西欧は油彩、下地も板やカンバス。対して日本は紙に水で描くことができた。画材の違いが東西の絵を決定的に異なるものにした。油絵の上に無理やり墨で線描するという奇抜なやり方は、日本で、「西洋画」を志したフジタの彼なりのオリジナルなやり方だ。このやり方に到達するまで、どれほどの修練が必要だったのか・・・いわゆる「西洋画」の真似ごとをすることは簡単だ。しかし彼は決して紛い物は作らなかった。

実は今まであんまりフジタの絵を意識することはなかった。そもそも、絵に出会う機会があんまりなかったのかもしれない。もちろんフジタは超有名作家で市場価値が物凄くあるらしいというのは知っていたけれど。例えば、美術の教科書なんかにフジタの絵って載ってるのだろうか?いや多分乗ってるんだけど、あまり大きくない気がする。というより美術の教科書なんか誰も見てないか。美術教育は終わってる。図書館の画集は?僕は町の図書館でほとんどすべて美術を学んだ。フジタの画集、なかった気がするのだ。というのも、ウィキに戦争画を描いたことで戦後批判の対象となり日本を離れることを余儀なくされた経緯が載っており、「日本に捨てられた」とまで言ったフジタは、他の日本人画家と並んで画集として出版されることを拒んだとかなんとか。でも絵を見ると彼の画業は、あらゆる日本の画家の中で間違いなく突出している。

自分が恥ずかしい。全く何も自分の絵というものが描けていない。一枚も、まともな作品が作れていない。僕はいつまでも絵画ファンなのかもしれないな。絵に憧れて、美しい!と言っているだけで、眺めているだけの目玉二つ。笑。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?