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大阪のおうどんの今

私の実家は製麺所でしたから、休日の昼ごはん、風邪を引いた時、うどんすきの鍋・・など、とにかく、うどんをよく食べて育ってきました。うどんは、私にとってソウルフードと呼んでもよい食べ物です。丸めのもちっとした柔らかな麺、たっぷりのおダシに、おあげさんとかまぼこ、青ネギが入っているのが定番。写真はきつねうどん発祥の店と言われているマツバヤさんで撮ったものですが、まさにこれ。こんな感じでした。

讃岐に完敗!?

一般的に、“東京は蕎麦、大阪はうどん”と言われ、大阪にはうどん文化があるように思われます。しかし、本当にそうなのか?少なくとも私の周りでは、ラーメンを熱く語る人はいても、うどんを熱く語る人には会ったことがありません。あったとしても、四国の讃岐うどんめぐりの話だったり。さらに「うどんはやっぱりコシ。柔らかい関西風は今ひとつ」と、大阪のうどんを真っ向から否定する人も後を絶ちません。大阪の製麺組合は”大阪のおうどん“としてブランド化をがんばっているようですが、残念ながら浸透していませんね・・。

少し古い情報ですが、タウンページさんが発表された内容からも、香川県が圧倒的にうどん文化であることが窺えます。これはもう讃岐うどんに完敗している状況と言えます。

麺としてのうどん、料理としてのうどん

しかし、大阪のおうどんが好きな私としては、何となくこの戦いには違和感を覚えるのです(戦わせているのは私ですが)。ここで考えるべきは、”麺“という素材のうどんではなく、”料理“としてのうどんで勝負するのが正しい土俵ではないかと。というのも、大阪のうどんにはダシが欠かせません。讃岐のように麺だけで食べる慣習はないし、美味しいうどんの店に入ると、ダシの香りが店中に充満していて、親子丼や炊き込みご飯をセットにして食べることが多いのです。言うなれば、うどん文化というより、粉もん文化、ダシ文化の一つ。だから讃岐うどんと共生できる。大阪のおうどんと讃岐うどんは別物だと捉えるべきなのです。

昨年11月にこんな記事がでていました。梅田にあるルクア大阪には4店舗もうどん屋が入っているという話です。記事では、トラディショナルな大阪うどんの「美々卯」から、大阪発祥ながら讃岐風の強いコシのある麺をウリにする「極楽うどん」まで、色んなタイプのうどん店が入居しているが、それぞれジャンルが違うからいいのだ、という談話が紹介されています。まさに膝を打つ内容でした。

確かに、堺筋本町にオープンした「KONA×MIZU×SHIO(コナ ミズ シオ)」は、”うどんダイニング“というコンセプトを掲げるなど、新しいタイプのうどん屋が増えています。もう大阪か、讃岐か、きしめんか、など関係なくなってきているのです。

大阪のうどん文化は進化している

つまり、大阪のうどん文化は、今、讃岐うどんをも巻き取り、バリエーション豊かに昇華している。そんな風に言えるのではないかと思うのです。現在、タウンページに登録されている大阪市内のうどん店は578店。これに対して、ラーメン店は572店。拮抗しています。

これからもまだまだ増えそうな大阪のうどん店。大阪へ来ることがあれば、是非うどんを食べてみてください。

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