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【謝辞】ギロチナイゼーション 1582参考文献集

 歴史ものはこういうの書いとくとすげえ箔がつくらしい。作品そのものはこちらから。

『信長公記 ―戦国覇者の一級史料』 中央公論新社
『フロイスの見た戦国日本』中央公論新社

 自慢でないが本当に日本史がわからない。戦国時代も信長もさっぱり思い入れがない。お話を書いている最中は日本史の人物名を入れるとたいてい辞書に入っているので一発で変換され、非常に助かったが金輪際辞書から消えてくれてもかまわない。この前鎌倉まで遊びに行ったが、史跡に興味がないので温泉につかったり、名前のついてなさそうな小高い山に登ったりした。山はいつも僕に鳥のような広い視野と、上に登ったり、下に下がったりする充足感を感じさせてくれる。現代人は上に登るときはエレベーターや、エスカレーターを使うが、山ではそうはいかず、自分の足だけが頼りだ。本は、山に似ていると思う。上記の二冊は僕が戦国時代の風景を描くのに力を貸してくれた。中でも役立ったのは山崎の戦で明智方が敗れた際に京の町に明智の兵の首が大量に運び込まれさながら地獄絵図と化したという逸話だが、後で確認したらこれは上の二冊には載っておらず、どこで読んだか忘れた。

レチフ・ド・ブルトンヌ『パリの夜』岩波文庫

 日本史がさっぱりな代わりに世界史は割合好きで、この本は学生の頃に授業をそっちのけにして読んでいた。作家レチフが革命期のパリの様子を克明に描いた一種のルポで、前半は貧富の差の激しいパリの街の様子が比較的穏やかに描かれる(レチフと同時代を生きた稀代の変態サド侯爵をディスるくだりもある)が、後半は暴徒化した民衆が監獄を打ち壊して中にいた人々を片っ端から銃殺するわ、かつての権力者と見るや街頭に吊るすわで残虐行為のつるべ打ちで、ルポなので特に救いもなく終わる。仮にも作家の書いた読み物なのでちょっとは脚色とかを疑ってみるが、どうやらマジなので、読んだあとは時代のパワーに打ちのめされるほかない。

『プレデター』
『プレデター2』

 大筋を決めたときは特に意識しておらず、というかまだまともに見たことすらなかった(飛ばし飛ばしで見たことはあった)のだが、昨年9月にシリーズの新作『ザ・プレデター』が公開されたので、予習がてら両方とも見た。その後逆噴射小説大賞が開催されたので、それじゃトレーラー代わりに冒頭部分だけでも投稿しましょう、決めてなかった舞台はこの際戦国時代にしましょうという風に話を肉付けしていったのだが、その時点で何となくプレデターを意識した方が書きやすいことに気づき、そうした。これはつまりストーリーでなくイメージの面で影響を受けているということだ。

ベルリオーズ『幻想交響曲』

 革命期を生きたフランスの作曲家が書いた曲。屈強なストーリーがあり、自殺を試みて生死の境をさまよう若者が断頭台で首を落とされ、地獄じみた怪物たちの饗宴に参加する幻覚を見る。僕はこのタイトルを見ると全然関係ないリムスキーコルサコフの『シャヘラザード組曲』がメロディがパッと思い浮かぶ。頭の中でよくわからない紐づけがなされており、全然関係ないものの、僕はシャヘラザードの方がカッコよくて好きである。

『レーザーゴースト2 レーザー入り江の恐怖』

 カナダのインディーズ映像制作集団「アストロン6」が手掛けた実在しない映画のトレイラー映像。逆噴射小説大賞に参加する前に「パルプとは何か?」と自分に問いかけてみたが、思うにこれだ。YouTubeで全部見れる。

『レーザーゴースト2 レーザー入り江の恐怖』では前作でも主人公だったであろう(前作はないのだが……)兄弟たちがレーザーで武装した死霊の軍団と戦う。ゴーストたちのボスは死んだアインシュタインだ。作中には「けどアインシュタインは善人のはず」「でも彼は核兵器を開発したんだぞ」という目から鱗が落ちるような掛け合いがあり、わざわざDVDを借りて字幕付きで見た僕はその時点で笑いすぎて椅子ごとひっくり返り、死んだ。何でもかんでも言えば良いというものではない。

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