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AMV生産は日本製鋼所の意外と当然


AMVの国内ライセンス生産が日本製鋼所に決まりました。
9月1日付けのパトリア社のリリースで公開されています。31日に調印式がありました。

https://www.patriagroup.com/newsroom/news/2023/patria-and-japan-steel-works-ltd-signed-manufacturing-license-agreement-for-patria-amv-xp-vehicles

実は28日の防衛省概算要求の陸幕のレクで、AMVの日本での生産会社に付いて質問しました。その回答はまだ決まっていませんが、パトリアの方で然るべくやっています、というものでした。
いや、その回答それまずいやろ、31日に調印であれば事前に装備庁と陸幕は知らされていたはずです。

本年度の予算で生産会社が決まっていない状態で、既にAMVは調達決まっています。そして来年度予算で、28両を203億円で要求していました。
ですからその時ぼくはその時、生産会社も決まっていないのに、本年度に引き続いて、来年度も要求ですか?生産会社決まらなかったら誰が責任取るんです?また、生産会社が決まっていない段階で、後方支援力やライセンス生産の製造コストをどう決められるんすか?どうやってMAVと比較したんですか?

などと質問しました。当然ながら装備庁や陸幕には事前に通達していたはずです。いくらなんでも次年度予算要求時期ですら生産会社決まっていないなんでふざけるなと政治の場でも追求されたでしょう。
であれば、陸幕の回答は「決まっていない」ではなく、「ほぼ決定しましたが、メーカーの公式発表を待って公表します」でよかったんじゃないですかね。

パトリアはNTKインターナショナルを代理店として次期装輪装甲車コンペに参加しました。ですが、恐らくは初めての「腕試し」的な感じで参加したんでしょう。ところが契約取っちゃった。だけどNTKインターナショナルには経験やノウハウがなかったのでしょう。だから今年度予算成立までに生産会社が決まらなかった。そこで住商エアロがハンドリングを引き継いでいました。それは遅くとも今年初頭ぐらいからです。

ぼくの聞いた話では三菱重工にも話が持っていかれていたようです。装甲車製造経験という点でいえば、後は日立と撤退したコマツぐらいです。日本製鋼所という可能性も考えましたが、装甲車輌の実績はないよね、という点では候補としてはどうかな、と思っていました。

結論からいえば、装甲車輌の砲塔やら、車体は三菱重工だとはいえ、一応自走榴弾砲なども担当しています。メカニカルなものであれば十分に経験があるわけです。だが車体の経験は無いわけです。そのあたりはラインメタルと違う。自前でなんとかするのか、日立やコマツから人材を招くのか。AMVに関してはどの程度の国産化をするのか。ほぼほぼ組み立てだけであれば、さほど問題は無いかもしれません。

本来AMVは名前の通りモジュラー設計が売り物で、ポーランドにしても、南アにしても単に砲塔を乗せる変えるだけとかではなく、自国にあった変更を行っています。これが殆なくAMV XPそのまま導入となるのですが、それは問題がなかったのか。無論艤装などは日本製鋼所に十分な蓄積があるわけです。それとRWSは同社のアレを採用するのか。これも注目点です。
日本製鋼所はかなり防衛コングロマリット化を意欲的に目指しているようなので、今後の同社の動向は気になるところです。他者の防衛事業の吸収もあるかもしれません。


いずれにしても防衛産業の地図が微妙になります。せっかく一社になりそうな装甲車メーカーが2社になってしまいます。果たしてこのまま防衛予算が拡大して、両社が相応の事業規模を維持できるのか、今後の動向が気になります。本来そのあたりのグランドデザイが防衛装備庁にあって然るべきですが、無いようです。

その他、20式ランチャー 46億円  1480丁、18式セット メルメット新型  1万人分、陸自弾薬破棄は 10億円で800トン

■本日の市ケ谷の噂■
論文なし、専門研究なしで防衛医大の教授に任命された着任一ヶ月を過ぎた木村幹彦一佐だが、大学では見たこともないほど頭が固く、大学に来てはいけない方が来てしまったと言われている、との噂。

陸幕の6年度の概算要求のレク用資料です。

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