uki_代表作_怪獣の一欠片_

「MONSTER Exhibition」というアートコンペで作品を展示することになりまして②

どうもKiyotoです。

このnoteは「Monster Exhibition 2019」について書く第2回目となっています。
今回は、作品を制作していく中で考えていたことや思考のプロセス、またuと議論したことなどについて書きます。

ちなみに第1回目のnoteは、なぜこのアートコンペに挑戦したのか、またどのような考えを持って取り組んだのかなどについて書きました。
下記にリンクをつけますので、このnoteを読む前に是非ご一読ください。

今回の作品のタイトルは「怪獣の一欠片」です。
それでは、僕らの行なったプロセスを見ていきましょう。

思考と制作のプロセス

僕らがどんなプロセスを踏んで制作を進めたのか説明します。
その後、それぞれの過程について触れていきます。

今回の制作は、大きく分けると

・企画書を出すまでの制作活動
・展示に向けて完成させるまでの制作活動

の2つの期間がありました。

トータルすると、スタート〜展示まで約4ヶ月くらいの期間があり、最初の2ヶ月は企画書を出すまで、その後の2ヶ月は作品展示に向けて完成させる期間となっています。

ここでは、企画書を出すまでの制作活動について説明します。

僕らが行なったプロセスは、大きく分けて5つあります。
その5つは「 RESEACH / STROLL / FENCE / PRODUCTION / FINISH 」です。

▶️ RESEACH
まず初めに、僕らは今回のアートコンペのテーマである”Kaiju”(Monster)についてリサーチしました。
そこで分かったのは、怪獣には長い歴史があり、正体不明・怪しい・恐怖
などが要素として共通していることに加えて、
「人間の想像力が必要不可欠で、それなしでは成立しない」
ということです。
これらをもとに、僕らは”Kaiju”(Monster)を

「怪獣とは人間の想像力の膨大な蓄積である」

と定義しました。

この定義を基に、僕らは怪獣を探し始めました。
そして僕らは、沖縄の地で怪獣の連なる鱗を見つけました。
それは、普天間基地を取り囲む「フェンス」でした。

では、なぜ「フェンス」が怪獣と言えるのか。
それは、「フェンス」には人々にありもしない怪獣を連想させるような思考や想像が蓄積されているのではないかと思ったからです。

「フェンス」の中には、怪獣と言えるような存在(基地の建物とか戦闘機など)がいるのは分かっている。しかしそれは、時として実際に目に見えなかったり、また怪獣に見えなかったりする。そうした時に、何がそれらを常に怪獣のようにしているのか。その要因こそが「フェンス」ではないかと思ったのです。

▶️ STROLL
次に、実際に「フェンス」の周りを散策してみることにしました。
時々シャッターを切ったり、uと話をしたりしながら、3日間かけて歩きました。それは、「フェンス」と僕らの時間を切り取る、また自らの思考を自分自身に問いかけるなどに十分な時間でした。

基地を囲うフェンスのスケールは、人間のスケールを超越していて圧倒的でした。僕らよりも高く、先端が僕らを見下ろすかのように折れ曲がっているそれは、物凄い距離に渡って続いています。
僕らに許されたのは、僕らと何かを分けている境界として存在する「フェンス」と向き合うことだけなのかと感じました。ある意味この行為は、「フェンス」と対話していると言えるのかもしれません。
僕らはこの経験を通して、対話という行為に対して興味を持ち始めました。

▶️ FENCE
そして僕らは、「フェンス」と対話をしてみることにした。
そのために、とりあえず怪獣の鱗に最も近いであろうフェンスをホームセンターで購入しました。その後、僕らはそのフェンスと共に過ごし、対話ということで眺めたり、触ったり、叩いたり、、色々な方法でコンタクトを試みました。

それから僕らはいつしか、そのフェンスをどこまで小さくできるのかということを考え始めました。それは単なる好奇心なのか、なかなか変えられそうにない現実への対抗心なのかよく分かりませんでした。ただ何となく、フェンスを変形させるというイメージがあったのかもしれません。その辺ははっきりしませんでした。実は、今でもはっきりしていないような気がしています。
でも対話を通して、とりあえずそんなイメージが出来上がりました。

▶️ PRODUCTION
そして僕らは話し合い、フェンスを変形させ、できるだけ小さくしようということを決定しました。
その時はまだしっかりとこの行為の目的が分かりませんでした。
ただ、もっと怪獣の鱗を理解したい、知りたいと思っていました。
後々考えてみると、これまでの僕らの思考と行動を元に生じた、衝動的な流れに乗っかるということだったと言えるのかもしれません。

使う道具は、僕らの腕力とハンマーのみとしました。それ以外は、本能のままにひたすら叩く、ただそれだけです。
フェンスと対話を重ねるごとに、次第に叩き心地や音が変化し、僕らの手に伝わる感覚も変わってきました。
そして、僕らの握力と足腰が限界にきたところでフェンスとの対話は終了しました。

▶️ FINISH
こうして出来上がったのは、1つの丸い塊でした。平らだったフェンスはぐにゃぐにゃに曲がり、圧倒的に密度が高くなりました。
これを見た僕らは、ある一定の達成感を得ると同時に、無力感を感じました。最初から完成のイメージができなかったのもありますが、その塊はどこか不気味で、「怪獣の一欠片」のように見えたのです。
それは僕らに、フェンスを制御することは難しくてどうにもできないよ、と語りかけているように感じました。

僕らは、「フェンス」と対話をすることを目的とし、今回のアートコンペのテーマでもある”Kaiju”(Monster)の正体を知るためにこのような行為を行いました。それにも関わらず、僕らは「怪獣の一欠片」を作り上げてしまったのです。この塊には、僕らの思考や想像力が蓄積され、いっぱいに詰め込まれています。その後、僕らはこれこそが怪獣なのではないかという1つの解に辿り着きました。

このようなプロセスを経て、僕らは企画書を作成し今回のアートコンペに
提出しました。

プロセスの重要性

僕らは共に理系の分野を専攻していて、リサーチを基に制作活動を進めることや、論理的に話を構成することに関しては常日頃から行なっていました。そのため、この点においてはある程度スムーズに進めることができました。

問題は、「怪獣の一欠片」ができた後です。

これらの行為の本当の根源は何だったのだろうか。
出来上がった「怪獣の一欠片」とは一体何なのだろうか。

僕らは多くの議論を行いました。それは、お互いの意見をぶつけ発展させるための対話であり、「フェンス」との新たな対話でもありました。
しかし結局、僕らは企画書を出す時点では、はっきりとそれらの理由を語ることはできませんでした。

僕らは最初、理系っぽさ全開で論理的にプロセスを展開し、あたかも正論を作り上げているような感覚がありました。
しかし実際に作品を完成させる時は、一切の思考を排除に、ただひらすら「フェンス」を叩き続けました。その行為を行う前は、フェンスとの対話を行い、僕らとフェンスの関係を変えようとしていたのかもしれません。
でも結局その末に、このような怪獣は生まれたのでした。

次回予告

今回は、「Monster Exhibition 2019」に提出する企画書作成に向けて行なったプロセスについて書きました。
自分で書きながら、カオスな雰囲気が漂っているような気が増しつつあります。

次回は、実際にこの作品を出展させていただくことになった後、改めてukiは何を行い、何を考え、どう仕上げていったのかについて書きたいと思います。

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コメントや意見、批評などなど、いつでもお待ちしております。
それでは。

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