なんか浮かんだポエム「雑草」

きれいな花に出会った

黄色い花びらの素敵な きれいな花だった

ぼくはその花と 仲良くなりたいと思った


でもぼくは 雑草だから

いつも少し離れたところから 見つめるだけだった



きれいな花に ちょうちょがとまった

きれいな花は ちょうちょと楽しくお喋りしていた

ぼくも一緒に喋りたかったけど 

でもぼくは 雑草だから

少し離れたところから 見つめるだけだった



ある夜 嵐がやって来た


風がすごく吹いていて 雨がすごく降っていて


皆飛ばされないよう 必死に地面にしがみついていた


ぼくも必死で地面にしがみついていたけれど


でもぼくは 雑草だから


飛ばされちゃっても 誰も悲しまないのかなと思った



朝が来た もう嵐は止んでいた

きれいな花の花びらは 嵐で全部吹き飛ばされていた

ぼくはきれいな花に 自分の花びらを分けてあげたかったけど

でもぼくは 雑草だから

分けてあげる花びらなんて 持っていなかった




冬が来た

皆枯れちゃったり 種を飛ばして寿命を終えたりしてたけど


でも僕は 雑草だから


目的もなく ぐんぐんぐんぐん伸びていった


きれいな花の花びらは 戻らなかった


きれいな花は 茎も弱って しおしおになっていた


しおしおになったきれいな花を


もう誰も きれいだと言わなくなっていた


風が吹いた   強い風だった


きれいな花は大きく揺れると そのままふわりと浮くように  茎から頭が取れた


そうして風に乗るかのように運ばれ ぼくの目の前に落ちた


ぼくは きれいな花に 何て声をかけていいのかわからなかった


やがてきれいな花は 消え入りそうな声で 小さく呟いた







「一度でいいから……受粉したかった…」








きれいな花は    未経験だった


まだそういう経験を  していなかった


ぼくは  何とか卒業させてあげたいと思ったけど


でもぼくは  雑草だから 



受粉とかそういうの よくわかんなかった

「受粉してぇ………受粉してぇよぉ…」

きれいな花は 何度もそう嘆いた


ぼくは 何とかしてあげたいと思って


でも何にもわかんなくて


とりあえず  目の前で悔しがるそのきれいな花を

二、三度そっと   葉先で擦ってあげた


すると  きれいな花は


「変な感じがする」


と言って

そのまま息を引き取った

ぼくは  きれいな花を  最後にちょっとだけけがしてしまったのかもと思った



そう思うと  ぼくは何故だか 余計にぐんぐん伸びた

きっとそれは  ぼくが雑草  だからだろうなぁ

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