JoeMineko

心象と印象。 @joemineko https://twitter.com/joemineko?s=09

緑にのまれて、ろくがつ。

緑の濃さに気圧されて、6月最後の日は過ぎていった。
灰色にけむる梅雨の朝。織部色の暗さ、深緑の青さが、塀を這い、空を狭くし、また川面の影になっていた。
どこに目をやっても緑が強く重く色を発していて、逃げ場なんてなかった。喰われるかと思った。それほど、充実した緑だった。

はわわ現象

好きすぎて愛しすぎて尊すぎて星がチカチカ心臓バクバク意識は煙、もう「はわわ」としか形容できない状態に陥ることがある。それを「はわわ現象」と名付けた。いや、30年生きてやっと言葉にできるようになった、というほうが正確かもしれない。

最初は、小学校低学年で初めて買ってもらった『なかよし』。ドキドキしすぎて帰りの車でページの端をチラリとめくっては閉じるちょっとめくっては閉じる、を繰り返した記憶がある。

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やべぇレベルで心は揺れて 四月の俳句

月に涙し桜を妬む、そんな慌ただしい季節がやっと通りすぎた。この瓦解の時期に花粉症が無いのだけが救いで、もし発症でもしたら顔面も精神もグッズグズのだっるだるになってしまう。神様仏様肥満細胞様、どうかスギもヒノキもその他ハウスダストも友達なので敵認定だけはしないでくださいと、至極真面目に祈ってしまう始末である。

崩落の四月、ザワザワする心を押し込め流されしながら詠んだ俳句のうち、気に入っているものを

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なんて優しい夜の雨音

ソファでぼおっとしていたら、ザザーとぶ厚い音が聞こえてきた。

ちらほら降っていた雨が強くなったらしい。スマホから顔上げて目をつむり、全身に音を染み込ませる。

まだ寒さが残る夜。こんな日の雨は大歓迎だ。
出かけないから雨に無責任になれるのも理由だけど、それより音が温かい。綿の布団にしっかり包まれたような心地よさ。

ザザーザーザーザー

濁点と長音のリズムがそう感じさせるのだろうか。 

そう考

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牛乳ゼリー崩してグラスに流氷の丘

牛乳寒天。
祖母は、牛乳ゼリーと呼んでいた。

当時は少し獣臭い甘い匂いが好きになれず、お愛想程度にしか食べなかった。結局は祖母がほぼ一人で食べていたけど、その割に登場回数が多かったから、もしかしたら祖母の好物だったのかもしれない。

そんなことを思い出しながら、寒天が袋から滑り落ちる音を聞く。サーッという小気味よさに乗せられ、つい、全部入れてしまった。

つい?いつものことでしょ、と独りごちて口

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梅の香で誘うか東風よまだ負けぬ

鉄格子をギイと押し、隙間に滑り込むように外に出た。階段をととんっと降りると、刺すような空気。冷たさが、鼻にしみる。見上げると、真青な空。

煉瓦色のアパート群に青はよく映える。
街路樹も枝ばかりで、冬の空は見晴らしがいい。

が、こんな日は寒さが突き刺さる。「放射冷却」だと、むかし父が教えてくれた。

マフラーに埋まり小走りで駅に向かう。一瞬たりとも外にいたくない。

と風が、少しだけ角の取れた風

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