フローレンス・ナイチンゲールが著した『看護覚え書き』のオーディオ・ブックを配信します。HNS（＝防府看護専門学校）の学生・生徒だけなく、卒業生や看護師を志す、すべての人に向けた配信です。ご自由にお聴きください。

#035 ：住居の衛生管理に共通して見られる3つの誤り             

住居の衛生状態の全般を管理する上で、多くの「怠慢と無知」が見られる。ここではそのうち3つのことを見本として述べてみる。

建物の責任者であった、ある女主人は、その建物の穴や隅々のすべてを毎日見て回る必要はないと考えている。家の衛生状態の責任者である女主人よりも、彼女の部下の方が、女主人よりももっとよく注意を払うことなど期待できるはずがない。誰も使っていない部屋に、風を入れ、日光を入れ、掃除をすることが大切だとは考えていないことは、衛生に関する最も基本的な考えを無視している。

部屋を換気するのに、窓だけ、しかも1つの窓だけで充分だと考えていること、暖炉のない部屋は、いつも空気がこもった感じがするのに気づいた事は無いだろうか。部屋を締め切ることは、部屋とその中にあるすべてのものを不潔にする。

責任者である女主人が、これらのことに注意していなくても、彼女の部下があなた以上に注意を払うなどと想像はしないでもらいたい。
（2023年6月7日配信）

フローレス・ナイチンゲール（Florence Nightingale）：1820年-1910年：近代医療統計学および看護統計学の始祖。近代看護教育の母。