ナイチンゲール『看護覚え書き』を聴く#024

フローレンス・ナイチンゲールが著した『看護覚え書き』のオーディオ・ブックを配信します。HNS(=防府看護専門学校)の学生・生徒だけなく、卒業生や看護師を志すすべての人に向けた配信です。ご自由にお聴きください。

#024 :通風、すき間風            

愚かな女性が、その愚かさのために、患者の生命の泉、つまり、新鮮な空気の価値をおろそかにしているのを見ると、実に腹立たしい。胸や喉の発作は、明らかに看護師が次のようにしてもたらすものだろう。

患者がベッドを離れるときの注意もせず、スリッパやフランネルの下着、ガウンも着せずに、冬の風が吹き込むままの部屋で、動き回らせる場合である。ある病棟では、そこに寝るとドアからの風で必ず気管支炎を起こすというベッドがあり、これはどうしようもないとされている。

不注意な看護師は、患者の片側にある窓を開け、反対側のドアを開けたままにしておく。ドアを開けるときは、窓のサッシを下ろしておくという事は、決して思い浮かばないようだ。病室に入ってくると、出て行く時までドアを開けたままにしておく。これは誰にでもわかるような理由があってのことではなく、その看護師が気付かないだけのことである。こういう看護師はこう言う。「窓が開いていたので、患者さんが風邪を引きました」と。実際風邪をひいたのは、看護師の思慮の無さのために他ならない。患者が肌を出しているときに、ドアや窓を開けるのは換気ではない。単に不注意なだけなのだ。

フローレス・ナイチンゲール(Florence Nightingale):1820年-1910年:近代医療統計学および看護統計学の始祖。近代看護教育の母。


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