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ジャレコの思い出:ジャレコとは?

●はじめに

noteにアカウントを作ったので、せっかくだから何か書いてこのサービスの仕組みを実験してみたくなりました。とはいえ、特に面白い事が書けるわけでも無く。

なので、その昔「ジャレコ」という会社にいた頃の事を書き残してみる事にしました。記憶も年々薄らいでゆきますし、整理して書き残しておけば何か役に立つかもしれないなぁ、と。


●ジャレコとは?

ジャレコという社名はおそらくゲームに興味が無い人は聞いたことすら無いと思います。ファミコン全盛期にゲームを遊んでいた方は知っているかも知れません。ちなみに2014年12月現在、既に法人としては活動していない模様です。ただし、権利関係は受け継いだ会社があるとの事。伝聞ですので確かなことは分かりませんが、詳しい人は教えて頂ければ幸いです。

私は新卒でこの会社に入社しました。2年弱ほどしか在籍していませんでしたが、なかなかにインパクトのある体験が出来ました。

この会社、簡単に言うとゲームを作っていた会社なわけですが、そのコンテンツはアーケードからコンシューマーに至るまで結構な数にのぼります。その中で、おそらく最も知名度が高いタイトルは「燃えろ!!プロ野球」こと通称「燃えプロ」だと思いますが、それらのタイトル郡については後ほど個別に取り上げたいと思います。

社名の由来ですが、旧社名のジャパンレジャー(Japan Leisure Corporation)の各ワード先頭2文字の組み合わせだと言う事です。そういえば旧社名表記のアーケードゲームがあったような。

その後、外資に買収されて社名が変わってしまいます。当事は残念に思ったものですが、なんと紆余曲折を経て社名が元に戻りました。当事はそのしぶとさになんとなく感心したのを覚えています。


●ジャレコのプロダクツの話

個人的にジャレコという会社を意識したのはアーケードゲームの「エクセリオン」からです。そういう意味でも私にとってはアーケードゲームメーカーという認識で、そういう理由で就職しました。まぁ、他社を落ちたせいもあるんですけど。

とりあえず、強く印象に残っているタイトルをピックアップして書いてみました。思い出したら他のタイトルも書くかもしません。


「燃えろ!!プロ野球」

このゲーム、野球ゲームではありますが有名な理由は主に「バントでホームラン」とか「ファールの後はどんな球でもストライク」なんかのトンデモ要素だったりします。詳しくは検索して頂ければいかにメチャクチャな内容だったかがお分かり頂けるかと。ちなみに、社長自らが「これでオッケー!」というお墨付きの元に発売されたという逸話が社員の間で語り継がれておりました。

内容はともかく、当事は野球ゲームがファミコンに少なかった事と投手後方からのアングルが斬新だったせいか大ヒットになります。これで相当儲かったらしく、その利益で自社ビルが建ったというのがもっぱらの噂です。

当事、ナムコの本社ビルが「ゼビウス」の利益で建ったとの噂から「ゼビウスビル」と呼ばれていたのに対抗して、ジャレコ社員は本社ビルの事を「燃えプロ御殿」と呼んでいました。ひょっとしたらこう呼んでいたのは、私の同期とか先輩だけだったかもしれません。

ちなみに、この斬新な投手後方アングルは海外の野球ゲームからのパクリだ、という話を当事同期から聞いた記憶があります。確か「ファイヤーボール」とかいう名前の海外の野球ゲームを日本で売らないか? とジャレコにプレゼンしたのをそのままパクったとか。記憶が曖昧なうえに、このタイトルで検索してもそういうタイトルが見つけられませんでしたのでジャレコオリジナルって事でいいのかもしれません。


「銀河任侠伝」

なんというか、オマージュを超越したパクリっぷりで有名な作品です。ネームレジストの初期ネームも権利元にケンカを売っているとしか思えない文字列なのも特筆すべき点だと思います。そういや、二次創作(?)なのにキャラを外国のスマホゲームにパクられた事件とかありましたね・・・。

ただ、このゲームをジャレコの最高傑作と言う先輩や上司が何人かいました。内容はともかく、基板の売り上げやインカムは良かったのかもしれません。

内容的には覚えないと進めない程度に難しいアクションゲームで、当事は一応クリアまでやったのを覚えています。個人的にはクロスカウンターで灰になる仕様が気に入っていて、毎プレイ必ず食らっていました。


「忍者じゃじゃ丸くん」

ファミコンでヒットしてそれなりに知名度のあるタイトルです。アーケードでも任天堂のVSシステムでリリースされました。なんかミュージカルとかも上演されたらしいですね。しかしこの作品、勝手に作った続編だったりします。

1作目はUPLのアーケードゲーム「忍者くん 魔城の冒険」です。ファミコン版の販売はジャレコがやっていましたが、その流れで続編を作ったようです。

「じゃじゃ丸くん」には「忍者くん」の弟という設定がつけられており、しかもドット絵はほぼそのまま。さらにその後シリーズ化してしまう無双っぷり。確かどこかの記事でオリジナルの作者が「勝手に続編作られてた」と言っていた気がします。

そのせいかどうかは知りませんが、正当な続編である「忍者くん 阿修羅の章」のファミコン版はジャレコではなく本家のUPLから発売されています。

ちなみに、アーケード版の「忍者くん」が大好きだった私は当然のようにファミコン版を購入しました。しかし移植度はお世辞にも高いとは言えず、とても残念な気持ちになったのを覚えています。


●外注と内作

ジャレコの作品で好きなアーケードゲームは? という質問をして挙げられるタイトルは外注の作品である事が非常に多いです。

そのほとんどがNMKの作品ではないでしょうか?(笑)

もちろん内作でも評価の高い作品はありますが、「ロッドランド」「プラスアルファ」「ソルダム」辺りが純粋な内作タイトルだったように記憶しています。あ、「銀河任侠伝」もそうですね。

コンシューマーは外注比率が結構低い気がしますが、燃えプロの続編とかはトーセだった気がします。あと、PCエンジンの「天聖龍」も外注だと最近聞きました。


●本社召集カンヅメ体制

当事に聞いた話ですが、予定を大幅に過ぎているのに完成してない外注のアーケードゲームがありました。

同期曰く、「余りにも出来上がらないんで本社に呼び寄せてカンヅメ体制を敷こうとしたのに、あいつら定時で帰りやがる・・・」と苦々しく言っていたのを覚えています。

津田沼のギャレッソでロケテストをしていたらしいですが、当時は既に市場が飽和していた等の理由でインカムは芳しく無かったようです。

このゲーム、結局ロケテストのみで販売されずお蔵入りに入ってしまいました。しかしこの作品、10年後に奇跡の復活を遂げる事になります。そう、最近話題の「キメラビースト」の事です。

それにしても奇跡としか言えない復活っぷりです。今後、手がけている方々から色々と情報がリリースされるのではないでしょうか。


●水草倶楽部

あまり知られていませんが、ジャレコは水草育成関連のアイテムを売っていた時期があります。ちなみに熱帯魚とかではなく、あくまで水草用のアイテム。

なんでこのカテゴリの商品を作っていたのか? という疑問が当たり前のように出てくる訳ですが、実は当事の社長の趣味が水草の育成だったのがその理由らしいです。

当事の新人達はこの事業にアサインされるのを大変に恐れていました。社長肝入りのプロジェクトというのもアレですが、わざわざゲーム会社に入ったのにヒーターの温度管理プログラムとかを作らされる運命が待っているからです。

しかし、無情な事に同期で一番優秀だった人がアサインされてしまいます。日に日に彼が無表情になっていくのをただ見守るしかありませんでした・・・。

しかし、ノウハウが無いせいかアイテムの質自体は低かったようです。「水を入れると割れる水槽」とか「茹で上がるヒーター」などと社内では揶揄されていました。

ちなみに、「水草倶楽部」は確か当時のアンテナショップの名前だった気がします。


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