あったら読みたい架空の本5選

かの名著から、あの随筆まで!
タイトルとあらすじを紹介します。

 

反反捕鯨団体

 伝統的な捕鯨を守る日本の漁師達。
 そんな日本の捕鯨に反対する「反捕鯨団体」と、更にそれに反対する「反反捕鯨団体」が繰り広げる政治心理戦。
 そんな中、突如台頭した過激派「反反反捕鯨団体」の活動を阻止するべく立ち上がった「反反捕鯨団体」と「反反反反捕鯨団体」の活動をシリアスに描く社会派ドキュメント。
 ちなみに「捕鯨団体」は出てこないという。


二度寝の心理

 二度寝の瞬間…それは"起きるか起きないかの状態"に陥ること。
 けたたましい目覚まし時計の音によって覚醒し、自分が今ベッドの上に横たわっていることを認識する瞬間…。
 しかしこのときはいくら話しかけても「馬の耳に念仏」状態…。
 覚醒へ向かう力と、睡眠へ導入する力が17分間隔で波打つようにリズムを刻む。
 この脳のリズム状態を「シランプリズム」と言うことにしました…Zzz。

 ※全1巻(第2巻は作者が二度寝したため未出版)


感情資本主義

 怒り・喜び・悲しみ・恐怖・興奮・憂鬱といった感情を制御できるナノマシンが人々の脳内に埋め込まれている近未来。
 全てのナノマシンが政府によって中央集権的に制御されており、市民は電子通貨を用いて自己の感情を他人と取引することができるのだ。
 社会を見渡すと、貧民は鬱憤を溜め続ける一方で高所得者は常に無感情に振る舞う。
 そんな格差社会を是正しようと水面下で動き出す反政府組織「如月の風」。
 感情をネットで売買できるこの「感情資本主義社会」を舞台に、58人の主人公達が交錯する近未来スペクタクル。


犯罪の原動は鬱憤である

 〜〜「犯罪の原動は欲求である」の姉妹作として知られる名著〜〜

 東日本大学の研究によると、鬱憤が溜まっているときヒトのIQは0(ゼロ)になるといいます。
 知らぬ自転車のサドルを盗み、知らぬ壁に落書きをし、知らぬアカウントを炎上させる原動力。
 「負けている」「悔しい」という"ゼロサム思考"が脳内でループすることで発生するのが鬱憤です。
 私には「ガン飛ばし」の文化がサッパリ分かりません。
 驚くべきことに彼らは他人と目が合っただけで負けた気分になるのです。
 おもむろに視線のみによる遠隔戦を始め、ひとしきり睨み合ってどうにもならない状態に陥ると、日常的に抱いている鬱憤と合算して全く接点のない他人や物を傷つけ「フェアになった」と思いこむのです。

 〜〜次作「技術進歩の原動はエロである」も乞うご期待!〜〜


リユニオン

 今日もナノマシンに二度寝を邪魔された。
 そのうえ、最近は「第2巻を執筆しろ」と編集者がうるさい。まさか第1巻がまぐれで当たるとはね…。
 仕方なく引き受けたが、条件が全くフェアじゃない。
 「はぁ、打ち合わせまであと17分か…。全く憂鬱だ。この"憂鬱"を高値で買う物好きはいるかな。」
 そう壁に落書きをしながら脳内ナノマシンでブラウザを開くと「反反反捕鯨団体、強制捜査」のニュースが目についた。
 やっぱり犯罪の原動は鬱憤だったか…。
 …。
 如月の風は冷たい…。
 気付けば私は学生時代にファンだった美少女グループ「シランプリズム」の曲を口ずさんでいた。
 「♪IQゼロ〜 IQゼロ〜」
 口ずさみながら遠い目をしていると、無表情な男が視線を飛ばしているのが見えた。
 何故か負けている気がするのでよくよく見たら今日会う予定の編集者だった。
 編集者のやつ、私と幼馴染で一緒に出版界に入り、全盛期は「ゼロサムコンビ」とまで言われていたのに、今ではあいつだけ高所得者の勝ち組だ。
 …。
 もう打ち合わせなんてどうでもよかった。
 あいつの話は脈絡がなく面白みがない。話題が交錯しすぎだ。58人も登場人物を出してくるので毎回頭が混乱する。
 …やけくそだ。
 ナノマシンめ、こういうときだけは役に立つ。
 脳内で秘蔵フォルダを開きながら、技術進歩の原動はエロだよな、と確信した。
 これでもう「馬の耳に念仏」状態だ。

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