海外の格ゲー大会Combo Breaker2019にて禁止されたガフロBoxについて

今回Combo Breaker(以下CB)にて禁止された、ウメハラ氏が使う予定だったレバーレスコントローラー、いわゆる「ガフロBox」は、ワンコネクト所属のプロゲーマー、ガフロ氏が生み出したコントローラーのカスタマイズ版である。

原型となるガフロBoxは、格闘ゲームのプロであるガフロ氏が、自分のためにコントローラーを真剣に作成したもので、本気の「勝つ」という意思のこもった逸品だ。

ガフロ氏は、彼がスト5で頭角を現し始めたキャラであるナッシュの、シーズン2での大幅な弱体化にもめげず、キャラクター変更先のバイソンを使用するにあたって先入観を捨て、ゼロベースから「プロとして勝つために」考え抜いて自作を決断し、基盤を輸入し、ボタンを配置し、数多の試行錯誤を経てガフロBoxを完成させたのだろう。

トップ8こそまだ届かないものの、先日のSaigon Cup 2019では16位タイに入り、「自作コントローラーの強さを自分で証明する」という、全く新しい形のプロの姿を確立する兆しが見え始めていた。

その萌芽をいち早く察したふ~ど氏が、バーディにキャラ変えした事もあって、実験的にガフロBoxを使い、使い心地に感心してウメハラ氏に勧め、氏がこのコントローラーを用いて練習をはじめたことで、ガフロBoxは格ゲーコミュニティの耳目を集める存在となる。

ウメハラ氏が楽しそうにガフロBoxならではの行動をリスナーと一緒に探し、練習し、レバーとの違いに苦悩しながらも強くなっていく様をみて、多くの人が自らもそれを試してみたいと思うようになったのだ。

そして、要望に応えたガフロ氏が、早急にショップの立ち上げにこぎつけたことで、ガフロBoxのブームは、本格的に始まったかに見えた。

それは、新キャラも新システムの導入もなく、緩やかに衰退していた今シーズンのスト5において、一人の男の本気から起こった、確かな、「コミュニティ発の新たな風」だったはずだ。

そのガフロBoxは、今回の騒動のあおりを受けて、受注停止とあいなった。

さて。今回、CBにてこのガフロBoxのみを狙い撃ちで規制するに至った、「CPTの精神」とは一体何なのか。

CPTとは、カプコン製のゲームが好きなコミュニティが「好き」を形にするために、誰に言われずとも自発的に世界各地で行ってきた大会を、カプコン自身が束ねるという、まさに「コミュニティ発の風」の集合体だったはずではないのか。まるで自殺のようなこの行動は、本当に正しかったのか。

もちろん、新しいものには瑕疵が多く、今回ウメハラ氏が使用する予定だったコントローラーも、かなりグレーな代物だったことは認める。
公平性を保つために規制を検討しなければならない部分もあっただろう。

だが、そんな理屈では、曖昧な表現で時間稼ぎをし、現場に判断を丸投げするがために「CPTの精神」などという言葉を使って、間接的にガフロBoxの芽を摘んだこと。

そして、今回の騒動に関わった人間に「CPTの精神に沿わない人間」「ハードウェアチート」などというレッテル貼りをする行為を助長しかねない公式発表をした、Capcom Fightersの愚かさ、稚拙さ、傲慢さが帳消しになることなど断じてない。

一刻も早く今回の事態のしっかりとした説明と、関わった人たちの名誉の回復に努めることを、コミュニティに属する一人として、切に願う。

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