20210516 一年

 気づくと週末になっていた。時間の区切りの単位が「平日」「休日」と大雑把になっている。日記の更新頻度が減っているのはその感覚に拍車をかけているだろう。良いことなのか悪いことなのかはよくわからない。

 服と靴を買ったり、スーツやシャツをクリーニングに出したり、料理をしたりしていたら土日が終わっていく。それなりに生活をしているだけで結構満足してしまっていて、特に料理は簡単なものでも作ることで気分転換できているように思う。最近はカレーのスパイスを増やしてしまった。

 三島由紀夫の『金閣寺』を読み終えた。使われている言葉に馴染みが無いものが多いので少し難航したのだけれど、やはり面白かった。特に、主人公の溝口が大学に進学し、柏木と出会ってからはぐいぐいと引っ張られるように読み進められた。「金閣寺」という存在の美、その絶対性へのアンビバレントな心理は、自分が持ちうるものとしても感じられるし、こういった普遍性が端的に描かれているからこその名作なのだろうと思う。
 太宰の『人間失格』もそうだったのだけれど、名作、傑作と呼ばれる作品は自分がこれまで触れてきた作品と繋がっていて、特にそのテーマにおいてはシンプルに「核」の部分に触れたような感覚になる。今更になって読むことに恥ずかしさみたいなものもあるのだけれど、ある種の伏線回収みたいな読み方ができるのは今だからこそなのだろうな、と考えると悪くない。

 去年、ガルラジ合同を発行してから一年が経っていた。つい一昨日に最新の放送を聴いたばかりという状況で振り返ることができるとは、発行した時にはもちろん想像していなかった。発表時に小学6年生だった玉笹花菜が今では中学3年生になっている。その早さにはほんとうに驚く。「ガールズ ラジオ デイズ」という作品がこうやって時間を止めずに、そして止まっていないことを一年たった今でもちゃんと示してくれていることはほんとうに得がたいことだと思う。
 過ぎていく時間の早さ、それに伴う変化にどんどん鈍感になっていくし、この一年はそれこそ、そういったものに対する感性を見失ってしまうような日々だった。たぶん、これまでは、年に数回の帰省で、親だったり、親戚の子に会いに行くとか、そいうタイミングで振り返ることができていたのだと思う。身近な他人の存在というのはやっぱり大事で、ガルラジはちょうどその部分を埋めてくれているような気がしている。

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