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今度、自部署に入ってもらう事務方の採用面接をやる事になった。
去年の今頃、自分が履歴書書こうか迷った時期があったくらいだから、この変化にまだ頭がついて行けてない。
無人島から出てきたら急に村長になってしまったようなノリ。なんですかこれは。

採用枠はアシスタント。老若男女問わずだが、長い目で見てテンプではなく堅実に正社員を迎えたいと思っている。
採用担当には、英語が多少分かる人で、ある程度即戦力になりそうな人がいいなあ、と間接的にお願いしていたのだが、フタを開けてみたらすんげえ経歴の人が集まってきた。
まず、私英語がそこそこ出来ますって自分で言える時点で結構出来るんだろう。おれみたいに三流私立大学出身からの叩き上げでそれしか出来ないって言う感じではない。ホントに学生時代から成績上位数パーセントにいて、一流大学出身では足りずに海外留学もなされましたよ、みたいな人が仕事を求めてウチに履歴書出しにくるなんて。

他人の履歴書や職務経歴書を見るの初めてだが、みんなアピール上手。負けそう。部下になりてえ。

Aさん:
大手企業在職中。秘書など経験有り。事務職スキル多数。コミュニケーション好き。英語は趣味で勉強(TOEIC900点)。50代前半。

Bさん:
中堅企業在職中。簿記など資格有り。小売店で店長経験有り。英語業務経験有り(TOEIC700点)。40代前半。

Cさん:
中堅企業在職中。かつて営業職でセールス、業務改善で社内コンペ優勝多数。負けず嫌い。留学経験有り(TOEIC800点)。30代後半。

…皆さんバケモノですか。おれ部下になるから一度うちの頭張ってもらっていいすか。

聞けば、鳴り物入りで爆誕したうちのチームのために、ちょっと良い人材エージェントを試しに使ってみたらしい。確かにこれまで当たり外れが大きかったし、転職組の離職率も高かった。これを機に、費用は掛かるだろうが、この人事を参考にして今後の人事も考えるようだ。つまりみんなが注目している。じろじろ見られているのだ。

自己アピールは皆優等生の作文のように上等だったが、同エージェントが行った適性検査は一見の価値があった。自己紹介とは違い、その人の性格や特性が赤裸々に評価されている。
高いコミュニケーション力を評価されている人もいれば、我が強くて周りを振り回すというような書かれ方の人もいた。そこまで書いたら採用出来ねえだろ、と言いたくなるような書き口のコメントも散見された。

ともあれ、おれは上司として、3人全員と面接してみることにした。他人の人生を左右するような出来事。やばいね緊張するよ。だからこそ、せっかくウチに来たいという奇特な人とご縁ができたのだから、全員と会っておこうと思ったのだ。

目の前がひとりでに、少し前までは見た事もない景色に変わってゆく。
少しでも良い方向へ。
考えて考えて進まねば。