東女美女烈伝.25 伊藤麻希

世界一プロレスが上手い女

伊藤麻希は美しいんだ。

挫折。
しなくていいならしない方がいいと思う。
世の中どのくらいの割合で挫折を経験しているのかはわからない。
人それぞれの価値観にもよる。
主観的に見たら挫折でも客観的に見たらそうでない場合もままあるだろう。

伊藤麻希は客観的に見ても挫折している人間だ。
地元福岡のローカルアイドルを皮切りに紆余曲折を経てたどり着いた女子プロレスという世界。
彼女の生き方のなにをもって挫折なのかはわからないが、アイドルして目立った実績がないということは、今世界中から支持を集める彼女からすれば挫折と言ってもいいのではないだろうか。所属事務所は今も地下アイドル時代の系列。そちらの線でも挫折からの復活はあるのだろうか。注視していきたい。

「伊藤、けっこうプロレス上手いんだよ。」

2023年の大田区大会。
私は特典会で某選手の列に並んでいた。
隣が伊藤麻希の列だった。

「世界一かわいいのは〜?」

彼女の声はリング上でもサイン会でもよく通る。
それは彼女が海外でも爆発的な人気を誇る要因だと考えられる。
彼女のサイン会開始がアナウンス、ドドっと洪水のように雪崩れ込んできた中のひとりのファンの語りかけに前述の「〜プロレス上手いんだよ」との回答をしていた。
正直なところ、私は伊藤麻希という存在を認知してから実際に試合を見るまでの間、彼女のことを「イロモノ」だと思っていた。

その日に行われたメインイベント。
因縁浅からぬ瑞希との団体最高峰王座を賭けたタイトルマッチ。私のプロレス観が180度変わった。
それはかつて真壁刀義vs中邑真輔のIWGP戦を見た時のようだった。
うまくいかない。うまくいかない。何をどうやってもうまくいかない。だけど私は今ここに立っている。だから見ろ。私を見ろ。私だけを見ろ。そんな怨念のような私信。伊藤麻希のプロレスに釘付けになっていた。
発する怨念。それすなわちオーラで会場を包み込む。虜にする。スターがスターである所以であり条件。アントニオ猪木もオカダ・カズチカも武藤敬司もそう。
そういうことなのか。
伊藤麻希はスターなのだ。これがスターなのだ。
本当の意味でのジェンダーレス。
私はようやくプロレス、プロレスラーというものがわかった気がした。嬉しくなった。
伊藤麻希というスターと同じ時代に生きれていることをプロレスファンとして誇りに思う。

あなたのつけた足跡には綺麗な花が咲いている。







サポートのほどナニトゾ! 推し活ならびにnote執筆の活動費に使用させていただきます!