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岩政さん退任で思ったこと

 本日、アントラーズから正式に岩政監督退任のリリースが出た。昨日のリーグ最終戦直後から退任の報が各所から流れていたし、試合後の挨拶からも今シーズン限りというニュアンスが強く感じられていたけど、改めて結論を突きつけられると、落胆せざるを得なかった。

 結果に対しては致し方ないと感じる点もありつつ、今シーズン岩政体制で行くと決めた時点で中長期での起用をクラブも決めてくれたのか!と期待していた手前、やっぱり残念。僕自身が岩政体制に期待していた、というよりも人として尊敬し、好んでいた存在だったので、退任が決まった瞬間は力が抜けてしまった。

 14時のリリースをすぐに確認してから、なんとなく仕事も手に付かなかったので、アントラーズ入直前まで続けていた岩政さんのVoicyを聞きながら、自分の想いを整理してみました。やっぱり僕は岩政さんの生き方が好きだし、自分の人生とも重ねながら今後も頑張って生きていきたいなと思ってます。

誠実であり続けた岩政監督

 試合前のインタビューから、試合後の総括まで、岩政さんの言葉には上っ面な表現が無く、いつも自分の言葉で受け答えをしていました。今の鹿島を冷静に状況分析した上で、自分のスタンスを振らさずに闘い続けていた姿そのものでした。

 苦悩していた時期もあれば勝ちが続いて自信を深めている時期も、自分の言葉を紡いで、真摯にチームにも記者の質問にも向き合っている姿から、強いアントラーズを再構築する為に四六時中頭を使い続けていたんでしょう。

 最後の試合が終わって、インタビューに答える表情や語気はどこか柔らかく、やり切ったという雰囲気が感じられて、退任発表コメントでも「後悔はありません。」と言い切っただけの様子は見て取れたし、それが切なく感じて辛い気持ちになった。

 いつも選手たちを立て、サポーターに対しても感謝の気持ちを忘れず、最後の最後まで岩政さんの言葉は岩政さんの言葉であり続けていました。結果は伴わず契約満了となってしまったけど、やり切った、職務を全うしたと言える岩政さんの言葉に本音を感じたし、この2年間ずっと誠実で居続けたからこそ、受け取る側にとっても伝わる内容になったんじゃないかな。

合意の上で契約満了

 たまたま今日聞いてたVoicyの中で、選手の移籍について語っている回があった。岩政さんとしては、外野が色んなことを脚色して「クビになった」とか「チームを出ていった」という情報を流すけど、実際は選手とクラブが合意・決断した結果であって、小学生のケンカみたいな話ではないと冷静に喋っていました。

 おそらく今回も、岩政さんの中で退任を意識し始めたタイミングがあったと思うし、チーム側からもそういった雰囲気や来期に向けた構想が走り始めていたのでしょう。僕ら外野からすると、結果だけしか見えてないし、内部事情や数年後を考える解像度も低いから、安易な反応しかできないけど、本当は奥底に複雑な要因がたくさんあっての決断であるはず。

 そして、岩政さん自身もチーム状況や選手のこと、点ではなく線でアントラーズというチームを考えた時に「自分の役割はここまで」と決断したのだと思う。ヴァイラーの後を継いで鹿島のDNAを知る人間が指揮を執るという事、勝ち方だけでなくサッカーの現代化をインストールする事。

 結果にこだわらなければいけない立場だと認識はしていたと思いますが、結果を出せなかった事実を受け止め、こうなる事も予想した上で日々邁進しれていた事と思う。コーチへのオファーを受けた時も「断る理由が無かった」というくらい、鹿島に対する恩返しの為に孤軍奮闘してきた訳であって、僕らが見えないものを鹿島に残してくれたのだと。

痛みなくして成長なし

 岩政さんがよく使う言葉で、ブログのタイトルにも「No Pain No Gain」と使っているくらい大事にしている言葉。2年間でたくさんの痛みを経験したと思うし、今回の結果についても後悔は無くとも悔しさはあるはずで、これをバネに今後どんな活躍をされていくのかと思うと、少しだけ気持ちが楽になる。

 今は大きな責任から開放されて休息して欲しい気持ちもありつつ、解説での岩政さんも見てみたいし、他チームで指揮をとる岩政さんも見てみたい。

 プロスポーツ選手が引退することについて、単にプレイヤーとして役目を終えるのでなく、応援してくれたファンやサポーターが引退した選手と自分の人生を重ねて引退を受け取ってくれる、という事を話されていて、僕もこれには激しく同意。また新たな挑戦をする岩政さんの姿をみて僕自身も頑張ろうと思うし、痛みを伴いながら色々な経験をしていこうと思う。

 ちょうど僕が農業を辞めて新たなフィールドで経験値を溜めようと考えていた時に、岩政さんがアントラーズ入をする決断をされました。偶然ではあるけど、人生の岐路に立った時、場所もやっている事も違う人からパワーを貰えるって不思議。なんだけど、それは僕がずっと鹿島アントラーズを応援し続けたという証明であって、岩政さんに対する尊敬がある結果。

 何となく退任ニュースを見て、腑抜けてしまったけど、岩政さんがこの痛みを生かさない訳がないので、僕も頑張るしかない。コーチから監督となっての2年間、本当にお疲れ様でした。そしてこれからのご活躍も応援させてもらいますし、僕自身も岩政さんの人生からたくさんの学びと勇気をもらって前進していきます。

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