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10.大阪城北詰からの夜景

初秋、大阪城北詰にある知り合いのアパートで家飲みに誘われた。座り心地の良すぎる椅子と、高級ホテルのような絶妙な量で夕陽が射しこむ部屋を来客として独占できたので、2人のしっぽり飲みで本当によかったと思った。

缶ビールとチーズたらという部屋に似つかわしくない食べ物を持ち込んでしまったことに後悔しながら、見慣れないテレビドラマを勧められて一緒に観た。テレビが家にないのでどう過ごすべきか戸惑ってしまったが、時間が経つとこういうのも悪くないなあと思えた。

夕食は外に食べに行き、夜は泊まらせてもらうことに。ベランダからは見慣れた天満橋が小さく浮かび、ビルの光が川面に長く伸びている。綺麗で広い部屋に綺麗な夜景と、さぞ快適な夜になることを期待してワクワクした。ちょっと「シティライフ」を謳歌しているようで楽しくなった。大阪やけど。チーたらやけど。


ただ、夜中が問題だった。土佐堀通が近いため車がうるさい。アパートの下で喚く酔っ払いがうるさい。ウトウトしては起きるのを繰り返す。知り合いはいびきをかいて爆睡してはるし、現実に引き戻された気がして悲しくなった。

外が薄い青色に変わり、朝早くから出かける知り合いのかけたアラームがこめかみに響く。京阪電車も動き始めた。ベッドから出てからは再び快適な部屋が戻ってきたが、完全寝不足の私は申し訳ないが早く帰って自分のベッドにダイブすることばかり考えた。

大阪を凝縮したような一晩だった。そして「シティライフ」は映画のようにはうまくいかないこともわかった。まあチーたらやったしなあ。


大阪城北詰。藤田美術館があり大川を挟んで造幣局もある。京橋にも近く便利もいい場所だ。夜も慣れれば都になるのだろう。

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