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サカナクションでいちばん好きな15曲を語る


こんばんは。

少し前にサカナクションのベスト盤「魚図鑑」が発売され、Twitterでも「サカナクションのこれ一曲」という公式ハッシュタグでサカナファンそれぞれの推し曲をつぶやく機会がありました。



わたしは以前、このような↑形で客観的(?)なサカナについての愛を伝える文章は書いたので、今回は100%主観、私見、自分本位のサカナクション推し曲ランキングを書きたいと思います。

なお、「サカナクションあまり聞いたことない!」という人向けには

このブログ記事が、もっとも万人受けする可能性のある非常に練られた納得のランキングなのでオススメです。


それでは自分のランキングへ参ります。

先に断っておきます。ほんとはベスト10にしたかったのですが…

10曲じゃ足りない(断言)


そのためベスト15にさせて頂きます。いやでもさっき貼った記事だってベスト12にしてるから絶対選びきれなかったパターンでしょ…同志…

気を取り直して15位からスタート!




15位:『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

同名の5thシングル、5thアルバム『DocumentaLy』収録

壁が鳴り痺れるチェロ すぐに忘れてしまうだろう

まずは有名曲から。自分がサカナを好きになったきっかけの曲です。Mステで異様な存在感を放ってたなぁ…

この曲から落ちたせいか、自分はサカナクションのコーラスに弱い と自信を持って言えます。分厚いコーラスで盛り上げられるのは男女混成バンドの強みですよね。

(この女性コーラス良いなぁ…と思っていたらギターの岩寺さんの裏声だったこともよくあります)




14位:ボイル

6thアルバム『sakanaction』収録

遠くに 遠くに 投げ捨てた夜の言葉よ

歌詞が書けなくてどうしようもなくなっている夜を歌った曲。

音数が少ない曲の始まりが、静かな夜をよく表現していると思います。ピアノがまるで悩む一郎さんの繊細な感情のようで超好き。

それから、なんと言っても息継ぎほぼ無しの怒涛のボーカルパート

あそこを歌いきったあとの一郎さんの「ハッ」という吐息で恋に落ちたのは自分だけじゃないはず。



13位:映画(コンテ2012/11/16 17:24)

8thシングル『ミュージック』収録

探してる音 多すぎて 多すぎて
この部屋で何を忘れたか 忘れたさ

6thアルバムに『映画』というリアレンジver.があるのですが、自分はこちらのショートバージョンのほうが好きです。

リアレンジでは後半で盛り上がりますが、この曲の透明ではかない雰囲気は壊してほしくないんですよね…。

あと「短い曲ほど歌詞が良い」ってのもサカナクションに関して言えると思います。限られた音の空間に魂を込めている様が伝わってきます。



12位:years

5thシングル『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』、5thアルバム『DocumentaLy』収録

years この先に待ち受けてる時代の泥が
years 僕らを染めてしまうかは分からないけど
変わらないことひとつはあるはずさ

DocumentaLyで聞いていたときは、そんなに耳に残ることもなく、アルバム中の単なる1曲として消化されていました。


ですが、カップリング集に収録される記念に作られたこのMVを観て、なんでこんな名曲を素通りしていたんだ…とその良さに愕然としました。

「僕たちは薄い布だ」
「この先に待ち受けてる時代のハサミは 多分この帆を切り刻みバラバラにするけど」

これらの詞にちりばめられた言葉を大胆に表現したミュージックビデオは本当に素晴らしい出来だと思います。

「時代」という珍しく大きなものを歌った、一郎さんの覚悟が伝わってくる一曲。



11位:ネイティブダンサー

3rdアルバム『シンシロ』収録

いつかあの空が僕を忘れたとして
そのときはどこかに雪が降るのを待つさ

これも名曲ですね。冒頭のピアノからなぜこんなにも惹き込まれる曲を作れるのか…

他にも「染み付いた汚れ 落ちてしまえ」の"ぉおちてしまえ"って歌い方とか、「そう雪になって」と「そういう気になって」の押韻とか、「僕はいたって最後方」の後ろに下がっていく感じとか、好きなポイントが有り過ぎる。。


もちろんこちらの特徴的なMVも、この曲とは切っては切り離せません。

この曲に限りませんが、サカナのMVは視覚的に非常に強いので、観ると一気にその曲のイメージが固まってしまうのは難点かもしれませんね。



10位:mellow

6thアルバム『sakanaction』収録


まるで君は夜の海月

超チルい。

正直、「チルい」の意味がよく分かっていないけど、もしこの形容詞が当てはまる曲があるとしたらこの曲しかない!と思います。


前はそんなに好きってほどじゃなかったのですが、最近歳をとったせいか、こういったダウンテンポのゆ〜ったり揺れる感じの曲が刺さるようになってきました。

それこそカラオケで揺れながら歌うと超気持ちいいんですよ、最近の発見です。



9位:夜の東側

1stアルバム『GO TO THE FUTURE』収録

さよならする夜の東側

この文章を読んでいる皆さんには一つだけでも覚えて帰ってほしい。

サカナは1stアルバム『GO TO THE FUTURE』こそ至高

だと。

いや『シンシロ』が名盤だとか『DocumentaLy』は最高傑作だとか各々言いたいことはあるでしょうが、わたしはあくまで1stを推します。一つ一つの曲の強さで言えば他に軍配があがると思いますが、アルバムとしてのまとまりは1stが一番好きです。

ロックとテクノミュージックの融合がサカナの代名詞ですが、初期はどちらかと言えばロック、それも静かで簡素な音に寄った曲が多い印象があります。

そうした曲のひとつがこの「夜の東側」。

さすがにデビューアルバムのラストを飾るだけあって、風格のある名曲です。

「テレビの明かりだけで夜を読んでた」とか「立ち止まった夜に話しておこうか」など、独特の言い回しも最高。

夜に執着し続けるサカナクションの原点が詰まっています。



8位:enough

3rdアルバム『シンシロ』収録

たまに正直な君のことを想ってさ 話すようにするよ
直喩のまま 直喩のまま

この曲を聴くときはいつも部屋の電気を消し、真っ暗な状態で曲に浸ります。…いつもってわけじゃありませんが、理想的には毎回そうしたいイメージの曲です。

「嘘です が嘘です」から始まる文学的な歌詞に、初聴のひとを驚かせる起伏に富んだ展開

一郎さんの、そしてサカナクションのセンスと技巧を感じられる曲です。



7位:ユリイカ

9thシングル『グッドバイ/ユリイカ』収録

いつ永遠終わるかな

2013年末、サカナクションは『ミュージック』で紅白歌合戦へ初出演を果たしました。

「アンダーグラウンドとオーバーグラウンドを自由に行き来したい」
「メジャーシーンのなかで良い違和感を醸す存在でいたい」

大衆とコアの間での立ち位置をデビューから強く意識してきたサカナクションにとって、紅白は大きなチャンスであり、またチャレンジングな分岐点でもあったでしょう。

そんな大イベントのすぐあと、注目を浴びる中で発表した新曲がこの"ユリイカ"。

まずMVのクセがすごい。

並び立つ女性の裸体を東京の街並みに喩え、それを一郎さんが手でなぞっていく。

公開当時、純粋な中学生だった自分は単純に「いくら芸術とは言え、こんなことしてもいいんだ」と衝撃を受けたものです。

曲もどちらかと言えばコアな音楽聴き向けの、一般受けしなさそうな曲調。

紅白で新規ファンを一気に取り込むチャンスで、わざわざライト層を突き放して選別するようなこのような曲を公開するのがサカナクションです。


案の定それほど売上は良くなかったらしいですが、自分は本当に大好きな曲です。

まず暗鬱さを抱えながらも滑るように進んでいくイントロが超好き。サカナで特に好きな曲はだいたいイントロで勝負が決まっている感があります。

それから「いつ永遠終わるかな」といっているように聞こえるサビ。実は「永遠」の部分は歌詞に無く、一郎さん自身も「yeah yeah」のつもりで歌っていたらしいのですが、ファンの解釈ツイートを見て「それ超良いね!歌詞変えようかな」となったそう。(ガバガバかよ…でもそんなところも好き)


北海道出身のサカナクションには、メジャーデビューして移り住んだ「東京」を歌った曲が幾つかあります。(「仮面の街」「モノクロトーキョー」「表参道26時」など)

その中でも、ユリイカはひときわお気に入りの曲です。東京へ出かけたときには、電車に揺られビル群を眺めながら必ず一度はこの曲を聴くようにしています。同じような地方住みのサカナファンは多いはず。



6位:目が明く藍色

4thアルバム『KikUUiki』収録

制服の染みみたいな 嘘をついて泣いた

前述のハッシュタグ「サカナクションのこれ一曲」の、他でもない一郎さん自身が選んだ一曲であり、15周年ライブのファン投票で一位に輝いた曲。

つまり、サカナクションを歌う側も聞く側もいちばん大事にしている、文句なしにこのバンドを象徴する曲であると言えるでしょう。

たしかに、個人的により好きな曲はありますが、「サカナの中で後世に残す曲をひとつだけ選べ」と言われたらおそらく自分もこの曲を選ぶと思います。

この曲を完成させたとき、一郎さんは「もう音楽をやめてもいい」とまで思ったそう。

そんなに凄い曲なの?とお思いの皆さん、まずは一度、最後までじっくり聴いてみて下さい。



この曲を知った当時の、まだ中学生だったあの頃をたまに懐かしく思い出します。青春の1ページにこの曲があったことを、僕はずっと大事に抱えて生きていきます。



5位:エンドレス

5thアルバム『DocumentaLy』収録

と終わらせる人

1番2番ラスサビと、アレンジを変えて飽きさせないサウンド面も大好きなのですが、やはりこの曲は歌詞について言及しないわけにはいかないでしょう。

youtubeのコメント欄を見て思ったことを書いたという詞は、現代社会の終わらない人間関係の摩擦、無限後退する自意識を表す、シンプルにして緻密に計算しつくされた芸術だと思います。



自分にとってこの曲は、インターネット上の人間関係に疲れたり、他人の黒い感情を垣間見たりしたときに逃げ込む、安全シェルターような存在です。

この曲を聞けば、いくら他人に腹が立っても人間に絶望しても、割り切って自分が集中すべきことに目を向けることが出来ます。

「終わらせるひと」は誰でしょうか。



4位:スローモーション

4thシングル『ルーキー』、カップリング集『懐かしい月は新しい月』収録

淋しいのは雪から雨に変わったせいで 意味はないけど

シングルのB面、カップリング曲で手を抜かないどころか屈指の名曲を生み出してしまうのがサカナクション。

形容しにくい独特なイントロからの、冬の寒さと虚しさが伝わってくるAメロ。後半からいい味を出すアコギも加わり、徐々に躍動的になっていきます。

からのカラオケで歌えない超高音のサビ。高すぎてライブでなかなか歌ってくれないのが悔やまれます。

そして間奏の轟音ギターからのラスサビの盛り上がり。「だんだん減る未来」というコーラスを間に挟んで更に盛り上げるのが最高に好き。ここのコーラスはずるい。


カップリング集に入るタイミングでMVが作られ、B面として隠れた名曲がより多くの人の耳に届くのは本当に喜ばしいことなのですが、このMVは特に奇抜なので出来ればまずは動画を見ないで聴いてほしいです。

自分の中でこの曲のイメージを十分に作り上げてからMVを観て、存分に塗り替えられて下さい。自分はそうでした。



3位:シーラカンスと僕

4thアルバム『kikUUiki』収録

曖昧な若さを 無理に丸め ゴミだとした
どうか僕が僕のままあり続けられますように

上に書いたのは曲のラストの歌詞です。

自分はこの部分の詞が本当に、おそらくサカナクションの詞のなかでいちばん好きです。

アルバム限定曲なので今すぐ聴かせられないのが本当に残念ですが、この曲は深夜に自分を見つめて悩む若者を、都市を泳ぐシーラカンスに見立てて歌っています。

リバーブがふんだんにかかったボーカルは、深海の雰囲気を助長します。

一番うしろで小刻みに打つ乾いたドラムは、水面からまばらに差す光でしょうか。

サビでは「青い目とウロコでうろうろする僕はシーラカンス」なんて、少し気の抜けた洒落もあったりして。

そうしてたどり着く、最も盛り上がる曲の最後でこの歌詞です。

「どうか僕が僕のままあり続けられますように」という祈りは、絶対に叶うことのない祈りなんですよね。

だって「曖昧な若さを無理に丸めゴミだとし」ているから。自分でもう手放してしまっているんです。それでも祈る。祈るしかないんです。

決して叶わず、それでも切実に本気で祈っているからこそ、この祈りは尊いのだと私は思います。



2位:白波トップウォーター

1stアルバム『GO TO THE FUTURE』収録

通り過ぎて行く人が 立ち止まってる僕を見て
何も知らないくせに 笑うんだ 笑うんだ

イントロが好き。

サカナクションの全ての曲の中で、というより今まで聞いてきたあらゆる曲のなかでもいちばん好きなのではないか、というくらい好き。

正直イントロが好きすぎて、あまり歌詞覚えてないし他の部分に対して語れませんが、とにかくイントロが好きです。

でもよく考えてみれば、イントロって歌が始まれば終わり、じゃなくて、その後も曲のずっといちばん下で鳴り続けているんですよね。

だから全部好き、とも言えるかもしれない。

まぁとにかくイントロが大好き過ぎて、ここまで上り詰めた曲です。以上




1位:ミュージック

8thシングル『ミュージック』、6thアルバム『sakanaction』収録

振り返った季節に立って
思い出せなくて嫌になって

文句なし、予定調和、何があろうと揺らぐことはない、僕がいちばんサカナクションで好きな曲は「ミュージック」です。

初披露のMステで初めて聞いて、いきなり刺さったわけではありませんでした。それでも、なんと言ってもあのコーラスが入るラスサビでしょうか、その盛り上がり方にやられてみるみるうちに中毒になっていきました。

サカナクションの曲には総じて中毒性がありますが、この曲のそれは中でも群を抜いていると思います。

生活の端々で、とにかく"聞きたくなる"。

聞いている間ひとを虜にするのはありふれた名曲ですが、聞いていない間までこちらの心をひしと掴んで離さない曲はなんと形容すればいいのでしょう。

そして、そんな音楽の一線を越えた曲に冠された名が「ミュージック」。

この曲は、自分にとっての精神安定剤です。

「盛り上がりたいときに」「泣きたいときに」「昼どきの町を歩きながら」…ある曲を聞きたいと思うタイミングは曲ごとに違います。

しかし、この曲はいつどんなときでも聞ける。聞きたくなるんです。

サカナクションに出会って、この曲に出会って以来、自分という存在の多くの部分はこの曲によってつくられています。

あまりに好きすぎて、20歳の誕生日を迎える瞬間、いてもたってもいられず家を飛び出し夜道を歩きながら、ラスサビで日付を跨ぐようにこの曲を再生しました。

「だらしなくて弱い僕だって歌い続ける」とこの曲は歌ってくれます。

だらしなくて弱い僕だって、これからもこの曲を聴き続けながら生きていくのでしょう。生きていきます。





以上が自分の(現時点での)「サカナクション好きな曲ベスト15」です。

もちろん、ここに入らなかった曲たちも大好きです。全ての曲が好きと言えるのはサカナクションだけだと思います。こんなにも好きなアーティストに出会えて良かったと心から思います。


最後に、この文章を書くきっかけを下さったVOCALOSENSEさんの「サカナクション好きにオススメのボカロ曲」プレイリストを紹介させて下さい。


それではまた。

【わたしの書いたほかのサカナ記事一覧】
サカナクションと「夜」についての統計的考察
 サカナの曲の歌詞に「夜」が出てくるのは何曲あるのか調べました。

サカナクション好きにオススメのボカロ曲
 タイトルの通りです。「サカナのこの曲が好きならこのボカロも好きかも?」と提案していく記事。偏見をなくせばボカロって意外といい曲たくさんありますよ♪

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