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『ATRI -My Dear Moments-』プレイ感想

総プレイ時間:12時間50分
実プレイ日数:6日間




感想まとめ

自分がこれまで出会ったあらゆるコンテンツのなかでもっとも愛している「国シリーズ」のKazukiさんが、まさかのANIPLEX.EXE第3弾(4作目)『たねつみの歌』(2024年発売予定)に起用されて超びっくりした余韻がまだ止みそうにない。 これは『たねつみの歌』までにエグゼの過去作をぜんぶ履修しておかなくては……!ということで、前々からやりたいとは思っていた『ATRI』をプレイした。今夏にアニメもやることだし。


クリアした直後の端的な感想↓
アニプレックスエグゼの1作目として、美少女ゲームのど真ん中をぶち抜く作品をまずは作っておきたかった、という思惑と気概は十分に伝わった。ただし、わたしは男主人公とヒロインが相思相愛でイチャイチャして困難を乗り越えて添い遂げる、いわゆる「純愛」モノの王道の美少女ゲームは好みでなく、さらにはロボット/アンドロイド属性も苦手な傾向にあるため、アトリにあまり魅力を感じられず、アトリとの関係に焦点を当てたメインストーリーには全然乗れなかった。客観的には高水準によくまとまったベタなアンドロイド純愛美少女ゲームだったのではないでしょうか。

・苦手な部分
なぜアンドロイドものが苦手かといえば、「機械には心があるのか否か」とかいう世界一しょうもない命題の周りを一生グルグル回ってはドラマを紡ごうとしているのが下らないとしか思えないため。そして本作はまさにこの例に漏れなかった。雑にまとめれば、アトリに…… 心が生まれて恋人になれた→やっぱりなかった。全ては演技だった→やっぱりあった→Happy End.. という茶番としかいいようのない展開を真剣にやっていたので、苦笑すらできずに虚無の感情で読んでいた。心とは意識であり感情なのだそうです。機械の意識をめぐるロボットSFとしては低級も低級の出来だった。

また、心云々のテーマ以前の問題として、アトリの性格や言動、キャラ性があんまり好みではない。
シスヘテロ男性オタクにとって理想のヒロインとは「母」と「恋人(妻)」と「娘」の3属性を網羅している美少女である、とえろい人は言ったけれども、アトリはヒューマノイドであることを存分に生かしてこれを衒いなくコンプリートしている。これぞ美少女ゲーム! しかし、わたしはこういうヘテロ男性の欲望が都合よく結晶化した畸形的なヒロインに対しては、魅力を感じるどころかグロテスクだと思ってしまう。わたしの好きなヒロイン像は、わたし(シスヘテロ男性)の想像力や支配力のまったく及ばぬところで、自由に生きている自立したヒロインである。こちら(男)のことなど見てほしくない。こちら(男)との関係によって規定されるような従属的なヒロインがとても苦手なので、アトリのことは最後まで好きになれなかった。マスターである人間に奉仕するために作られたヒューマノイドである時点で厳しいが、たとえそうでなくとも、この観点で苦手なヒロインは存在する(『ぬきたし1』の琴寄文乃とか……)。

そもそも、衣装も含めたロリっぽい性格も、恋愛対象ヒロインとしては好みでない(恋愛対象としてでなければ子供キャラは決して嫌いではない。本作でいちばん好きなキャラは凜々花だと思う)し、実は男主人公が幼い頃に出会って(救われて)恋をしていた……というドラマチックな幼馴染属性も苦手だ。それを後から明かすプロットもダメ押しをしている。(わたしは幼馴染原理主義者を自称しているが、幼馴染の本質は「歴史性/ドラマ性の欠如」だという持論がある。それに照らせばアトリはもっとも苦手とする幼馴染キャラだ。「運命」みたいなものからもっとも遠い位置にいる幼馴染キャラが至高。)

このように、「いかにアトリが苦手か」に関しては、幾つもの理由を語ることができる。

ただし逆にいえば、わたしは『ATRI』の「アトリ以外の部分」はけっこう面白かったと思う。アトリをメインヒロイン(恋人)とした恋愛モノ、美少女ゲームとしては嫌いだったが、そうではない角度から楽しめたところはある。

それは何かといえば「学校モノ」としてである。学校モノとしては『ATRI』を良作だと思っている。みなさんご存知のように『ATRI』は海面上昇によって文明レベルが著しく下がった地球を舞台にした近未来SFである。そのなかで、校舎の2階半ばまで浸水して廃校になった学校が、日常の主要な空間として登場する。この学校がすばらしい。

第一に、その絵面がすばらしい。
そもそも、浸水して荒廃した海辺の田舎町のエモい風景(標識や電柱が水没している)なんてオタクは全員好きなわけだが、この学校の背景美術CGでは渡り廊下と外付けの(非常?)階段が前面に押し出されており、「渡り廊下」という概念や「水に沈む階段」というスポットが好きで、学園アニメでその概念をキーにしてアツく論じたり、ひとり旅でそういうスポットを見つけては撮り貯めをしたりしている自分には特に刺さる最高のCGだった。

第二に、そういう最高の絵面・風景を、単なるエモい絵面・風景として登場させて終わりじゃなくて、ちゃんと物語のなかで "活かした" のがすばらしい。
大人が維持できなくなってしまった学校で、数名の子供たちが教え合って「学校」ごっこを細々と続けている。この、子供同士で学びの場をつくろうとしている光景だけで、わたしなんかは泣きそうになってしまうが、半分まで沈んだ校舎はまさにこの「学校ごっこ」が行われる空間として象徴的に相応しい。
また、主人公の夏生がそんな学校ごっこに加わって理科の授業の一環として発電機の自作をやったのをきっかけとして、この学校そのものを発電機として利用して、夜に教室の電気を灯してやる気のある子供の自習を後押しできないか、という方向に話が展開する。(前述の通り、学校に住み着く才能あふれる孤児の凜々花がいちばんお気に入りのキャラだ。凜々花が手回し発電機の灯りで本を読んでいる夜の屋上の一枚画が、本作でもっとも印象に残っているスチルである。)

①理科の授業の延長として、②夜の学校に電気を灯すため、③「廃校」から学校を復活させる嚆矢として、④沈む廃れゆく田舎町を再興するきっかけとして、⑤沈み滅びゆく人類を救う第一歩として……という、実に5重もの目的・文脈が乗っかった「学校発電機製作」のエピソードは本当に良かった。
物語上でも学校(という舞台)を活かし、発電機として物理的にも学校(という建造物・空間)を活かしているのである。
2階半ばまで浸水していて、潮の満ち引きによって2階フロアの水量が変動することを利用して、2階の教室の床に穴を開けて垂直型タービンを設置して水力発電を行う。こうした発電メカニズムや具体的な製作内容の説明も丁寧だったし、なにより学校という空間が単なる学園生活の「背景」にならずに、その階段の高低差やフロア構造といった実体をともなった建造物としてキャラ達から扱われているのを描いてくれることの嬉しさといったらない。そこんじょそこらの普通の学園青春モノよりもよっぽど、「学校」という舞台に向き合って、作中でそれを丁寧に扱って描いていた。この意味で、『ATRI』は「学校」青春ゲームとして傑作だと思う。発電機が完成して最初に教室に光が灯ったあの夜の校舎のスチルの美しさ、感動といったら…… やっぱり「廃校阻止」のために生徒たちが頑張るハナシは面白いよね~

以上のように、わたしにとってアトリは『ATRI』という作品にとって正直いらなかった。美少女ヒューマノイド・アトリとの交流恋愛要素をすべて消して、シンプルに、海面上昇で荒廃した世界を舞台にした、海辺の田舎町でのひと夏の学校青春モノだったらかなり高評価だった。恋愛要素というか、「美少女ゲーム」要素がいらない。
ANIPLEX.EXEのキャッチコピーは「ノベルゲームだから、おもしろい。」だが、わたしにとって『ATRI』は「美少女ゲームだから、つまらない。」作品だった。それ以外の、海面上昇SFを遠景に置いた夏の田舎の学園青春モノ要素だとかはかなり面白かった。

※ただし、『ATRI』がド王道の美少女ゲーム的ノベルゲームとして苦手だったことで、ますます、このあとでアニプレックス・エグゼが、商業ライター経験のない同人作家のKazukiさんを起用したことの素晴らしさが引き立つと感じる……。「国シリーズ」は、ノベルゲーム/ビジュアルノベルを、「美少女ゲーム」からいかに遠いところまで持っていけるかに挑んでいる作品群だとも見做せると思うから。(もちろん、第3作目に瀬戸口廉也を起用して『ヒラヒラヒヒル』を出した時点で偉大だと思うけど、あれはけっこう直球に美少女ゲーム要素はあったからな…… 『徒花異譚』はこれからやらせていただきます!)


・その他
サブヒロインの神白 水菜萌(みなも)について。水菜萌の第一印象は、アニメ『凪のあすから』の 向井戸まなか みたい!だった。

神白水菜萌(『ATRI』)


向井戸まなか(『凪のあすから』)

そもそも「海」を主要モチーフとした恋愛劇であり、海辺の荒廃した田舎町や、海の底の街が出てくる点など、このゲームの雰囲気がかなり『凪あす』っぽいとは思っていた。わたしはTVアニメで『凪あす』がいちばん好きだし、凪あすのキャラでまなかがいちばん好きなので、とうぜん「まなかっぽい」典型的な幼馴染ヒロインの水菜萌さんは好印象だった。
ところが、水菜萌は夏生のことが好きなのに、恋敵であるアトリに嫉妬したり、アトリとイチャつく夏生に焼き餅を焼くような素振りを一切見せず、すべてを優しく受け入れる。「良い子」なんだけど、「良い子」過ぎて、わたしの好みからは外れてしまった。わたしは『凪あす』などの三角関係ドロドロ昼ドラ的恋愛劇が性癖なので、水菜萌-夏生-アトリの三角関係をおいしくするために、水菜萌にはもっと我を出してほしかった。悩んでほしかった。優等生ではない、見苦しい感情を見せてほしかった。でも、水菜萌はまさに夏生とアトリを中心とした恋愛ストーリーの「脇役」に過ぎないと言わんばかりに、ふたりの恋路を応援して、最後まで「いい子」でいてしまう。TRUE ENDの顛末にもちろん思うことはあれど(プレイメモ参照)、しかしやっぱり最期まで水菜萌は水菜萌のまま、すべてを受け入れている。このように、好みっぽかったサブキャラまでも残念な風にしてしまう点でも、やはりわたしにとってアトリ(との物語)は『ATRI』にとって邪魔、無いほうがよかったと思うのである。


男友達ポジションの竜司(リュウ)に関しても……一緒に発電機を作ってる辺りではかなり好きだったが、その後、夏生とアトリの恋路を後押しするムーブをかまし始めると苦手になった。ここらへんの描写・展開は(「保健体育」の授業のくだりなど)ホモソーシャル感が強く、恋愛至上主義かつ異性愛中心主義であり、ジェンダーバイナリー(男女二元論)を自明視している極めて非-クィアなトーンが色濃く出ているので、そういう面でもかなり受け入れがたかった。恋愛(異性愛)の押しつけをするな!と思っちゃう。それが、美少女ゲームに対しての言葉としてはナンセンスに過ぎることは自覚した上で、それでも。ヒューマノイドと人間の恋を描くのは、やりようによってはかなりクィアな(それこそダナ・ハラウェイ『サイボーグ・フェミニズム』的に?)物語にもなれそうなものだけれど、逆に、素朴にヒューマノイドに「心」を見出して「恋」をさせて「人間化」させていく、恋愛主義と人間中心主義が融合した、ものすごく抑圧的なハナシになっていた。(「美少女ゲーム」のこういうところが嫌いなんだよ!と再確認するプレイ体験だった。)

途中で出てきたしょうもなさすぎる悪役・ヤスダとはなんだったのか。こんな奴に対して義憤を燃やすような、こんな低レベルのスカッとジャパン展開で感動するような読者だとこのゲームの作り手には思われているのか、馬鹿にするのも大概にしろ、と思っちゃった。アトリの過去回想でのいじめエピソードといい、こういうところ、『H2O』的というか『サクラノ詩』的というか、すかぢ/枕作品のこういうところが嫌いなんだよ!と再確認するプレイ体験だった。(回想パートでの影絵演出には良い悪いでなく笑っちゃったよね。十八番すぎるだろ。それを言ったら松本文紀の主題歌もだけど……)



プレイメモ

タイトル画面からめっちゃケロ枕っぽいピアノBGM
「ゲーム再生速度」って何? テキスト表示速度とはまた違う
テキストウィンドウ背景の濃さ調節できないんだ
「C」で中国語、「E」で英語になる。「J」=日本語
テキスト非表示のショートカットキーが無いのか〜

──地球にわたしも含まれますか……?

夏生 「俺」の一人称 右足の幻肢痛 主人公の立ち絵やスチルがある!!
「人相が悪い」とかいう少女マンガやエロゲの主人公特有の設定
義足持ちのヒトと少女アンドロイドの恋愛をやるのか
キャサリン ビジネスパートナー?
神白 水菜萌(みなも) 朝起こしに来てくれる近所の同級生
ワイプ内に立ち絵を出す演出あんま見たことないな
凪あす1話を思い出す雰囲気 水と空と船と登校と少女と…… 水菜萌がまなかっぽい
8年ぶりに祖母がいた海辺の田舎町へ帰ってきた夏生。
海に沈んだ町! 凪あすやん 
「かつての豊かさ」を知らない世代
おばあちゃん海洋地質学者だったのか 祖母さんの遺した宝がアトリ……
終末のステラと同じような出会い方 
いきなり合法的にキスした 空気の口移し
なんか今のところ、男主人公がベタにスカしててキツい 挫折を経て達観している ザ・美少女ゲームを衒いなくやるんだろう
斑鳩(いかるが)夏生(なつき) かっこいい名前
おばあさん乃音子ってなんて読むんだ
標識や電柱が沈んだ終末の風景みんなほんと好きだよね
海面上昇で荒廃した世界の背景美術めっちゃ好きだけど、AI生成っぽいとも思ってしまう
立ち絵・スチルの一部を拡大して映すときにシネスコみたいに画面サイズが変わる
ここで早くも選択肢!
>アトリを行かせる
バッドエンドっぽいので
そうもならなそう
お〜 SD絵というかデフォルメ絵だ
下着……というかポンチョみたいな服の下のワンピースだ 脇!
「地球を救う」エリート街道からの転落 学費不足
幼い頃、トンネル崩落事故で右足と母を失う その時から身に着けていた義足を学費の足しにする
文字通りひとりで立つことが出来なくなり、幻肢痛も再発したことでアカデミーを休学して田舎町へと逃げ出してきた
休学にシンパシーを覚えてしまうひと
自分を「マスター」と呼んで口付けや膝枕をしてくれる美少女ヒューマノイドさえいれば幻肢痛も不眠も鬱もすべて解決する!!うおおおおお
昨日は7/18だった 8/31までの関係
7/19
学校最高 水没階段、渡り廊下
凛々花ちゃん 
あ、水菜萌が先生やってるんだ
野島竜司 細谷さん?
高1なんだ水菜萌 夏生は高2 竜司は高3
7/20

・リュウの祖父の元工場からFRPの原料をサルベージして発電設備を作る途中まで
なんか意外とおはなしが面白い。なぜなら、かなり「教育的」な内容だから。
原因不明の海面上昇で陸地と切り離されて「島」になった田舎町の、2階まで水没している学校を存続させようと、子供たちだけで授業・勉強会を開いてみたり、そこでの理科の実験から発展して、学校施設そのものを水力発電に利用できないかと真面目に取り組む。水没荒廃SFという大きな建て付けをバックグラウンドとして、モーターの原理や実作といった現実的で地に足のついた科学教育をイチから丁寧に扱って、それを「楽しい日常パート」としていることに好感が持てる。まさか『数学ガール』的な方向性のハナシだとは……。学校に住み着く孤児である凜々花ちゃんが好奇心に基づいて勉強していく姿には胸をうたれた。夜に屋上で月明りと手回し発電機の光を頼りにひとり科学書を読むシーン/スチルはすばらしかった。

地域が荒廃して教師がいなくなってしまったことで、かえって普通の学園モノよりもしっかりと「授業」「教育」「学び」を描いているという転倒が面白い。"終末" が迫っても一部の生徒と教師が学校に来て変わらない日常生活を営もうとしていた『終末の過ごし方』(昨日やった)とは好対照だ。フィクションで教育を描くうえで「教師」なんて要らなかったんや……ッ!

そもそも『凪のあすから』(東地和生さんの美術)的な荒廃したエモい風景・世界設計は大好きで、特に水没した学校の美術はとても良かった。渡り廊下と外付けの階段を前面に出しているのがGOOD。現実でも「水没階段」は旅先で撮り溜めるくらいには好きなので……。

そのように、当初は表面的な絵面、「風景・背景」としてこの学校の描写ええやんと感じていたのだが、物語が上記のように真摯な教育・学びを描き、さらにはこの学校施設そのものを発電機として利用する、というように話が進んだことで、さらに好感が増した。
なぜなら、単なるエモい風景としての水没した世界・学校に終始するのではなくて、その舞台空間を(教育施設という本性上でも、発電施設という物理的な次元でも)"生かした" 物語を紡いでいることに感動したからだ。この意味で、今のところ『ATRI』はそこらへんの普通の学園青春モノよりも遥かにしっかり「学校」を描けている。終末・ポストアポカリプスSF的な世界設定と「学校」をこんなにも噛み合わせられるんだ……!という驚きがある。やっぱりフィクションの学校は廃校の危機に晒してなんぼですね。

アトリをはじめとしたヒロインたちとのハーレム的なやり取り、コメディのトーンは対象年齢が低いとしか言いようがなくかなり厳しいのだが、上述した学校・教育方向のストーリーの魅力だけで今のところはかなり楽しめている。いまの学校の立て直しパートから次第に水没した「地球を救う」というよりSFらしい壮大な方向にスケールしていき、その過程で祖母が遺したヒューマノイド・アトリの存在意義と築いた親交関係にも焦点が当たっていくことが予想される。うーむ……今がいちばん楽しい段階かもしれない。。
また、立ち絵の差分のバラエティの豊富さもクオリティの高さも申し分ない。「ノベルゲームだからこそ、おもしろい。」を掲げるアニプレックスエグゼの第1作としても引き続き注目して読んでいきたい。
おいしそうな料理のビジュアルが出てこないのが残念


夏生の講義 潮汐発電 垂直タービンを2階教室の床に開けた穴にはめ込む 階段使わないんだ
FRP(強化繊維プラスチック)は海水腐食耐性があり加工も容易
アトリの存在忘れてたw 別にいなくてもいいな……
夏生はロボット工学が専門なのか
せっかく発電機の製作過程やメカニズムをくそ丁寧に説明しているのに、実際のタービンや穴などの絵がいっさい出てこず、以前からの背景美術のみなのが勿体ない。
あ、トンネル事故に遭ったのはこの田舎町じゃないのか。8年前も療養逃避先としてここに滞在していた。そのとき「歳上の綺麗なお姉さん」に出会って立ち直ることが出来た。……アトリの前身? キャサリンだったらおもろい
祖母、八千草 乃音子の名前がいまだに読めない。のねこ? 
キャサリン(小佐田花子)
お〜〜すげぇ 点いた!!! すごすぎる 夜の学校に久々に明かりが灯る。やはり美術によって表現される。
小佐田花子さん元教師なのか 
水菜萌の父親が町長
あぁそうか、アカデミーから逃げ出してきたんだから、要は「学校から逃げ出して新天地でイチから学校を創る」話といえるんだな。つくづく「学校モノ」だ。
生徒20名ほどになったか。
夏生にくっつくリュウに嫉妬するアトリ そこの三角関係なのか……
水菜萌、凪あすのまなかっぽくて好きなんだけど、料理上手で、夏生やリュウが発電機製作やサルベージ仕事をして帰ってくるのを待って毎晩料理を振る舞うなど、さすがにジェンダー役割の保守性がキツい。その点、小学生の凛々花はむしろ夏生やリュウたちと行動を共にすることが多く、科学の素養も抜群にあるので好ましい。アトリは正直どうでもいい。ロボットに興味ないというより、夏生(男主人公)にめっちゃ懐いている感じが女性キャラとしてあんまし好みでない。
「20世紀のバンドの曲」って言い方ほんとおもしろいな
アトリの手書きのログノート機能はなかなか興味深い。そこだけアナログなんだ…… ロボット自身が手書きで外付けログを付ける、というのあんまり見たことないから。
あ、いつの間にか8月に入っていた。あと30日 ゲーム自体も1/3を経過したと考えていいのかな

……色素が淡い感じの女性だった

色素薄い系ヒロインは王道
意外とこの町の経済は回ってるんだな みんなちゃんと仕事している
ばあちゃんの名前「のんこ」か…… 乃音子
水菜萌の母ちゃんの立ち絵どこ!?!?
急激な海面上昇は今から3年前に始まった。10m 緩やかに住む家・町を追われた パレスチナを連想した
アトリの見た目って14歳ぐらいなのか もっと幼いと思ってた
アトリ本人なのか、それともアトリの「元ネタ」の人間なのか
なるほどロボット属性と幼馴染属性を掛け合わせると、「昔は(実質)歳上だったのに今では(実質)歳下」というギャップが演出できるのか。にしても、初恋のお姉さんの正体をこんなにもコメディ調で明かすとは。
にしても、今のところほんと「日常」って感じだな。舞台となる生活空間もほぼ固定(船、学校、たまに商店街)であり、同じ20年代のロボット×ポストアポカリプスSFギャルゲでも冒険モノの『終のステラ』とは好対照。こっちのほうがノベルゲームとしては標準的だ。

・「恋煩い」の途中まで
アトリが(水菜萌よりも更に)幼馴染ヒロインであることが判明し、更に苦手になった。幼馴染ならなんでもよいわけではなく、こういうセンター(メイン)ヒロインで、物語の根幹に関わる「運命的な出会い」をしたことがあとから明らかになるタイプの幼馴染はむしろかなり好きじゃない。好きなのは、サブヒロイン幼馴染──『なつまち』の谷川柑菜や『ダリフラ』のイチゴ、『tt』の湯浅比呂美など──か、メインであっても出会いや過去のエピソードがあまり描写されない幼馴染ヒロイン──『凪あす』の向井戸まなかや『荒乙』の小野寺和紗など)である。
あとは単純に、アトリのポンコツ感や幼さ、その他の全面的な挙動が好みではない。デフォルメ絵とかで「かわいい」とは思うものの、それ以上の好感には繋がらない。
アトリや水菜萌といったヒロイン達との(ヘテロ恋愛)関係がイマイチなのを除けば、けっこう楽しめているのだけれど……美少女ゲームとしては致命的なんだよな。
まだ半分に差し掛かったかどうか、という段階であり、ここから物語はどういう方向に向かうのか。アトリとの関係に焦点が当たらざるを得ないだろう。水菜萌(の夏生への気持ち)の掘り下げはあるだろうか。リュウ、凛々花、キャサリンといった他のサブキャラはもうそんなに語ることなさそう。夏生の父親と祖母はこれから更に触れられるだろう。いちばん興味あるキャラは……水菜萌ママ!!!


少女ヒューマノイドと恋愛関係になることがこの時代の社会でどれだけの「タブー」なのか分からないので、ここでリュウから背中を押される夏生の葛藤をなんとも受け取り難いな。
水菜萌もなぁ…… 夏生がモテモテ状態なのに対してシリアスな嫉妬などをすることなく、すべてコメディで流されて「いい子」止まりなのがとても残念だ。もっと我の強い、他人の思い通りにならない幼馴染キャラが好き。まなかはもっと芯が強くてしょっちゅう暴走してたぞ(理不尽な比較) ていうかおそらく、自分は恋愛モノで「失恋」や「片思い」「嫉妬」といった三角関係周辺の感情描写がいちばん好きなんだけど、水菜萌は今のところ、「失恋」がほぼ確定しているのにあんまり悲壮感がないというか、当人も仕方ないよね、という感じでとうに受け入れてしまっているようなのが不満なのだと思う。三角関係なのに緊張感がない。ピリピリドロドロする気配がまったくない。

ピアノも弾ける夏生 すば日々を思い出す構図のスチルだ〜
母から聴いた歌を演奏と一緒に口ずさむアトリ ここで記憶を思い出しちゃうのか? だとすると地理的な動きがない「日常」のままクライマックスに突入してもおかしくないぞ
やっぱ幼い頃に亡くした愛しい母の面影をもアトリに重ねてるのがキツいなぁ…… 母と恋人(妻)と娘の三重願望投影先としてのヒューマノイドの美少女。これ以上なく美少女ゲームど真ん中の設定
海上、夕空と逆光と笑顔
幽霊島に呼ばれるアトリ やっとSFっぽくなってきた

竜司さぁ……夏生の初恋がアトリだと分かってからゴリ推ししてくるの広義のホモソ感あって好きじゃないなぁ そんなに異性愛規範に従順なヤツだとは。もっと硬派でいてほしかった
異性愛至上主義というか、恋愛至上主義っぽいのがキツいですね。恋愛を描くなってわけじゃなくて、「みんなが当然するべき素晴らしいこと」として恋愛を描くのが苦手。ホワルバ2とか、あんだけ恋愛のことしか描いてない究極の恋愛ゲームなのに恋愛至上主義や純愛礼賛みたいなものはまるでなくて、むしろいくらでも他に楽しいことがある世界/社会のなかで愚かにも恋愛とかいうものに絡め取られて自分で自分の首を絞めているしょうもねぇ奴らの物語、って感じなのが良いんだよな。マリーといい志村貴子といい、自分が好きなのはそういう「恋愛モノ」だ。(自分が好きな恋愛作品を恣意的にそうカテゴライズしてるだけの可能性もある)


無垢な小学生とヒューマノイドに(ヘテロ)恋愛のなんたるかを教え込む教師…… 「保健体育」の授業の名目なのもそうだし、マジでかなり厳しいな……「恋愛」規範をすげぇ押し付けてくるじゃん。しかも近未来SFなのに価値観は現代日本の現実社会のものをそのまんま流用している。プロットやギャグのわかりやすさのためなんだろうけど・・・・・
唯一の恋人持ちが小学生の男女ペアで、告白話を聞くのは確かに甘酸っぱくて良い!ってなっちゃうけど、冷静に考えたら色々とヤバいって。彼女らに「恋」とはこういうものです、という規範を内面化させた状態で「教えてもらう」ことで、その押し付けの暴力性を隠蔽しようとしている点も嫌だし、いい大人や高校生などが小学生の恋愛を根掘り葉掘り「保健体育」の授業の名目で聞き出して盛り上がっている光景を無批判に描くのも……
アトリというヒューマノイドに人間の「常識」をインストールする点に関しては、批判しようと思えばできるけど、しょーじきロボットSFにもアトリ本人にも興味があんまないのでどうでもいい。
恋愛至上主義および異性愛中心主義、バイナリー感がめっちゃグロい。クィアが生きていける空間ではない。
「焼き餅」の解説

女子の半数が、水菜萌の料理部に入部していた。

こういうところの性役割保守っぽさも依然としてキツいんだよな〜〜 男子部員はどれだけいるのかな……
そもそもアトリの「料理下手」ギャグ属性もなぁ……もうやめないか……? あくまで、高性能なヒューマノイドなのに料理だけはクソ下手、というコメディ要素であって、「女性は料理できるもの」というジェンダーステレオタイプを再生産するつもりはない、と言い訳するかもしれないけれど、わたしはダメだと思う。
お〜〜〜 ここでようやく料理のビジュアル解禁! これ実写加工? 絵?

8/14 ふたりでのんびりデート
公園の背景CGだ〜〜 海面上昇でお洒落な水路のようになっている
お〜 晴れて恋人になってアトリの声色が僅かに人間らしい艶やかさを帯びるように変わっている。細かい演出やね
8/15
水泳の授業とは思えない水着の数々………ッ! キャサリン先生まで張り切り過ぎでは? しかし「学校指定の物がないため、思い思いの水着」を持ち寄るしかない、という見事な理由付け

アトリ「わたし、泳げません」
アトリ「わたしのボディにはキャサリン先生や水菜萌のような無駄な脂肪が付いていませんので……」
キャサリン「わかってないわね。色気ってのは無駄から生まれるのよ」

名言で草
水菜萌さんが単なる巨乳お色気ギャグ要員になっとる

優秀で将来有望な凛々花をアカデミーに入れたいと考えるキャサリン先生と、否定的な夏生
「指南書」少女マンガで恋愛感情や焼き餅を学ぶアトリ
いっしゅん水菜萌-夏生-アトリの三角関係が前景化するかと思われたが回避された? あ〜勿体ない!! 水菜萌良い子すぎて面白くねぇ〜〜もっと我を出せよぉ〜〜〜
8/16
むしろ夏生のボロい義足にアトリは嫉妬してて、そこがいちばん興味深い。モノ-ヒト-ヒューマノイドの三角関係 「足」という主題と「海」はどう関係する? 「歌」は?
朝は甲板上でお互いに奥歯の歯磨きプレイ  えっちだ・・・w
アトリのスリープ状態が次第に長くなっていて、ここから「幽霊島」絡みでクライマックスのシリアスパートに突入するのだろうけれど、中盤のアトリとの幸福な日常パートがかなり長い。ロープラ中編ノベルゲームのなかでも可能な限り丁寧にやろうという方針が見える。しかしわたしはアトリとの恋愛関係がどうでもいいので退屈なだけなのであった……

ロケットという要素が突如として出てきた。他惑星移住のための宇宙開発事業をめぐる人々の分裂 まぁたしかに海面上昇する地球上でなんとか暮らしていく未来のほうが思い描けるものなぁ。
露骨にぼかされていた夏生の父親はロケットの開発者だった! 「地球を救う」とはこのことか。うおおお男根の象徴!! 機械化された身体で勃起-射精をして人類を救うのだぁ〜〜〜 (宇宙船は精子のメタファーで、母なる「海」は卵子…… なるほど「地球」という実の母を亡くした不能状態から勃ち直って他の惑星の海=アトリへと欲情して精子を飛ばせるようになるハナシ……ってコト!?)

夏生「言ったろう、俺はおまえに救われたって」
夏生「もう地球を救う必要はないんだ」
俺自身が、すでに救われているのだから。

立ち絵の上下配置で身長差を丁寧に描いてきてからの、ハイヒールサンダルで少し「目線」が近づく演出いいですね
うお〜〜 ここでキス分岐か! そういやこれ一本道じゃなくて序盤に一個選択肢あったな
>キスをする

夏生の松葉杖をアトリの「脚」の後ろに重ねる構図めっちゃ上手いな〜〜 スチルの邪魔をしない意味でも、アトリが夏生の「足」になる、というテーマの表現としても。

お〜〜〜! ここでそう落とすのか〜〜〜 アトリのロボットとしての寿命・劣化とか、幽霊島とか、何らかの外部要因によってシリアスパートに突入すると思っていたけれど、そうじゃなくて純粋にアトリと夏生の二者関係のなかで「アトリはヒューマノイドである」という前提の再確認だけで落とすとは。手書きのログノートもてっきり終盤の感動展開で使うと思ってたわ。
アンドロイドものとしてありがちな展開ではあるが予想外だった。しかし、夏生ざまぁwとは思うけど、だからといってアトリに一気に好感が持てるわけでもない(そもそもロボット/SFが苦手)ので、まぁ……。。「心」があるとかないとか、ほんとしょうもない。
あ、寿命は寿命なんだ。地球の主権(!)を奪われるのを恐れた過去の人類はヒューマノイドの「脳」にだけ寿命を設定した。

アトリ「今の夏生さんは嫌いです」

お〜 ここまではっきりと言わせるのは交換が持てるな。ここから水菜萌√に入ったら絶賛してもいいが、どうせなんやかんやあってアトリとの感動的な〈純愛〉で泣かせにくるんだろう。
ともかく、アトリは夏生が昔言っていた「地球を救う」という約束を果たさせたがっているらしい。祖母のん子さんのプロジェクトとは、アトリを介して夏生に地球を救わせること? 父親のロケット開発はどう関わる? 母を亡くして絶望していた夏生を救うために母親代わりでアトリが作られたのかとも思ったけど、そうではないっぽい。

「男主人公が自殺のために高所に昇ったら先客(ヒロイン)がいる」というゴリゴリのテンプレート展開
ていうか、祖母のん子が「作った」のだから、夏生がどう感じるか関係なく、アトリ≒夏生の母(のん子の娘)なんだな。今さら気付いた。なんでお母さんではなくお祖母さんが製作者なんだろうと思ってたけど、そういうことか。
「生きたいという気持ち」と「恋する気持ち」を同一視する恋愛至上主義
幽霊島は祖母が関わっていたメガフロート「エデン」だった。
8月末に期末テスト、そのあとから夏休み? 義務教育としてはズレている
入道雲はロケットの隠喩だったのか
父からの学費の仕送りが滞ってアカデミーに居辛くなった件、何度振り返ってもしょうもないんだけど訂正されるんだろうか

エデン上陸編
恋人関係はシミュレーションであり演技に過ぎなかった、という衝撃から、アトリ側は特に変わらずに、夏生側が「恋人の演技をしないそっけないアトリもこれはこれでイケる」的に受け入れてなあなあに「解決」してるの草  だけど妥当ではある。まぁそれをいったら、ヒューマノイド美少女の萌えポイントにある程度の機械的な素っ気なさが含まれているとしたら、何も認識的な逆転でも成長でもなく、「やっぱヒューマノイド美少女って萌えですね」という振り出しに戻っただけではあるのだけれど。こないだまでの、まるで人間の美少女とまったく遜色ないくらいのイチャイチャ関係がむしろロボット萌えを損ねている、というスタンス。とはいえ、本当にヒューマノイド美少女原理主義者だったら、今のアトリでもまだけっこう「人間っぽい」都合の良さはあるんだよな。まぁヒューマノイドの時点で人間っぽさ・都合の良さはあって当然なんだけど。ここらへんが難しいところであり、自分がロボットSF一般に興味を持てない点でもある。

夏生「俺からしたら、可愛い女の子だ」
アトリ「そのように造られました。わたしがわたし自身の努力によって獲得した性能ではありません」
アトリ「わたしは学習によって得た能力で、価値のある存在になりたいです」


学費不足のフォローが入った。当初は特待生で学費免除されていたが、「地球を救う」なんて無謀だと感じるようになってから落ちこぼれて特待生ではなくなった。夏生は勉学のモチベーションと自信を失っているためにアカデミーに戻りたくないのだった。
てか竜司くんは無事なのか? どうせ生きてるんだろうけどまったく心配すらされてなくて可哀想
いつもの人柱設定 しかし命令者はのん子祖母さんではない?
なんかあっさりエデンから脱出して帰ったけど、ここからどうするんだ? やっぱりエデンとアトリの結合が必要に迫られる展開かな

・壊れゆく日常
アトリのマスターが夏生の祖母のん子さんではないとしたら母親? 事故死したのを捨てられたと思って自死しようとしていた?
アトリの機種は31年前にリコールされていた。つまり30年以上前に製造され、夏生と出会った8年前までの経緯が不明
小学校ヒューマノイド乱入暴行事件を起こして脱走したのがアトリ?
お決まりの記憶喪失系ヒロイン
8/26 あと5日間
アトリを狙う賞金稼ぎヤスダ キャサリンの知り合い
おお、今は選べない選択肢だ 「靴を拾う」
>そのままにしておく
ヤスダとかいう敵キャラの薄っぺらさがヤバい めっちゃ冷める
アトリのシリーズを設計した小西久作先生の弟子? 

AIに心が生じない事は20年代からの常識です

「20年代」?
心があるないどうこうと、マジでしょうもない話題を大真面目にやっていて退屈きわまりない
暴走してムカつく人間を殺めて血まみれのアンドロイド美少女 オタクの好きな記号やね
BAD END こういう形骸的なバッドエンド、いるかなぁ…… いらないと思うなぁ……

あれ? まだ「靴を拾う」が押せない。序盤の分岐を回収するべき?
>アトリは俺が預かる
こっちでもすぐに既読パートに合流した。
そういえばキスをするかしないかの分岐もあったんだった。
>ジッと見つめる
あれっ、これでも靴が拾えない。
>キスをする
預かる→キス これでいけた。積極的なほうを2連続で選ぶのが正解ということか。あーめんどかった。スキップしても長い
>靴を拾う
アトリが暴走してヤスダを殴るのは変わらないんだ。えーマジでこのスカッとジャパン展開やるの〜 こんなので溜飲を下げると思われていることに憤りを感じざるを得ない。対象年齢が低すぎる!!!
心とは意識。悲しみという感情で泣くことができる。あっそう…………  マジでつまらない。虚無!
やっぱり夏生の母:八千草詩菜(しいな)がマスターだった。

おお、『サクラノ詩』の例の√みたいな、影絵での人形劇風の回想演出だ。すかぢさんだなぁ
詩菜が9歳の頃にのん子から買い与えられたヒューマノイドがアトリ。詩菜は学校でいじめられていた。いきなりめっちゃケロ枕作品の雰囲気になって草生える この文体、明らかにすかぢさんが書いてない?
あーそれで飛び降り自殺しようとしていたマスター(詩菜)を扇動していたいじめっ子と担任教師をアトリは攻撃したってわけね。それが暴走事故の真相。やっぱりアトリは(人間の倫理観的に)何も悪くなかった。冷めるわ〜〜〜 けっきょくいじめ加害者が元凶かよ。アトリも「マスター」も夏生もみ〜んな被害者。しょうもな。『H2O』のつまらない√のような感覚を味わっている。

アトリ「……守るのはわたしの役目です。夏生さんは守られていてください」
夏生「やだね。俺はおまえが好きなんだから。人間は好きな女の子を守りたいって思うものなんだ」

うおおお!! 「人間」=男!!! 「男は好きな女の子を〜」ですら異性愛主義&恋愛主義&マッチョイズムで酷いのに、さらに男性を普遍化/無徴化する蛮行までやってのける。さすがだぜ。興奮してきたな
夏生「帰ろう、俺たちの家へ」
うおおおお 家族主義! 家父長制万歳!!
えーーと、けっきょく、アトリには「心」がないと思っていたけれどやっぱりあったってこと? 中盤のイチャイチャはすべてプログラムだったと落とすくだりはなんだったんだ。茶番じゃないか ここからもう一回、全てはシミュレーションの演技だったと冷淡に明かしたらおもしろいんだけど。

エデンから帰ってきてから一気につまらなくなった。ヤスダとかいう雑魚も要らなければ、マスターが祖母じゃなくて母だった展開も予定調和で冷めるし、アトリが昔学校で子供たちに暴行を働いて回収された件の真相も含めたアトリの回想編も(ケロ枕演出はおいといて)形骸的な悲劇に過ぎない。で、ダメ押しの「やっぱり心があった」展開。一度突き落としたのを虚仮にするだけのイチャイチャの再来。すべてが冷める。すべて嫌いだ。
海面上昇にどう対処するか、という筋がいつの間にかどこかへ行ってしまった。祖母が研究していた人工発電島エデンの再利用や父親のロケット開発の行方といった話のほうが、アトリ(と)の物語よりも断然興味ある。おそらくアトリのオリジンの物語を済ませたここからまたそっちに戻るのだろうけど…………
マジでこの話、アトリがいなくても成立するし、個人的にはアトリがいないほうがずっと面白く読めたはずなんだよな。アトリを消して、単純にモチベ喪失で落ちぶれて逃げ帰った海辺の田舎町での仲間との交流によって海面上昇という危機から「地球を救う」という野望を取り戻して突き進んでいく夏の田舎の学園青春モノだったらかなり好きだったよ。アトリとかいうヒューマノイド美少女との恋愛要素いらないんだよ。これが「美少女ゲーム」だったばっかりに……。「ノベルゲームだから、おもしろい。」を追求してくれ。これじゃあ「美少女ゲームだから、つまらない。」だよ〜〜〜 いかに「美少女ゲーム」という概念・枠組みが害悪かを再認識させられるゲームだ。

あと4日。
これまでは「YES」枕で抱っこして寝ようと子供のように言ってきたアトリが恥じらい/照れを覚えるようになった(=人間的に恋愛感情を学んで「成長」した)。「照れ」は美少女キャラの消費にとって重要
夏生の「足」になることを使命としてきたアトリが「恋人」になろうとしている。ヒューマノイドヒロインって、要するに人間の女性を(シスヘテロ男性が) 保守的に都合よく消費しようとするときの "後ろめたさ" を希釈して隠蔽するための設定だよな〜。
人間の女性を「足」としてこき使って、掃除洗濯料理などの身の回りの世話を全部やってもらうのは現代のジェンダー観から後ろめたいけれど、それがアンドロイドだったら問題ない。というところから入って、そのアンドロイドと「恋愛」するようになり、奉仕ロボットでありながら恋人(恋愛欲や性欲の投影先)にもなってくれる、という。つまり、美少女ロボットとは、(人間の)「美少女」の "模倣" ではなくて、むしろその本性である。ヒューマノイド美少女ヒロインは(美少女ゲームのシスヘテロ男主人公にとっての)"イデア" であり、その模倣、なり損ないが人間の美少女ヒロインである。

水菜萌も夏生のことが好きだとアトリは見抜き、水菜萌もそれを認めるが、まったくコンフリクトが発生しない。水菜萌が泰然自若としているのは、アトリが機能停止したあとでのんびりと夏生を独り占めしようと思っているからだったらアツいのになぁ。
「心」を見出して以降、アトリの内心を( )で語るモノローグテキストまで表示されるようになった。まじで手厚い介護すぎるだろ。馬鹿にされていると感じてしまう
詩菜は崩落事故で目も耳も使えない状態で、アトリを夏生(子供)であると誤認して最期の言葉をかけた。
まじでアトリの過去・アイデンティティがすべて夏生(とその家系)の物語に回収されていくのがグロテスクだな。恋愛とか結婚って、それまでまったく異なる独立した人生・歴史を紡いできた他者と向き合って一緒になる、つまりふたつの異なる歴史=世界が衝突することだと思うんだけど、ここで描かれているのは、はじめから同じ物語のなかにあった非-他者と、やっぱり僕たちは同じ物語のなかに生きてきたんだねと確認し合って安心する行為だ。それは「恋愛」でもなんでもない。この意味で本作は恋愛ゲームではない。

そういえば、今の浸水してる学校で、かつて詩菜のいじめやアトリの暴走事件が起こっていたのか。胸糞悪いな…… 町の人々も当時、詩菜を見殺しにしていたというし。それは仕方ないけど、そういう過去があまりにもあっさりと「解消」されたことになっているのが物語として薄っぺらすぎる。

「お別れ会」まで終了
私がいなくなったあとの夏生を支えてほしいとアトリは水菜萌にお願いする。まったく三角関係や寝取りの雰囲気がしなくて悲しい
エデンを動かすにはアトリが人柱になる必要がある件はどうなったんだ。どうせ機能停止しちゃうから、とか色々と理由を付けて、そうなるんだろう。で、 〜数年後〜 に立派な研究者となった夏生が地球を救ってエデンを稼働させる必要もなくなってアトリ救出&再会エンドかなぁ。流石に大団円すぎる?

・未来の灯火
8/30
そういえばアトリのログノートCGも実写素材っぽいな
お〜 エデンをアトリが操作したことで、沿岸の町に光が灯った! 町の範囲こんなにデカかったんだ
学校に最初に灯ったときのように、こういうシーンは感動するなぁ その絵面に素朴に。ビジュアルノベルの良いところ

夏生「いつか必ず逢いに来る。地球を救ったら」
アトリ「……地球にわたしも含まれますか?」
夏生「俺にとっては、おまえが地球の中心だ」

お〜かっこええやん
エンドロール!! 意外とあっさり終わったな なので結構読後感が良い。後日談あるだろうけど。

この頃、アトリは自分に心がない事を隠そうとしていた。
俺に嘘をついていたわけだが、それ自体がアトリに心があった証拠なんじゃないかと、今になって思う。

えぇ…… ああそうですか〜
あ、父のロケットは月面基地へ向けて飛ぶんだ。月面基地は今も稼働してるんだな
太平洋に浮かぶフロート基地から発射される。
てか、アトリがエデンと一体化したってことは、もしロケット計画が順調に進んで人類が地球から他の星に移住することになったら、アトリとお別れすることになるんだな。沈みゆく地球に残る選択のほうがアトリの傍にいることはできる。
しかし、アトリには寿命=未来がなく、また生殖も出来ないことから、アトリが沈みゆく地球に喩えられて、地球を置いて飛び立つことが人類の未来になる、というのは図式的にも理にかなっている。
タイトル画面に戻った。

・TRUE END
60年後!? 
神白夏生!? ってことは水菜萌と結婚してるのか!! うおおおおおお あの花パターンやね
なるほど、夏生の存命中には人類の外惑星移住が本格稼働しないことで、彼はアトリ=地球と添い遂げることができるわけか。それまでの中長期的な対策としての、エデン発のメガフロート居住計画は実行され成功を収めた、と。
小型核融合炉の実用化…… 凛々花先生エグい功績残してる。流石
水菜萌さん、こんな老齢になって夏生と添い遂げてもまだ何も変わらずに、自分が夏生の1番大切な存在ではないことを受け入れている。
最後は最初のサルベージに戻るのか
このサルベージのくだり、夏生の電脳世界のモデル化だから、一人称としての「夏生」は実体がなく、つまりノベルゲームにおける一人称主人公性の究極形態だといえる。自分の姿を無化して、ただ「見て物語る」ことに特化した存在。『AIR』みたいな。

アトリを構成していた情報のほとんどは溶けてしまったが、もし本当に彼女に意識が芽生えていたのなら、解体はできないはず。
意識は情報ではない、交わることのない絶対的な"個"だから。

意味がわからない……

夏生「種は蒔いた。あとの事は、下の世代がどうにかしてくれるだろう」

水菜萌との間に子供はいるんだろうか
あ、いるっぽい
美少女ゲームで、最後にヒロインが死ぬのを看取るとか、逆に男主人公が死んで看取ってもらうとかあるけど、『ATRI』では色々と無理やりやって2人の死期をちょうど合わせて、最期までふたり一緒に添い遂げるパターンか。
この主題歌、松本文紀すぎて感動するより笑っちゃうんだよな 

-FIN- おわり!!! お疲れ様でした〜〜〜〜〜!!!
わたしはアンドロイド美少女モノが特に好きではないのでアトリにあまり魅力を感じることができず、そういう本筋の物語には全然乗れなかったけど、まぁ客観的には王道の美少女ゲームとしてよく出来ていたんではないでしょうか。ANIPLEX.EXEの1作目として、これ以上ないくらいど直球の美少女ゲームど真ん中をぶち抜こうとした気概は十分に伝わった。



※このnoteは、「エロゲー批評空間」に投稿したレビューに加筆修正したものです。


これまでの自分のノベルゲーム感想noteはこちら↓

『たねつみの歌』の前に、国シリーズの各作品のレビューnoteをいい加減出さなきゃ…………


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