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『白昼夢の青写真』プレイ日記②CASE3と2

つづきです




11/15(木)
「幕間7」から。凛を救うように世凪のことも救う。典型的な「男主人公が可哀想なヒロインを救う」ミソジニー的ヒロイズムが重ね塗りによって強化されていてイヤになりますよ……

出雲「世凪の全ての夢が──規定の進行度を超えました。一時保存した世凪の脳のマッピングデータをこちらから送信すれば、任意の夢の続きから見ることができます」

めっちゃ露骨に、今後のゲーム構成が設定に反映されている。世凪が夢を創り出して、主人公がレセプターとしてその夢を「見る」んだっけか。世凪というヒロインの脳の記憶データそのものがゲーム/物語内容に対応させられている、という構造については要注目だな。


各メインヒロイン名が冠されるのか。
ファタモルと違って順番が任意に選べるのはデカいな。まぁ一般的なギャルゲーの複数ヒロイン√分岐制といったらそれまでだけど。
どうしよう……マジで悩む…… シェイクスピア編は正直もう内容を忘れかけている・・・ので、ふつうに導入部で見た順にいくか〜〜



CASE2 オリヴィア・ベリー

男主人公(ウィル)、なんで顔や身体中を怪我してるんだっけ。著名な劇作家に喧嘩ふっかけてタコ殴りにされたんだっけ
ウィルとオリヴィアってどちらが歳上なのか。他CASEでの年齢差関係があるから気になってしまう。
カモミールを鴨肉だと勘違いするウィルとその父。やはり、敢えて現代日本っぽい言語観を打ち出すことで本章が厳密な意味での「歴史モノ」ではないことを強調している。まぁ夢だしな。

大衆演劇からアカデミズムが流入して宮廷演劇へ。16世紀イギリスの激動の演劇史
当時の大衆娯楽としての演劇の日常性を描くとともに、宮廷演目としての演劇を練り上げる筋書きがうまい。
脚本家のジャンルの専門化の進行に対して、ウィルの強みは扱うジャンルの広さ。
デンマーク王の亡霊の悲劇って『ハムレット』だっけ

どうやらおれの役割は、 "オリヴィア" を舞台に立たせることらしい。
オリヴィアの全てを目に焼き付けて、全てを盗もう。

ヒロインと男主人公の鏡像/模倣関係が演劇という舞台上で成立せんとする。おもしろい。舞台芸術とフェミニズム・クィア。
酒場のホールに立つオリヴィアの所作を注意深く観察し、真似するウィル。演技の練習。日常空間(舞台下)から演じているオリヴィアは、非日常空間(舞台上)ではさらに「男」を演じなければならない。ウィルとオリヴィアの関係の何重もの倒錯。ヒロインの立ち絵(全身像)を垂直ティルトで映す微細な演出のビジュアルノベルとしての効果・意義もまた検討が必要だろう。
そして司祭エドを殺されたウィルの復讐心・執念が執筆する「ハムレット」に託される。脚本執筆と演技指導の両方において、ウィルの思い入れが描かれる。

これで昇華できるほど、おれの怒りはやわではない。
狂うほどの怒りを抱えている。
だが、もうおれは怒り狂う訳にはいかない。
だから──
ハムレット、お前は俺のかわりに狂ってくれ。
お前は、俺のかわりに、復讐に燃えてくれ。

「この怒りの熱を、虚しさを、後世にまで届けてやる」「エドが面白いといったこの物語。おれはこれを必ず、歴史に残る名作にしてみせる」 すでに読者である我々には、これが歴史に残る名作となることは知っている。そのうえでこういう話をやるのは予定調和的であり懸念していたが、ウィル自身の執念がこのように乗っかるさまを見せつけられると、素直に感嘆してしまうな。そうだ、その執念は歴史に残るんだ。

うおおお 女装をしてオリヴィアの所作をコピーして夜の街を歩くウィル。その視界と歩行が、一人称視点で揺れる映像や断続的な歩みの効果音で演出される。そしてオリヴィアに視点が切り替わり、思わず「振り向く」──。そのときふたりがすれ違うスチルは、ウィルが "手前側へと消えていく" 構図である。完璧だ。
しかし、思い返せば初めてウィルが映った(このゲーム中でも最初の)スチルはバーのカウンター内に立つウィルを正面から(客席側から)映した構図であった。つまり、事の始めからウィルという「主人公=語り手」はプレイヤーにとって「向こう側」にいる存在であるのだ。これはもちろん、この話が真の主人公の見させられている「夢」である構造とも関わってくるだろうが、しかし目覚めた幕間の世界においても、真の主人公は鏡越しに自分の姿を眺める。ここでもプレイヤーにとって主人公は「向こう側」にいる存在である。

この夏中に宮廷演目に選ばれなければオリヴィアはスペンサーと結婚して新大陸へ移住しなければならない、という設定がチラッと語られた。

幕間8。演劇の映像を世凪と見る。舞台に女性も立てていて喜ぶ世凪は、オリヴィアに影響されて次第に喋れるようになっている。
CASE2が終わるまでは他の夢には行かないと出雲から説明される。

女装して店に入ってきたウィルに気付かずオリヴィアは一座に獲得するために酒飲み勝負を始めるが敗北する。

おもしろい! 喋ったらバレるからウィルは一言も発さずオリヴィアだけが会話を先導していくが、これは典型的な「喋らない男主人公」とヒロインの会話(ASMR音声作品なども)を皮肉っているようで興味深い。しかも盲目の父は場のノリについていけない、という……
オリヴィア視点→ウィル視点のシームレスな移行も完璧。
ここでこうしてオリヴィアの弱い面を見せるの上手すぎるな…… この頭に手を乗せるのは許してもいいか……


その復讐劇の中心に、母がいてはいけない気がした。

ウィルの亡き母と、『ハムレット』の母の関係。

バイセクシャルのスペンサー。その男娼との交わりが特に「異常」なものとして描かれるホモフォビア。

非効率的で非合理的なオリヴィアの演技指導を直すよう諭すウィル。オリヴィア、なんかいきなりめっちゃおバカキャラになったな…… 馬鹿なヒロインを男主人公が正論でギャフンと言わせて成功へ導く展開……

オリヴィアの出身は隣の島……アイルランド? カトリックが8割以上の島 16年前のアルスター蜂起

スペンサー良いキャラやなぁ〜〜 自分が結婚したがっていた女性かつ奴隷を他の男に奪われてもなお、「あぁ……最高の組み合わせじゃないか!あぁ……見たいなぁ、見てちゃダメかな」と興奮する変態。こいつがいちばんリベラルかもしれない

3本目は『ロミオとジュリエット』かぁ。史実では『ハムレット』から何年も空いてたよな確か。……いや、ロミジュリのほうが前の作品だったわ調べたら。

『真夏の夜の夢』『ハムレット』までの酒場の噂話を元にした(という設定の)劇から、ウィル自身の体験・恋心をベースにした『ロミオとジュリエット』を書くという流れや、『真夏の夜の夢』での役者を役柄に合うように交代して大成功する展開など、演劇といいつつ次第に「演技ではなく素の自分たちのリアリティこそが称揚される」ようになってきている。作中現実とオーバーラップして物語が進行するのは演劇モノの9割くらいに当てはまる常套手段なのでイチイチ引っ掛かるのもどうかとは思うが、あんまり好みではない……

とはいえ、単純にウィルとオリヴィアの恋は応援したくなりますね……オリヴィアはスペンサーの元奴隷ってのが特に良い。

本番ではウィルが女装してジュリエット役を、オリヴィアが男装してロミオ役をするのだろうが、執筆中のウィルの想定では現実通りにウィル=ロミオ、オリヴィア=ジュリエットであり、その倒錯がおもしろい。夜に二人で部屋で脚本を書くために演技をし合うときも性別そのままの役柄を演じる(=演じていない)。

ここで初Hシーン! セーブしたらデータ名が「CASE2, H」で草
ウィルの顔もまぁまぁ見えるスチルだ。やはり夢を見ている主人公(海斗)と夢の主人公(ウィル)をずらし、またプレイヤーとウィルをもずらしていく演出なのか。
2枚目はウィルの一人称視点で仰向けのオリヴィアの裸体を映す。表情差分がどれも素晴らしい。
めっちゃ気合入ってるなぁ……これが現代のエロゲか……
この時代に避妊具なんて無いよな。貞操観念がどうだったのか知らんが。

11/16(木)
幕間9 世凪がオリヴィアの真似をして居酒屋さんごっこをする。世凪の「とりさんをママと一緒のところに埋葬する」記憶?を海斗も見させられる。

マーロウが小物過ぎてかわいそう。

男装バレして牢屋に打ち込まれた一座たち。その獄中で壁越しに隣り合ったウィルとオリヴィアは、『ロミオとジュリエット』のラストを完成させる。もはやウィルひとりの脚本ではとっくになくなっている。ジュリエットの台詞はオリヴィアの心からのもの。戯曲の共同執筆が、恋人の愛の語らい、性行為と同義になっている。


エリザベス女王のキャラデザ、CASE3の梓姫さんやCASE1の妻と同じじゃん。そこも繋がってんの!? 

エリザベス女王「女の台頭をよしとしないのは法ではない。宗教だよ」

旧教徒迫害を背景に始まった物語が、ここでこうして演劇改革という本筋と合流するの美しい。

えっ、オリヴィアが男装してロミオ役やらずにそのままジュリエットやるの!? 執筆時のままかーそうかー…… いや、「女優」を成立させるためだから当然なのか? 

H2
オリヴィアとウィルは同じ夢を見る。夢-現実の円環構造。
CASE2おわり!!! エンディングロール

うーむ…… 面白さもつまらなさも、プロローグからの想定通りではあった。最後のほう、ロミジュリを下敷きにした(というか薄っぺらく使った)純愛悲劇展開はまったく心を動かされなかった。落ちこぼれ劇団ののし上がりは王道に熱くてエンタメ的に面白かったんだけど。
女として舞台に立てるよう世界を変えたいと願うオリヴィアが、最終的にはウィル(男主人公)の愛/欲望の対象として自らアイデンティファイして純愛和姦-異性愛中心主義のど真ん中を突き抜けていくのは残念だった。シェイクスピアという実在人物・歴史を再解釈したエンタメ劇としても、最終的にはかなり凡庸であった。「夢」というエクスキューズが付き纏うのもまたゲンナリさせられる。
てか意外と短かったな。ひとつのCASEがこのボリュームならサクサク進めそう。

幕間10 次の夢の幕間ではまた世凪の精神が退行するが、それは見かけだけだという。3つの夢を順不同にするための苦しい言い訳設定。



CASE3 桃ノ内すもも編

7月15日。ハレー彗星最接近まであと2週間弱
すももさんのファッションどれも良いな〜〜部屋着もかわいい。めっちゃ現代的に洗練されてる。しらんけど。

おねショタハーレム…… どこまでも母の幻影を追い求める話ってことね。
格差社会やら旧教徒迫害で友人処刑やら、そこそこシリアスだったCASE2とは対照的に、こっちはどこまでもコミカルで爽やかなひと夏の青春モノって感じで楽しくていいですね。ヒロインとの関係は萌えキャラゲーっぽさがある甘々感。

かわいいですー

マジでひたすらハーレムイチャイチャラブコメが続いて多幸感パないっすね。梓姫とすもものやり取りがめっちゃ良い。
梓姫さん29歳なんだ。すももが経験済みなのもオリヴィアと同じ。
写真を撮っているとき自分が楽しくなければ意味がない。そうだそうだ〜
すももさんが可愛くて良いお姉さんすぎてツラい…… 

幕間11 そういや演劇、写真、小説と、どれも創作芸術をテーマにしているのか。

スペンサー嵐山。あのハロルド・スペンサーに対応する奴も夢ごとにいるってことか。ルー語を使うのでわかりやすい。


うおー CASE2のオリヴィア視点の独白とは違って、CASE3ではすもも視点で梓姫とぶっちゃけたガールズトークをするのが挟まる。女性キャラ同士のこういう会話良いね〜〜この3人の関係好きだ。

福島の私有地の針葉樹林キャンプ地へ。千葉〜福島は車で5時間くらいか。福島のどこかにもよるが。

くぅう〜〜〜 すももさん…… 萌え死してまう〜〜〜 キュンキュンするんじゃ^〜〜
イイ話や…… ええ話だった…… とてもこじんまりとしていて、ささやかな青春の一コマ。成人ヒロインふたりがお酒を飲んで、少年主人公くんがオレンジジュース飲んでる対比もたまらんね。歳上ヒロイン、おねショタ純愛の破壊力にやられている。

福島から一泊で帰ってきてお父さんに事情バレして説明に赴くところまでで一旦終了。

すももという被写体を一人称視点でレンズを向けて撮る、という行為が映像演出としても提示されており、これはCASE2のウィルの女装して舞台に立つ(見られる対象になる)こととは対照的か。しかし、ウィルもオリヴィアの所作を丹念に観察することでトレースしていたので、男主人公がヒロインを眼差すことが大きな自己実現・才能の開花に繋がるという要素は共有しているともいえる。

好きな人を撮った写真の出来はいい。CASE2のロミジュリと同じで、実際の人間関係の愛情がそのまま芸術作品の魅力に繋がるという非常に素朴な価値観。子供向け。

スペンサー嵐山登場。立ち上がるのを立ち絵と背景のズレで表す簡素な演出意外と見たことないかも。

……母さんのハレー彗星スケッチ場所の真相。ふつーにええ話や……幼い頃から人の笑顔を撮る才能がカンナにはあったんやなぁ
ノベルゲームの背景美術に伏線?仕込む、稀によくあるギミック。


YouTuberが電波喰いによって路頭に迷った過去(未来)

手でするのなら未成年淫行でもセーフという風潮(?)
いやこれまじでやばいな。最高です。歳上の経験豊富なお姉さん最高!!!
え、マジでこれだけで終わるんだ。オリヴィアとは2回やったぞ。

また海斗と世凪の夢。トウモロコシ畑? 車を失くして泣いている?

すもも、カンナより背高いんだなー……エモ……

CASE3おわり!!! おもしろかった!!! 良いおねショタ青春イチャイチャラブコメだった……
歳上のすもも側が、カメラマンという夢に向かって突き進むカンナを見て、このままでは数年後に飽きられてしまうと焦燥感を覚える(のを本人視点で描いている)のが良いね。おねショタの「おね」側の焦燥感と切なさからくるエモさ。

てか2時間20分しか経ってないんだけど。CASE2と比べても相当短い。Hシーン1回分少なかったのを差し置いてもまだ短い。短編ビジュアルノベルって感じ。だけどこれくらいで全然いい。内容おもろかったし。

さてあとはCASE1だ。二十歳そこそこのピーチ・ザ・ビッチは15歳未成年の教え子に手を出さ……なかったわけではないが、"手だけ" で我慢したところを、40代既婚男性は教え子の女子高生に手やその先を出してしまうのか? 楽しみすぎるな。これでマジでやってたらくそウケる。妻ともっとドロドロの関係になってほしい。



つづき


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