引っ越しの風が吹いてた。

今日。

それは８９年春。北越谷で先輩たちを見送ったあの春の風と同じ風が吹いてた。
９０年春。同じく北越で、４年間、寝食を共にした『友』たちを見送ったあの春の風と同じにおいの風が吹いてた。

あの風を、『引っ越しの風』と呼ぶようになっていた。

今日。引っ越しの風が吹いていた。

今月末。息子が家を出る。

なんか、やるせない。どこか、せつない。

そんな気持ちにさせる風が吹いてた。