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エッセイ集Ⅱ

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ちょっと読むのはしんどいと感じてします本の内容をかみ砕いて書いていきたいと思っています。
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2015年5月の記事一覧

目の焦点

目の焦点

 この間、春風亭昇太さんが落語のまくらで、定年したあとの男をネタにしていた。ほとんどの昭和生まれの男は、仕事一辺倒だったから趣味などという高尚なものを持ち合わせていない。その上、昭和の男は人と話をするのが苦手ときている。そんな男が、定年で仕事がなくなると、奥さんには相手にされず、時間をどうつぶせばいいかわからず、思わずカメラに走るというのだ。

 それなりに金を持っているからプロが持っているような

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ヒトとは?人間とは?(35)

 Wikipediaによると、イエス・キリストの生誕を起源とする西暦は、ローマの神学者によって、525年に算出されたそうです。つまり、6世紀に作られたもので、1年から531年までは、概念上の存在のため、実際には使われていないらしいのです。実際に使われ始められたのは、532年からということになります。

 また、西暦が普及しだしたのは、10世紀以降で、キリスト教がそれなりにヨーロッパで普及してからだ

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自分をコントロールできないということ

自分をコントロールできないということ

 当たり前のことだけど、人の痛みは見ただけでは、自分にはわからない。 だって、見えないんだもの。

 同じように、僕の手がしびれていて、長い文章をペンで書くことができないことも、他人にはわからない。

 もし、この時代にパソコンというキーボードがついた機械がなかったら、僕は仕事を続けることができなかっただろう。

 ふと、そんなことを思うことがある。

 30歳の時に煩った無菌性髄膜炎の後遺症であ

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ヒトとは?人間とは?(34)

 長い間、続いた自給自足生活からヨーロッパは、ようやく脱します。アラブ人たちが繁栄させた交易の影響を大きく受けていますが、実質それを支えたのは、ユダヤ人の交易者たちでした。

 彼らは、圧政が進むバグダッドのアッパーズ朝から異教徒に寛容なエジプトのファティーマ朝に移ります。そして、独自の交易ルールを作り、それに逸脱したものに対しては、政府の罰則とはまったく違った、自分たち独自で作った罰則で対応して

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ライヤの祈り

 森沢明夫さんの小説で、今年6月に公開される予定の映画にもなった『ライアの祈り』。現代と合わせて、狩猟採集民社会だった縄文時代が、もう一つのメイン舞台になっています。まだ、人が土地を所有するという考え方がなかった時代。争うのではなく、互いに協力し合い、生き延びていた時代。

 風を感じ、人間以外の生き物の気配を感じて人が生きています。船を利用しても何日もかかる北の聖地と呼ばれる土地。そして、そこと

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ヒトは?人間とは?(33)

 官僚主義の弊害で、ローマ帝国が滅びたあと、ヨーロッパでは、貨幣が自由に回らなくなり、商業が衰退し、都市国家は縮小して、自由な交易は姿を消しました。パピルスや香辛料、そして絹や綿といった東洋からの輸入品が姿を消します。アジアに輸出していたオリーブやワインを生産していた大規模農園は、自給自足を行う小さな農家と姿を変えていきました。再び専門化に取って変わって、自給自足の世界が広がったのです。

 しか

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ヒトとは?人間とは(32)

 フェニキア人のあとに台頭し、都市国家を築いていたのが古代ギリシア人たちです。彼らは、地中海全域にその活動範囲を広げていきます。ギリシアの都市国家は、それぞれがある程度独立していて、交易でつながっていました。もちろん、都市間のいざこざもあり、時には都市どうしが、敵対することもありましたが、基本は交易で結びついていたようです。

 ギリシア人達は、物資のやり取りをしながら、他の人種とアイディアや情報

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アヤメとカキツバタ

アヤメとカキツバタ

 館林へつつじを撮りにいった帰り道、公園の水辺に咲いていた花を何気なく撮ったのを見直してみると、2枚の写真の花が違っていることに気づきました。

 一枚目は、カキツバタ。

 2枚目は、あやめ。

 花の内側あたりを見ると、模様が違うのがわかります。一枚目は、

 真ん中に白い菱形のような模様。そして、2枚目は、

 扇方に広がる筋模様。

 ちなみに、一枚目のカキツバタの白い模様が、黄色だと花菖

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ヒトとは?人間とは?(31)

 ローマの話に入る前に、大事な人たちの話をするべきでした。その人たちとは、フェニキア人です。

 帝国が衰退した後、商人たちが比較的自由に行動できる時代が訪れます。紀元前1200年ごろ、人びとの活動が活発となり、現代に通づるいくつかのイノベーションが起きます。鉄が、製錬され、アルファベットの原型が作られます。そして、ガラスも発明されます。このガラスを発明したのがフェニキア人でした。

 そして、フ

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河岸段丘

 ブラタモリを見ていると、端々に河岸段丘が登場します。豊臣秀吉が都を守るために、京都をぐるりと囲った御土居。これを作る際にも河岸段丘が利用されています。金沢編では、やはり城を守るために、河岸段丘の上に土居を築かれていた場所が紹介されていました。

 この河岸段丘とは、いかなるものなのでしょうか?藤岡換太郎著「川はどうしてできるのか」(ブルーバックス)では、「川の流れている両側の斜面に棚田や段々畑の

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