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エッセイ集Ⅱ

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ちょっと読むのはしんどいと感じてします本の内容をかみ砕いて書いていきたいと思っています。
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2015年6月の記事一覧

映画『ライアの祈り』

 先週の土曜日、有楽町のスバル座へ映画『ライアの祈り』を見に行ってきました。全国ロードショーなのですが、東京では、唯一このスバル座のみで上映されていました。原作は、森沢明夫さんの同名小説です。青森三部作の最終話。第1作は、『青春ドロップキッカーズ』、第2作が『津軽百年食堂』、そして、第3作がこの『ライアの祈り』で、青森、弘前、そして八戸がそれぞれの作品の舞台となっています。

 この映画のヒロイン

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歴史

 テレビで、あるアメリカの歴史学者が言っていた。

 歴史は、事実だけを記録すればいい。間違ってしまったことを二度と繰り返さないための糧であるべきだ。

 自国を鼓舞するためのものであったり、自国を有利するためだけのものであってはならない。

 自分たちを正当化しようとする行為が、歴史の客観性をぼやかしてしまう。互いの国が、自国論を繰り返し主張し合っていても、何ひとつ前へは進まない。起きた事実のみ

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自由が丘・熊野神社

 一昨日、『脳の記憶と呼び水』で、あることがきっかけで意識していなかった記憶にたどり着くことがある話をしました。

 実は、最近読んでいた中村一著『ココロドリップ2』という小説に、同じような話が載っていたのと、幼児期の記憶にたどり着いたお話しを聞けたことがきっかけで、あの話を書きました。

 『ココロドリップ2』では、「恋人が階段で転び、頭を強く打った影響で、脳機能障害がおこり、特定の人物の記憶、

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脳の記憶と呼び水

 「記憶とは連続的なもの」と思っている人がほとんどだろう。この世に生まれて、いつの頃か、おそらく4~5歳くらいからか、自分で覚えている最初の記憶からずっと脳の中の記憶は、今現在まで連続していると、寝ている時間を除けば、生きている限りそれは連続であるはずだと思ってしまう。しかし、日記でもつけていない限り、自分の人生すべてを語れる人は、誰もいないと思う。もちろん日記をつけていても、すべてを記憶しておく

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ヒトとは?人間とは?(37)

 ヴェネツィアと同様に十字軍の恩恵をもらった都市国家の一つに、フィレンツェがあります。フィレンツェには、もともとこれといった特産品がありませんでした。そのため、当初のフィレンツェは、あまりぱっとしませんでした。しかし、遠く北ヨーロッパから生糸を輸入し、それを加工して丈夫な布や衣服を作り、それを輸出することができるようになります。この加工貿易によって、フィレンツェは、莫大な富を得られるようになり、ヴ

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ヒトとは?人間とは?(36)

 11世紀の終わり頃、ローマ教皇の呼びかけで、キリスト教の聖地であるエルサレムを奪回するための十字軍遠征が始まります。

 第1回十字軍は、バルカン半島の西海岸沿いを陸路でパレスティナを通ってエルサレムに向かいました。彼らは、宗教的熱狂に包まれており、その勢いで、次々とイスラム教徒を虐殺していきます。そして、最後にエルサレムの奪回に成功します。

 一度、エルサレムを奪回すると、そこを維持するため

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