マガジンのカバー画像

エッセイ集Ⅱ

76
ちょっと読むのはしんどいと感じてします本の内容をかみ砕いて書いていきたいと思っています。
運営しているクリエイター

#日本海

日本海⑦

日本海⑦

 日本海が、世界の海の縮図だということを以前書きました。世界の海が約2000年かけて循環しているのに対して、日本海では、100年から200年単位で循環しているそうです。

 この循環があるおかげで底層域まで酸素が届き、多種多様の生き物が育み、豊かな海が形成されています。循環を生み出すのが、シベリア高気圧でした。大きなエネルギーをもったこの高気圧は、同時に冷気も持ち込みます。この冷気で冷やされた海で

もっとみる

日本海⑥

 海面が非常に低かった氷河期が過ぎ、気温が上昇しはじめます。インドがユーラシア大陸にぶつかった影響で、東側の陸地の一部が大陸から離れ、低い部分に海水が流れ込み日本海ができます。それと同時に日本列島が誕生します。

 ユーラシア大陸から流れてきた人がそこに住みつき始めます。その頃には、日本海から供給される淡水によって森林が産み出されました。日本の森林率は66%だそうです。国土の3分の2が森林となって

もっとみる
日本海⑤

日本海⑤

 地球上の大陸は、全ての大陸が繋がり、1つの大陸になって、また分裂していくことを繰り返しています。最近といっても約2億年前に全ての大陸がつながってできた超大陸「パンゲア」があったそうです。その「パンゲア」がまた、分裂し、現在のような大陸が散在する姿になったと考えられています。

 約3000万年前、日本はまだ存在しておらず、ユーラシア大陸の一部だったと考えられています。今から約2000万年前、ユー

もっとみる
日本海④

日本海④

 このシベリア高気圧がもたらす北西風は、日本海にもう一つ変化をもたらせます。ロシアに近い北側の海では、この北西風の冷気が表層の海水を冷やします。

 表層の海水温度は、どんどん下がっていき、最後には、海水を氷結させます。凍った海水からは塩分が流出し、その周りにある海水の塩分濃度があがります。こうしてできた塩分が多く、温度の低い海水は、比重が重くなって、重力で、海の底へと沈んでいきます。十分な重さを

もっとみる
日本海③

日本海③

 日本海というと、どうしても写真のような冬の激しい波しぶき、荒れている海を想像しがちです。しかし、1回目に書いたように、風呂桶のような構造をしている日本海は、海峡から入ってくる海水の量が少ないため、潮の満ち引きが少なく、穏やかな海のはずです。実際、冬以外は穏やかな日が多いようです。

 それでは、どうして荒れている海を想像してしまうのでしょうか?やはり、冬の寒さと雪、そして、太平洋側まで影響を及ぼ

もっとみる
日本海②

日本海②

 前回に引き続き、蒲生俊敬著『日本海』(ブルーバックス)を参考に日本海を見ていきます。

 海水は、暖かいと密度が小さくなって軽くなります。逆に温度が低いと密度が上がり重たくなります。海では、軽い海水が、重い海水の上に浮かんでいる構造になっています。外部から力を強制的に受けなければ、この状態は変わりません。

 今のお風呂は、きちんと水が循環する作りになっているので、感じることは少なくなりましたが

もっとみる
日本海①

日本海①

 蒲生俊敬著『日本海』(ブルーバックス)を今読んでいます。太平洋側に住んでいる私たちにとって、日本海は近いようで遠い存在、そんなふうに思っていました。冬の荒れた日本海の波しぶき、淀んだ灰色の雲、そんな風景だけを思い浮かべてしまう、なんか暗いイメージの方が強い気がします。

 しかし、食べ物でイメージするとカニであったり、ホタテ、そしてホタルイカやブリ、日本ならではの食材が次々と浮き上がってきます。

もっとみる