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台風

 東南アジアの海域で発生した熱帯低気圧のうち、風速がおよそ17m/s以上のものを台風と言います。

 そのエネルギー源は、海水です。低気圧となった海面に海水を含んだ空気が流れ込み、それが上昇気流となります。

 低気圧というと、天気予報の天気図で見ているので、空にあると思ってしまいがちですが、海面や地面にかかる空気の圧力が大気圧なので、低気圧とは海面や地面にかかる空気の圧力が低い場所ということになります。

 そこに集まって来る空気は、海から得た豊富な水分をもって、上昇気流となって上空へと移動していきます。

 空は、高度が高くなるほど、気圧が低くなります。そして、高度が高くなると気温も下がっていきます。空気中に収まっていた水分、つまり蒸気はそこで冷やされます。

 そうすると、空気中に収まりきれなくなった気体の水分(水蒸気)は、同時に吹き上げられた海水の塩分やちりを核として液体(水)、または固体(氷)となって集まり出します。そうして出来あがるのが雲であり、積乱雲です。

 気体という状体は、分子がばらばらになって、飛びまわっている状態です。液体の水は、水分子がある程度集まってグループを組んでいる状態です。従って、気体よりも液体である水の方が動きが鈍くなります。

 また、もっと多い分子が規則的に集まったものが固体(氷)です。こうなると水分子の動きはほとんど固定されてしまいます。

 当然、動きまわるのに使われていた蒸気のエネルギーが、液体の水や固体の氷に変化するときに分子外部へ放出されます。この莫大なエネルギーが雲を発達させ、台風を発達させる源となります。

 その大元をたどれば、海水がエネルギー源だということがわかります。従って、海上にいる台風は発達しますが、一度地上に上陸してしますと、そのエネルギー供給源が失われることになります。

 台風が、日本に上陸して、多くの被害を及ぼした後、急激に衰退していくのには、こうした台風の仕組みが影響しています。

 今年の台風がいつもと違っている理由のひとつに、太平洋高気圧が、日本列島の南東にあり、それが、日本まで張りだしていないとうことがあります。そして、東南アジアには別の高気圧があり、この二つの高気圧の狭間が台風の通り道となってしまっています。

 台風が、関東の東がわを通り、東北や北海道に直撃していった理由はそこにあります。台風10号が東南アジアにある高気圧に行き先を阻まれ、西へさまよったあと、いつもより南下してU字方に変形した偏西風にのり、また同じ位置ぐらいまで戻り、東北に上陸していったのも、この二つの高気圧の影響です。

 このように、日本列島の天気は、太平洋や日本海、そして、東南アジア地域の海といった海上での気象状況に大きく影響を受けています。天気一つ取っても海を無視して考えることはできないのです。



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