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表銀座縦走 [Day1]

燕岳登山、燕山荘、高山病

- 8/2 スケジュール -
天気: ☁️のち☔️
06:00 中房温泉出発
08:30 合戦小屋到着
09:00 合戦小屋出発
10:00 燕山荘到着
10:30 昼食
14:00 昼食(2回目)
17:00 夕食
18:00 就寝

中房温泉に着いた僕は雨が降っていなくてひと安心したが、まだひとつ不安材料があった。登山届を書き忘れていたのだ。家を出るときには、バスの中で書けばいいだろうと思っていたのだが、ザックをバスの下部に収納したときにそのままザックの中に白紙の登山届を入れっぱなしにしてしまっていたので、車内で書こうと思っても書けなかったのだ。バスから降りると僕は急いで、かつMにバレないように登山届の記入を進めた。色々と省略した部分もあったが、なんとか書き終えた。

バスの中でサポートタイツを履いたまま寝るのは嫌だったのでここまでは履いてこなかったのだが、ここのトイレでタイツを履くことにした。またMがのんびり朝飯を食べたりして、結局出発したときにはほとんど登山口に登山客は残っていなかった。登山届も出したが、用紙は登山届ポストの近くにあり、そちらの方が書きやすそうだった。

6時過ぎにやっと出発。天気が崩れないうちに早く登りきってしまいたい。少しわかりにくい登山口や、朝飯後にのんびり熊鈴を付けたほうがいいかと聞いてくるMに若干イライラしながら登山開始(Mは朝が弱い)。登山口は標高1462m。今日の目標燕岳山頂の標高は2763m。1300mほどの登りだ。合戦尾根は北アルプス三大急登のひとつらしいと聞いた。さて、僕にとって初めての北アルプスの山道である。慎重な足取りで登り始めた。

合戦尾根は最初から割とタフな登りとなる。燕岳はよく北アルプス初心者向けとか言われているので、三大急登などと言いつつも普通に登れると思っていたのだが、意外にきつかった。ただよく整備された山道で危険箇所はなく、そういった意味では初心者向けだ。しかしあの丹沢のバカ尾根よりも標高差があること、さらに高地であることを考えると、舐めてかかってはいけない。

定期的にベンチがあるので、それを休憩の目安にするとよい。Mがへばってしまっていたので、休憩の頻度はベンチの数より多くなってしまったが、第一〜第三ベンチ、富士見ベンチの計4つのベンチはほぼ等間隔で配置されていて、その先にはスイカを出してくれることで有名な山小屋(宿泊不可)、合戦小屋がある。今後の日程も考えてバテないようゆっくり登り、8:30くらいに合戦小屋に着いた。

合戦小屋名物のスイカは1/8サイズで800円。高いのか安いのかよくわからないが、山小屋でスイカを食べられるならこれくらいは払ってもいいのでは。さらに細かくカットすることも出来るが、喉が渇いていた僕はそれを丸ごと頂いた。もちろんスプーンなどはなく丸かじりスタイルなのだが、ウェットティッシュが用意されていたり、手洗い用の水が設置されていたりと、サービス精神旺盛で登山客としては非常にありがたい。よく見たら燕山荘グループだそうで、納得。

ミネラル補給の意味も込めて塩をたっぷり振って食べた。この合戦小屋は展望が良く、天気がよければここから先は槍ヶ岳も臨めるそうだ。僕らが行ったときにはあいにくの曇りで、ガスで何も見えなかった(それでも降られなくてよかった)。スイカを食べたあと急に身体が冷えてきてフリースを着たが、合戦小屋を出てまたすぐ登り。すぐに暑くなって脱いだ。

合戦小屋を出たのは9時頃。登山口からここまでは割と、今までに行った山に似た雰囲気の登山道で、Mと「大菩薩の時に似てるね」とか話していた。しかし合戦小屋を出てから、標高を上げるにつれて岩も多くなり、燕岳の特徴である花崗岩も徐々に姿を見せる頻度が増えた。しかし何度も言うが危険箇所はない。槍穂高のようなガレ場や切り立ったヤセ尾根などは全くなく、安全に整備された快適な登山道をどんどん進んでいける。合戦小屋から50分ほどで燕山荘に到着した。

ガスってはいたが、小屋の前のテン場の、カラフルなテントの数々にテンションが上がった。こういった光景は登山を始めてから初かもしれない。

高い山に来たんだなあという実感が持てる。早速燕山荘に入りチェックインしようと思ったが、宿泊受付は10時からということで数分トイレなどして時間を潰した。10時になったので早めに宿泊受付を済ませ、外に出て燕岳への山頂アタックのチャンスを伺ってみたものの、一向に晴れる気配はない(その日のうちにもう一度途中まで登ったが、ガスってきたので退散した)。とりあえず小屋の外のベンチで持参したカップヌードル(トムヤムクン)を食べることに。

色んな人の羨ましがる声が聞こえてきて、少し恥ずかしい早めの昼食となった。相変わらず、山でのカップヌードルは何故か美味しい。11時前に雨がぱらついてきたので急いで撤収し、いよいよ部屋へ。

2段ベッドがそのまま部屋になったような造りは、初山小屋泊の僕としては新鮮で、しかも2階の部屋だったのでかなりテンションが上がる。2階の天井には棚がありザックが置けるようになっていた。また窓が付いており、そこからは東側の山々が一望できた。混まなければこの快適空間を友人と2人で使えるということで、混まないよう願った。しばらく部屋でのんびりしていると眠気が襲ってきたが、着いてから1時間は起きていないと呼吸が浅くなって高山病になりやすいとどこかで聞いたので起きていた。トイレがものすごく綺麗なこと、100円で1回充電が出来ること、水道から飲み水が出ることなどにMと一々盛り上がって、有名な燕山荘Tシャツも買ってしまった。

食堂に併設されたカフェもあって、そこからは僕らの部屋と同じく東側の山々(安曇野市方面)が一望できる。もちろんその時は何も見えなかったが、14時前でランチタイムだったので、カツカレーを頼んだ。非常に美味しかった。900円くらいでケーキセットというのもあった。山小屋のスタッフさんに聞くと、このカフェは18時くらいまでは利用出来るとのことだった。

部屋に戻るとおじさん2人がルームメイトになっていた。少し残念な気持ちになった僕らは端っこに寄り、夕食までのあいだ外の雷雨をぼーっと眺めながら少し昼寝をした。夕食は17時からだったのでその少し前に起きて食堂に行くと、食堂の前に並ばされた。運良く一番前に並ぶことが出来た。待っているあいだ雨でずぶ濡れになった人たちが次々と玄関から入ってきていた(食堂は玄関も乾燥室も近い)。16時を過ぎても山小屋に人が大量に入って来ることに少し驚きながら、いつもよりだいぶ早い夕食が始まった。

メニューはハンバーグで、割ってみるとに中にチーズが入っていた。山小屋でチーズハンバーグが食べられるとは思わなかったので少し驚いた。驚いたと言えば、山小屋は食堂で皆で集まって食事をとるのだが、ご飯や味噌汁などをよそいあったあとは各自好きなタイミングで食べ始めるということは意外だった。てっきり揃って「いただきます」を言ってから開始だと思っていたので、前に座っていた老夫婦が突然食べ始めたのは少しびっくりした。

ご飯を2〜3杯食べ満足していると、燕山荘のオーナー(?)の話が始まった。ためになるし面白い話で、ぜひまた聴きたい。そのあとオーナーによる味わい深い角笛の演奏があり、楽しい食事は終わった。ここでもMはマイペースにお茶を飲んでいて少し違和感を覚えた。

Mはこの燕山荘に着くまで、そして着いてからも頭が痛かったらしい。どうやら高山病にかかっていたようだ。本人曰く呼吸が浅く、何より3泊4日の行程を考えて水を節約しようと、少し水分補給を我慢していたのが仇になったとのこと。夕食時にオーナーも言っていたが、ここで体調不良を訴える人の9割は水分の補給不足だという。Mは高山病の症状が出ても僕に言い出せずに我慢していたらしい。高山病は降りないと治らないというのを聞いたことがあるので、明日朝起きてまだ高山病の症状が出るようだったら下山しようと話して眠りについた。夕飯を食べてすぐなので18時くらいだろうか。夕飯中にスマホの充電も済ませ、明日の分の水も汲みパッキングも完璧。もちろんいつもよりだいぶ時間が早いのですぐには寝付けなかったが、おじさん2人もいい人たちでいびきもうるさくなく、耳栓は使わずに眠りに入ることができた。おじさん2人は明日の朝燕岳にご来光登山をしにいくため、3:30に起きるから起こしてあげようかと言ってくれたが、山小屋が出した予報は朝から雨だったので期待はしなかった。そのまま雨音の中眠りについた。

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