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短歌関係メモ類

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短歌研究文庫リスト(仮)2024年2月版

(短歌研究文庫とは) 短歌研究社が1974年から刊行している文庫レーベルです。50年目にして附番に乱れが生じているのではないか、というのに気づいたのがこの記事きっかけです。  附番状況を整理するために作成したので、現物を見てのリストではありません。国会図書館の検索結果をメインに詩歌文学館、日本近代文学館等の所蔵館のデータを切り貼りして作ったものです。現物にあたるための下調べ程度にしか使えないものと思っていたたけければ。 国=国会図書館に蔵書あり 詩=詩歌文学館に蔵書あり

「練馬区向山町一五九五 歌集『雨』と「短歌人」発行所の変遷」(「短歌人」2023年11月号掲載)補足

 「練馬区向山町一五九五 歌集『雨』と「短歌人」発行所の変遷」という文章を書きました。「短歌人」2023年11月号の特集「〈東京〉はどのように詠まれてきたか?」のなかの一文です。基本的には『雨』(小宮良太郎)と「短歌人」バックナンバーをつらつらと眺めての益体もない文章です。機会と興味のある方は御覧ください。  この文章はさらに役立たない「へー」を書いたものです。  瀏と史が長野に疎開したことは知られています。歌集『雨』を読むと、上池上の家が即消えたのではなく、戦後は小宮さ

小池光特集(3)の紹介(「短歌研究」2023年10月号)

 またもでました。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHKRPTQZ/klage-22  公式告知。 https://twitter.com/tankakenkyu/status/1704334573407293611  今回はオレンジの猫です。  今回は塚本賞と評論賞発表号で、そちらが冒頭です。つぎの特集が「続続「ここまでやるか。小池光研究」」です。今回は他には特集ありません。  以下、記事紹介とつけたし。 四人の選者によるテーマ別

小池光特集(2)の紹介(「短歌研究」2023年9月号)

 またもでました。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0CF2TY4N3/klage-22  公式告知。 https://twitter.com/tankakenkyu/status/1693443029041119408  今号は、若草色の猫の表紙です。  第2特集が「続「ここまでやるか。小池光研究」」です。  以下、記事紹介とつけたし。 四人の選者によるテーマ別「小池光傑作選」 内山晶太/花笠海月/寺井龍哉/山下翔  10首×2テーマ

小池光特集(1)の紹介(「短歌研究」2023年8月号)

 でました。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0CBKZPDCC/klage-22  公式告知。 https://twitter.com/tankakenkyu/status/1681861598770761728 とりあえず表紙を見てください。 今号は、からし色の猫の表紙です。  第2特集が「ここまでやるか。小池光研究」です。  私は小池ファンですけど、小池選歌ではないです。なので、社外の方にとっては「誰?」で、社内の方にとっては「なん

2023七夕の水葬物語

 tweetした内容です。記事にしておくと後で見返しやすいので。  「七夕古書大入札会」のの下見会が2023/7/7-7/8にありました。『水葬物語』を見てまいりました。手にとっての実見は6冊目くらい(Gケースごしに見たものは除く)。  秩入ということで期待しましたが状態はふつう。ややヤケですけれど、水葬はやけやすいですから経年ナリといって差し支えない状態であると思います。秩入、カバーあり、献呈先のお名前、歌一首、本人署名。旧蔵者のメモが書かれた一筆箋がはさまれていました

平英之「アイデアの一致をめぐって」時系列整理

前提 まず前提として。  アイデアの一致・類似について争うことは、基本的にはよほどの信頼関係が成立していないとむずかしいです。  アイデアって「思いつき」の一種なんですけど。  「思いつき」は誰にでもあることで、そして「思いつき」と「その人しか思いつかないアイデア」は境目がありません。人によって判断のブレが出るようなことは、客観的判断がむずかしい。  著作権でアイデアは保護されていないという一点をもってしても、それはおわかりかと。  価値観がある程度一致している、互いに

2021七夕の水葬物語

 見てきました。  『水葬物語』と三島といえば、まず「文学界」1952年9月号のことが思い浮かぶと思います。この号には『水葬物語』から「環状路」10首が転載されています。  「環状路」というタイトルですが、『水葬物語』の「環状路」の章からの構成ではなく、いろんなところからとられています。6首までは少女と少年の出てくる歌で、後は虫だったり聖母だったり、オルガンだったりみたいなカンジ(ザツな紹介)。10首一連である程度一貫性をもって読めるように構成されています(短歌の雑誌に掲載

塚本邦雄『紺青のわかれ』電子版

※ネタばれを気にする方は読まないでください。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0B5RT2Z9L/klage-22  日記というか月記になりつつある日記の一項目にするつもりで軽く書いていたら、意外と長くなったのでnoteの記事として立てます。長くなったといってもたいした内容でないです。  電子版をきっかけに書いた記事というだけで電子版独自の話はないです。  DMM夏のスーパーセールで塚本さんの『紺青のわかれ』を買ったんです。電子版はべんり。

二十七字(「短歌人」2021年5月号掲載文章の加筆修正)

 最近、図書館に通って古い「短歌人」を読んでいる。  かつて「短歌人」の投稿規定に「一首二十七字以内」という記載があった。竹柏会も同様の規定があるものの、「短歌人」創刊時は一段組であり、このような規定はない。  二段組がはじまったのは、昭和十八年からである。  二月号から一部の欄が二段になり、七月号からすべての欄が二段となる。十一月号p.35に「お願ひ」として「二十七字以内とする事」と書かれるが、会規として記載されていない。投稿規定に反映されるのは昭和十九年に入ってからに

『シンジケート』諸版について

この文章のいいたいこと 関係なさそうな文章が続いてわかりづらいですが、この文章でいいたいのは と、いうことです。 『シンジケート』講談社版 発売されました。まずはこちらを見てみましょう。 透明カバーに4色で絵が入っています。帯は白。 カバーをとると1色のイラスト。コデックス装でひらきがよいです。 かつての栞文は本冊に収録。 「新装版に寄せて 書けなかった一行」(高橋源一郎)、「新装版あとがき」(穂村弘)が追加されました。 本文には楽しいしかけも(ピンぼけ写真です)

続・「短歌人」という誌名について

 前の記事。 「短歌人」という誌名について https://note.com/klage/n/n0d9f3c69db60  前の文章は、「短歌人」という名前は瀏の発案だが、なぜこの名称なのかはわからないという内容でした。その後もいろいろ読んでいくうちに瀏の「眞の短歌人」という文章に気づいた。 齋藤瀏『わが悲懐』(那珂書店) https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1123455 p.251-260(139-144コマ目)「眞の短歌人」

「短歌人」という誌名について

 「短歌人」1989年4月号は50周年記念号である。その中に「「短歌人」ナゾと真実」(小池光)という文章がある。掲載は58~59頁。みひらきで囲み罫があることからもわかるように、バックナンバーを眺めながらつらつらと思うことを書いたというかつぶやいたというかの軽く読める文章。  そのなかに下記のような一節がある。 「短歌人」という名称の由来については(実はいちばんこれを調べたかったのである)どこにも発見できなかった。普通、結社などおこす時は、どこかにもっともらしくその名の由

言い伝えられている事件について

 この記事は自分用メモとして作成。オチなし。  1945年8月15日以降、大量の自決というか自殺というかがあったのはみなさん御存知のとおり。  「短歌人」にもそういう人がいる、というのは聞いていた。当時の短歌人には軍人もいたし(短歌はごく普通の教養であったからどこの結社にもいたと思うけど)、そもそも主宰の瀏が元軍人。そういう人がいてもおかしくはない。  私は「皇居で自決したうちのひとり」と聞いたことがあって、こういう伝えられ方をしているということは「有名な事件であろう」