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諦めないこととは


米国でのmRNA型生物製剤の副作用の治療に手こずり、日本での治療に望みを託して2ヶ月ほど帰国した。

去年の春と様相が激変したのは、外国人観光客が溢れることだった。
インフレーションでも物は枯渇せず、公共交通機関は正確で、宅配便は外箱に傷ひとつなく届く日本はそのままだ。
程なくして、自分もご挨拶に何度もお辞儀をしたり会話中に頻繁に相槌を打っていた。

桜の色は日本の色だ。
晴れてなお、薄墨のかかったような空の色に映える。


こんなにも麗しい国を自国政府が破壊しにかかっているのを目の当たりにし、不眠症に陥った。

最大の不安は、国民の大半が危機的状況をわかっていなさそうなことだ。
表面的には世の中がまともに回っているからだ。
米国のようにガソリン価格が二倍になったり、薬漬けのホームレスが街に激増したりしないからだ。

私の周りでも国の現状に危機感を覚えている人はごく少数に思えた。
一人で意気込んで話しても、虚無感しか残らない。
極度に落ち込み、これは自衛に回らなくてはいけないと思った。
飛行機がトラブルに陥ったら、まずは自分が酸素マスクをしてから他の人を助けろという例のセオリーだ。


自分の治療と、和の文化に特化して心の浄化を試みた。
まずは宇治平等院訪問から始め、日本舞踊、歌舞伎鑑賞、お茶事、久しくご無沙汰していた着物も二度ほど着た。


溜まってたものが多すぎたのか、突然涙が出て、たびたび困ったことになった。
類まれなる美しい国に生を受けたこと
両親や、周りの人々の溢れんばかりの愛によって生かされてきたこと
祖国の文化は、思いもよらない形で心を揺さぶった。

鳳凰祭四月大歌舞伎 尾上松緑、尾上左近 連獅子


グローバリズム、マルクス主義、呼び名はなんであれ、世界中に蔓延しつつある
最強極悪のビジネスを知ってしまった以上、何かをしなくてはいけない気持ちをあらたにした。

グローバル全体主義は家族を破壊し、人々を分断し、伝統文化を剥奪してゆく手順を確実に成功させている。
どうせ蟻よりも小さい存在なのだから、逃げ隠れしてどうにかやり過ごそうとは思ってはいない。

私はたかだか生きて数十年だけれど、最愛の姪や友人の子供達は好むと好まざるとに関わらずこれから先が長い。
その人たちに、良い日本を残すために行動しよう。

そして、私はほとんど初めてに近い思いで両親に感謝する。
あなたたちの言っていたこと、言わなかったこと、全てを私の心の中に植え付けて置いてくれてありがとう。
私はあなたたちの娘として生まれ、幸せです。

まさか苦境の中で感謝の気持ちを見い出すなどとは、2、30代の時は綺麗事のようにしか感じなかった。


ある人が天国にゆき、神様と会う。
神様はその人が歩いてきた足跡の軌跡を見せる。
砂地のような上に続く足跡が、ある時突然消え、また現れる。
「なぜここだけ足跡がないのですか?」と神様に問うと、
「あなたがあまりに辛そうだったので、私が背中におぶっていました」と。

世界中の同志にこの話を送りたいと思う。



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