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北米アニメ研究所5|メイドカフェの収益を、アニメーターの生活向上と低賃金問題解決に向けて寄付!

本社を香港に構えながら、開発はカナダ、デザインはロンドン等、世界中のネットワークを使ってサービスの展開を行なう企業、KLKTN(コレクション)。そんなKLKTNが発信する本noteは「北米アニメ研究所」と題し、グローバル市場での事業展開の中で築いたネットワークを生かして得た知見をもとに、北米に住むアニメファンの実態に迫るインタビューシリーズを展開します。これまで把握が難しかった海外のアニメファンの実態を、「統計情報」ではなく「エピソード」を交えてお伝えすることで、是非多くの国内のアニメ業界関係者の皆様には、グローバル市場における「日本のアニメ」の新たな価値を掘り起こし、新サービス・プロダクトを検討するきっかけを作っていただければと考えています。

シリーズ5回目を迎えた今回は、マギル大学にあるアニ研(アニメクラブ)McGill Students' Anime Club(MSAC)に所属するメンバーにお話を伺いました。MUは、フランス語圏として知られるカナダのケベック州モントリオールにある国内でも有数の名門校。これまでに12名のノーベル賞受賞者や、142名のローズ奨学金受賞者を輩出しています。

Arts Building, McGill University, Aug 31 2022.jpg By D. Benjamin Miller - Own work, CC0

「Maclean's」が発表するカナダ国内ランキングでは16年連続で1位を獲得。そのほかにも、「Times Higher Education」が発表した世界大学ランキング(2024年版)で49位にランクインするなど、常にランキング上位を誇っています。
今回はMSACのメンバーに、大学のことやこれまでに開催した人気イベントについて伺ってみました。(前回の記事はこちら


Basile(バジル)
マギル大学3年生。メカニックエンジニア専攻
好きなアニメ:「ジョジョの奇妙な冒険」「DEVILMAN crybaby」「不滅のあなたへ」

Kevin(ケビン)
マギル大学3年生。コンピューターサイエンス専攻
好きなアニメ:「ノーゲーム・ノーライフ」「ぐらんぶる」「頭文字D」

Pasta(パスタ)
マギル大学4年生。コンピューター工学専攻
好きなアニメ:「メイドインアビス」「サニーボーイ」「少女終末旅行」


Yulan(ユラン)
マギル大学4年生。コンピューターサイエンス/生物学専攻。
好きなアニメ:「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「パラダイス・キス」「Mo Dao Zu Shi」

マギル大学に入学した理由を教えて。


Yulan:私の家族はモントリオール出身だから、この町に家族や親戚がたくさんいるの。それが決め手になっているかな。
高校まで香港に住んでいたけど、私の母国語はフランス語。だからずっとフランス系のインターナショナルスクールに通っていたの。そんな環境から、香港以外の場所に行くならどこがいいかなって探していた時に見つけたのが、カナダのマギル大学。家族のことや、フランス語が公用語の地域にあるという理由だけでなく、ほかの大学と比べて学費は安いし、大学のランキングが良かったのも印象的だった。それで総合して考えた時に、一番魅力的な選択肢だと思って決めたの。だから、もともとマギル大学のアニメクラブ(以下MSAC)が目当てで入学したわけではないんだけど…。

Pasta:僕も似たような理由だな!通っていた高校はアメリカにあったんだけど、マギル大学はアメリカのどの大学に比べても学費がすごく抑えられるから。

Kevin:僕は、もともとこの大学の近くに住んでいたんだ。それでコンピューターサイエンスを勉強したいって思った時に、候補に挙がったほかの有名校は遠いし学費も高かった。UBC(ブリティッシュコロンビア大学)とかウォータールー大学とかね。それでここに決めたんだ。

Basile:僕は交換留学生だから、皆とちょっと事情が違うかな。この大学に在籍できるのも1年だけだし。もともとカナダに住んでみたいと思っていたから留学先をまずカナダに決めて、そこからリサーチをしてランキングが良かったマギル大学に来ることを決めたよ。
高校はフランスではなくてスイスにあるところに通っていたんだ。そこにもアニメクラブはあって、アニメイベントも開催していたよ。そのイベント、今ではスイスのフランスに近い地域で最大規模のイベントにまで成長してるんだ!

MSACではどんなイベントを開催しているの?


Yulan:週一の定期イベントがあって、毎週金曜日に2時間くらい皆で集まって楽しんでいるよ。上映会もよくするけど、コロナ以降はオンライン上映会がメインになっているかな。「ボードゲームナイト」のようなゲーム系のイベントも人気。だいたいプログラムの冒頭では、漫画やアニメに関するトリビア(雑学)や豆知識が学べるようなクイズ大会をすることが多くて、その後は皆で一緒にイラストを描くこともあるんだ。イベントが終わってから、2次会と称して皆でご飯を食べに行くことも結構あるよ。

そんな感じで年間を通していろいろとやっているけど、中でもうちの2大イベントと言えるのは、「ハロウィーン・コスプレ・イベント」と「メイドカフェ」だと思う。ハロウィーンイベントではコスプレコンテストもするんだけど、初心者も大歓迎でとっても盛り上がる!
もうひとつの「メイドカフェ」では、売上をNPO法人「アニメーター・サポーターズ」(アニメーターの生活向上と低賃金問題の解決を目的とした団体)に寄付しているんだ。メイドとバトラー(執事)をボランティアで募って、参加者に飲み物や食事を提供するんだけど、そのほかにもダンスなどのパフォーマンスも盛りだくさん。こういうイベントは盛り上がるし、もっと増やしたいなって考えているところ。
あと、役員が「自分が好きなマニアックな話題」をひとつ選んでメンバーにプレゼンするなんていう変わり種イベントもあったな。

Pasta:カラオケに行って、メンバーの皆と楽しむこともあるよね!でもあくまで学外で、クラブ活動として公式にやる訳ではないんだ。カラオケってまずセットアップが大変だし、そのほかにもいろいろと細かい問題があるから。


おりがみワークショップを開催した時の模様。

特に印象に残ったイベントはある?


Kevin:コスプレ大会とかアート関連のイベントもあるけど、個人的に好きなのはやっぱり上映会。普段自分では選ばないような作品も見ることができて面白いんだよね!

Pasta:僕は、ただクラブの人たちと一緒にいるのが楽しい。だから、実際に何をするかはあまり重要じゃなくて、純粋にメンバーの皆と過ごせる時間が嬉しいよ。そういう意味では、NPO団体への募金イベントも好き。イベントそのものとか何か特定のイベントっていうよりも、皆で一丸となって大きなイベントの準備をしている時間が最高なんだ!


Basile:僕はKevinと一緒で、試写会が好き。自分の慣れ親しんだ領域から抜け出して、異ジャンルを楽しめるのが本当にいいと思う!
あともうひとつのお気に入りは、「ハロウィーン・コスプレ・イベント」だな。ド定番だと思うけど、去年は麦わら帽子を被って「ワンピース」のルフィになったんだ!

Pasta:僕は赤いペストマスクを付けて、「チェンソーマン」の暴力の魔人をやった!

Kevin:僕は普段は撮影専門で、写真を撮ってる方が楽しい派。でも「メイドカフェ」の時はメイドになったよ!

Yulan:「ハロウィーン・コスプレ・イベント」は、私はいつも主催をする側。それでもコスプレもしっかりしたの。映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」のマキアの衣装を作ったんだけど、レア過ぎて誰にも気づいてもらえなかった(涙)。でもウィッグを被ってコンタクトをつけてメイクもして、すごく楽しんじゃった!私は普段から衣装を作ったり選んだりして皆のコスプレを手伝うのが好きだしね。
このイベントではいつもほとんどの人が初めてのコスプレだと思うけど、それでも仮装コンテストには25〜30人以上のエントリーがあるからすごいよね!初年度なんて80人以上が参加したけど、3分の2以上の参加者がコスチュームを着ていたと思う。毎回すごく盛り上がるわ!

MSACの現在の会員数は?


Yulan:ディスコードにいるメンバーでカウントすると1,500人以上いるの。でもそのうちアクティブなのは70人程度だから、絞り込むことも必要だなって感じている。

Pasta:卒業で退会したけどディスコードに残ってる人が結構いるからね。

Yulan:最近ではモントリオールにあるほかの大学のアニメクラブとの交流も盛んになってきたから、リアルイベントでもたくさんの人たちが遊びに来てくれるよ。会場で彼らが「コスプレしたい」って言ったら、手伝ってあげることもあるの。クラブで保管しているコスチュームもあるから、それを貸し出したりして。
すべてのアニメクラブが活発に活動しているわけでもないし、本当にたくさんの人たちが他校からも参加してくれる。中でも役員の人たちは頻繁に遊びに来てくれるから嬉しいな。
一方で他校のアニメクラブも、私たちのために両クラブが自由に集えるスペースをキャンパス内に作ってくれたりもしたよ
他校との合同イベントに参加することもあって、UBCアニ(ブリティッシュコロンビア大学のアニメクラブ。彼らとのインタビューはこちらから)が主催している「カニトーバー」(CANItober、カナダアニメクラブインクトーバーの略)っていうアートイベントでうちのクラブメンバーが勝った時は、とっても嬉しかったし盛り上がったな!


マギル大学アニメクラブメンバーとのインタビューシリーズ2回目はいかがでしたでしょうか。次回は、12月上旬に公開予定です。こちらもどうぞ、お楽しみに!

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