キュアウィングに感激

プリキュアファンのKLPです。

しばらく男の子プリキュア、というよりプリキュアそのものについて記事を書く予定はなかったのですが、いろいろと動きがあったので、自分の意見をまとめようと思います。


キュアウィングになれる!

お察しの通り、今回の話題はこちらです。

ひろプリのイベントのなりきりコーナーで、キュアウィングだけ衣装がなかったことで男の子が泣いてしまった、というTwitterの投稿に注目が集まったところ、公式から9月からフォトスタジオでキュアウィングの衣装を扱うこと、予約販売も始まることが発表されました。

私はことの成り行きをはらはらしながら見ていたので、ひとまずほっとしました。
当該ツイートの男の子も、同じように涙を呑んだであろう子どもたちも、これからはキュアウィングになれますね。

これまでウィングの衣装だけ発売されておらず、イベントも市販品を使用していたために起きた今回の騒動。あっと言う間に解決したのは、元々もう少しで発売予定だったからなのか、試作だけしていて商品化未定だったものに急遽ゴーサインが出たからなのかは、公表されない以上私にはどうせ分からないことなので、あまり深く考えても仕方ないかと思います。
ただただ、辛い思いをした子どもたちの夢がこれからは叶う、これ以上の喜びはありません。

イベントの件は残念だったにせよ、公式サイドの迅速な対応も良かったです。

誰もが必要なメンバー

これまでウィングの衣装がなかったのは売れないと判断されていたからなのか、番組終盤の時期に手元に届くものをこれから販売して採算は取れるのか、といったことも、私には憶測の話しかできないので、ここでは深掘りしません。

自分にできる範囲でとてもシンプルな話をすれば、チームのメンバーのうち一人だけ、それも自分の好きなキャラだけ扱いが悪かったら、ファンは当然悲しむ、ということに尽きます。
そして、大人は勝手に事情を察して諦めることもできますが、子どもにその理屈は通用しません。まして、好きなキャラそのものになれると思ったのになれなかった、そのショックは計り知れないでしょう。

キュアウィングはプリキュア初の男の子の正式メンバーです。
その新しい試みによってついたファンは必ずいますし、現に当該ツイートの男の子は、ウィングに背中を押されてイベントに足を運びました。
もしも、せっかくウィングについたファンをみすみす手放し、プリキュア自体のイメージも悪くなれば、それは確実に”損”であると言えます。

今回、あくまでTwitter上のことではありますが、娘が、息子が、周りの子が、キュアウィングの衣装を欲しがっていた、という声がたくさん見られました。
ひろプリ本編を見ても、4人にそれぞれ役割があり、ウィングは飛行能力を生かした戦闘を繰り広げています。
誰もが必要なメンバーで、ウィングはまぎれもなくその一人なのです。

批判の是非

ところで、公式サイドに批判が集まったことについて、「商売する側のことも考えろ」「出ても買う予定のない人は批判すべきでない」「子どもを盾に大人が勝手を言って炎上させた」という声も聞かれます。

公式サイドにどういう事情があったのか分からない以上、度が過ぎて攻撃的な言い方は控えるべきと思います。
また、どんな要望でも叶うわけではないことは、心に留めなければならないでしょう。

ただ、子どもがせっかくのイベントを楽しめなかったのは事実であり、それは少なくとも良いことではありません。批判を寄せ、要望を出すまでは、消費者の当然の権利と私は考えます。
どのみち、実際に損得を考えて商品展開するのは公式サイドであって、できればやるし、できなければやりません。意見は言うだけ言ってみればいいのです。今回は予約販売という形になったのですから、落としどころとしても妥当でしょう。

買うつもりのない人は批判できない、というのは少々言い過ぎだとも思います。「子どもが悲しんだ」という客観的事実に対しては、誰でも意見は持ちえます。欲しい人が欲しいと言うことが一番大事ですが、「ここに必要な人がいますよ」と味方になることは悪いことではありません。
また今回、仮に公式サイドが男の子プリキュアというものの人気を計りかねていたとしたら、ウィング支持を表明すること自体に大きな意味があったと思います。ウィングを必要なメンバーだと思っている人が多ければ、ウィングを特に好きで、商品を買うかもしれない人もある程度いるということだからです。

なお、ちょっとずるいことを言いますが、私自身はTwitterではプリキュアについて自分の意見を発信していないので、この”炎上”には加わっておりません。
事の成り行きを追い、解決が見えた今、自分の考えを整理しているのみです。

「初めからいない方が良かった」はあり得ない

さて、唯一外されてしまったのが史上初の男の子プリキュアだったということで、「こんな扱いをするくらいなら、最初から男の子プリキュアなんて出さなきゃ良かった」という物言いもよく見かけました。
男の子プリキュア擁護派にもちらほら見られる発言ですが、やはり批判派がここぞとばかりに言っている印象ですね。

まず前提として、ウィングの衣装がなかった一番の原因が「男の子」にあるかどうかは、公式サイドが公表しない限りこちらには分からないことです。過去にも他のメンバーと同じ商品が出なかったキャラはいるので、例え「男の子」に一因があるとしても、最後は総合判断だったと思うしかないでしょう。

その上で言うと、キュアウィングが初めからいない方が良かったなんてことは、絶対にありません。「やるなら半端なことをするな」ならまだ分かりますが、「そもそもやらなければ良かった」は言い過ぎです。

今回の話題の大きさが示しているのは、それほどウィングが広く受け入れられていて、見当たらなければ悲しむ人がいて、悲しむ人に味方する人も多くいる、ということのはずです。必要とされているキャラが初めからいない方がいいなんて、どうしてそんなことがあるでしょうか。

公式サイドにしても、挑戦が全て順調にいかないのは仕方のないことです。初めての男の子プリキュアを扱う中で、今回はたまたま後手に回ってしまいました。それでも問題提起から2日程度で対応したのですから素晴らしいと思います。
長年見ているファンなら特に、プリキュアが作品ごとにいかに様々な挑戦をして素敵なものを生み出してきたか知っているはずです。一度でも失敗するならやらない方がいい、という精神では、プリキュアは20年も続かなかったのではないでしょうか。「初めからやらなければいい」は、プリキュア自体も貶しかねない発言です。

振り返ればウィングは、女性3人に混じっても違和感のないデザインだったり、正体は鳥だったり、物語で特に「男の子」を強調されなかったりと、公式サイドは挑戦するにしてもかなりの配慮をしているように見えます。これほどウィングが受け入れられているのを見れば、これらは成功したと取っていいはずですが、「『男の子』に意味を持たせないのは”逃げ”だ」と言う声もあるので、何をしてもあげつらう人はいるんだなあと感じますね。

また中には、ウィング登場、おもちゃ解禁からも日が経っているので、これまで衣装がないことが話題にならなかったのならやはり不人気なのだ、という推測もあるようです。

しかし、必要とする声が上がるのを不人気と受け取るのは、さすがに無理のある解釈です。
今になって衣装がないことに驚いた人たちは、そもそも一人だけ商品が出ないということを想定していなかったのではないでしょうか。長年のファンで、なおかつおもちゃやグッズの動向まで細かく追っている人なら、これまでも全員分出なかった商品があるのは知っていますが、ファンにも様々な人がいます。売られないことがあるという前提がなければ、あえて発売の有無を確かめたりしないのも仕方がありません。

あるいは、ウィングの衣装がないのを知っていたにしても、その先に待つ悲劇まで予想していなかった人もいるでしょう。
これは私自身がそうで、ラインナップにキュアバタフライしか追加されなかったのを見たときはがっかりしたのですが、それこそ公式サイドの事情だとか、自分は恐らく買わないだろうということを考え、何もアクションを起こさずやり過ごしました。ないものにどう対処するかは、個々で考えるしかないことだ、と。まさか、イベントという場で、ここまでのことが起きるとは思わなかったのです。
今となっては、あのとき余計なお世話でもいいから批判しておけば良かったとすら思いますね。
初めからやらなければいい、という言い方をするのであれば、3人分しかないのを分かっていて市販品を使ったイベント運営こそ、なりきりコーナーを初めから設けなければ良かったのでは、とも言えます。これからはウィングも準備されるので、もう関係のないことですが。

批判派の一部はもっと踏み込んで、男の子プリキュアは騒動の元になったからもう出てくることはない、出さなくていい、ということまで言ってもいるようですが、むしろこの騒動で、男の子プリキュアも順当に支持を集めうるということが証明されたのではないでしょうか。支持されていたからこその騒動であって、諸々の失敗は次に生かせばいいだけです。失敗のためにわざわざ丸ごと手放すのはもったいないというものです。
それにしても、公式サイドが騒動に素早く対応した、泣いていた子どもの夢が叶った、という出来事にシンプルに「良かったね」と安心するのではなく、支持する声の多さをなぜか不支持の証明としたり、「初めから不要」「もう出てこない」という主張に持っていったりするのは、個人的にはよく分からないですね。

キュアウィングが与えた勇気

公式発表までには、実際に購入したいと要望を出している人に対しても、「我慢するしかない」「他の衣装を勧めれば良かった」「親が作ればいい」といった意見がありました。
現実にはそうした対処をするしかないにしても、他のキャラクターならすんなりできるところ、一人だけ同じことができないという状況に対する批判は、当然のものです。
当人だけ我慢すれば解決する、というのでは、何も発展しません。

私は今回、キュアウィングがいたことで勇気をもらい、衣装を着てなりきりたいとまで思う子どもがいるのを目の当たりにして、感激しました。

「男の子だから男の子プリキュアでないと応援できないというのは、差別的な発想ではないか」という意見もあるようですが、きっかけがキュアウィングであっても、プリキュアそのものを好きになってくれるなら決して悪いことではないと思います。
確かに、男の子が女の子のプリキュアを好きでもその気持ちを隠すことなく、堂々と衣装まで着られるのは理想的ではありますが、ウィングにハードルの低さを感じたこと自体は、そこまで強く責められるものでもないでしょう。

(ところで、男の子プリキュアを不要とする批判派の一部の主張には、「男児だって女の子プリキュアが好きなはずだ」というものと、「女児は男の子プリキュアなんて好きになるわけがない」というものがあります。スタンスとして両方同時にあるのを不思議に感じるのは私だけでしょうか)

そもそも、実際そういう声が上がった通り、キュアウィングを好きな女の子もいます。衣装がなかったことで悲しい思いをしたのは、たまたま話題の中心になった男の子だけではなかったはずです。
自分と同じ性別のキャラを好きになる子、性別なんて関係なく好きになる子、どちらにとっても、ウィングの衣装があるのは喜ばしいことです。

騒動という形ではありましたが、キュアウィングが確かに多くの人に受け入れられていて、勇気を与えているということが実感できました。
キュアウィングの今後の活躍と、プリキュアの更なる挑戦を期待しています。

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