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リクルートを退職して起業しました

この12月で新卒から3年半働いたリクルートを卒業しました。

退職エントリーということで、例のごとくこの記事では
・働こうと思った理由、リクルートに入った理由
・実際に入ってどうだったのか
・なぜやめるのか、これから何をやるのか
について書いています。

わりとリクルートに関係ない話も多いので、「ケイマエジマには興味ないのでリクルートの話だけ読みたい!」という方は飛ばし飛ばし読んでいただければと思います。

そもそもなぜ働こうと思ったのか

実は僕は大学院に入ったくらいの頃までは研究者として生きていこうと思っており、企業で働く予定はありませんでした。僕の人生の目標は「人類の進歩に貢献する」という割とスコープ広めのものです。当時は下記の理由で社会全体に対して貢献したいと考えるならば、企業でやるよりも学術機関に所属して研究をやっていった方が適切だろうと考えていました。

一つは企業体のしがらみを離れて解を追い求めることができるからです。企業でプロダクトやサービスを作る場合には、当然利益を追求しなければならず、それによってあるべき論から収益の最大化の方に舵が引っ張られてしまうのではないかと当時は考えていました。

もう一つは知識や情報共有のあり方についてです。学術機関では当然論文を主なメディアとして個々の研究成果の共有が行われますが、企業では「企業秘密」という言葉があるように、ほとんどの情報は秘匿されており、巨人の肩に乗りながら効率的にあるべき姿を追い求めていくことが難しいと考えていました。

ところがエンジニア文化やスタートアップ文化との出会いによってその考え方は変わりました。

昨今の日本のスタートアップの状況はかなり良くなってきていてまだ何も結果が出てないところから資金が集まったり、協力してくれる人が集まって、ゼロベースで自分の目指す世界を体現するサービスを作ってその世界観を世に問うていくことができる時代になっていると感じています。また、企業でやった方が寄与すべき対象である「社会」との距離が近く、フィードバックも早いのでより早くより深い探求が可能な場合もあるという風に認識を改めました。

そして、特にエンジニアの方はよくわかると思うのですが『伽藍とバザール』という本でも言われているように、IT系の企業では独占的にやるよりもみんなで協力しながら作っていいった方がうまくいくことが多いよね、というエンジニア文化から派生した価値観が共通認識として当たり前のように共有されています。

そんなこんなで、特にITの分野であれば企業でやった方が良さそうだという結論にいたり、学術機関から離れて就職することを決めました。

なぜリクルートだったのか?

実は僕は大学院の時に会社を立ち上げてサービスを運営していたことがあります。その際に非常に自分の力不足を感じ、一度企業に入って修行しようと決め、修行の場としてリクルートを選びました。

そもそも会社に入る意味は何なのかを考えると、もちろん問題解決のフレームワークや具体的な業務知識など言語化・体系化できるものがまず挙げられると思います。ただ、問題解決のフレームワークや特定の知識というものは言語化できる時点で書籍などである程度習得可能であると思っており、わざわざ会社に入って習得する必然性はないと思います。

入社前から仮説として持っており、また実際に入社してみて正しいと思ったのは、会社に入ることの意味は非言語的な領域にあるということです。ある事象を目の前にした時に論理より先にこれはおかしいだとか、この考えた方が良いだとか言ったような瞬間的かつ感覚的な反応を鍛えるということです。 賛否両論ある学説なのですがアントニオ・ダマシオの「ソマティックマーカー仮説」に近い考え方だと思っています。 これは企業に入ってその会社の文化の中や人の中で業務の中で内省したり指導されたりする中で鍛えられていくものだと思います。

就職活動では主に外資コンサルといくつかのIT系起業を見ていたのですが、上記の前提のもと最終的には各社の社員の方と会ってどれくらい思考の親和性が高いか、あとは卒業生の中で「こうなりたい」と思える人がどれくらいいるかでリクルートに入ることを決めました。

実際リクルートに入ってみてどうだったか

結論から言うと、リクルートは本当に良い環境でした。部下の成長を人生単位で本気で考えてくれる上司や、ものすごく優秀な同僚が何人もいました。入社当時は「環境のせいにするな、環境がダメなら自分で変えろ!」くらいのマッチョな価値観を持っていたのですが、恵まれた環境の力を思い知って今では「環境超重要!」と叫びだすくらいに価値観が変わりました。

僕は、リクルートに入る前にリクルートに入ってやりたいことを3つ決めていました。①技術(エンジニアとしてのサービス開発)、②マネジメント(組織やプロセスのマネジメント)、そして③事業理解(新規事業か既存事業のプロマネ)です。

これらをなるべく短い期間でやっていきたいということを採用面接の時から人事や上司に対して伝え続けてきました。結論から言うと3年半でこれらを全てやらせてもらうことができました。

やってきたこととしては1年目はショプリエという新規サービスでエンジニアを、その後保険チャンネルという新規サービスの開発統括をやりました。そして2年目からはホットペッパービューティーの開発統括を2年間やりました。そして最後の半年はホットペッパービューティーのビジネスサイドに移って新規事業の立ち上げや既存事業の KPI マネジメントやっていました。

短い間にやりたいことをやらせてもらえた、という意味では早いうちにやりたいことを決めて、かつそれを発信し続けて来て本当に良かったなあと感じます。人事配置というのは会社の都合、上司の意向、そして本人の意向によって総合的に決まります。ですので、仮説ベースでも良いので将来やりたいことを決めて、それを事あるごとに言い続けることはサラリーマンにとって非常に重要だと思います。

上の話に関わる価値観として僕は「決定至上主義」を標榜しており、とにかく「決めること」の連続によって人は幸せになっていくのだと考えています。例えば上の例で言うと、特に目標を決めずに会社に入って上司や会社の方向性に合わせて自分の身の振り方を決めていくこともできますが、それでは上司や会社にとっての人事配置の検証にはなっても自分自身のやりたいことや自分にとっての幸せの検証はできません。

まず「決めること」によって仮説ができて将来的に結果が出た時点で検証可能な状態になります。そして、検証することによって人は前に進むのだと思います。よって決断材料が足りなくても、知識や経験がなくてもとにかく「決めること」によってのみ人は前に進むことができるのだと信じています。

なぜやめたのか?

やめた理由は大きく二つあります。

一つ目は上で書いたように、自分がリクルートでやりたかったことが全てできたからです。もちろんスキル面での成長が十分かというと全くそうだとは思っていないのですが、「辞め時」というのはスキルと自分の気持ちと市場の状況のバランスで決まると思っているので、それらが今最適なタイミングだと思っています。

もう一つは、企業で働く中でやはり自分はスタートアップ向きだということが確信に変わったからです。具体的な例をあげるとキリがないのですが、僕は細かい仕事があまり得意ではありません。実際の仕事でもよく細かい数字のミスをしては人に迷惑をかけたりしていました。

その理由を考えてみたときに、シンプルに性格的な問題に加えて下記が主な理由としてあげられます。
1.人から怒られても自分が人生で大切にしているものや目指しているものに関わりがない場合は全く気にならない
2.だいたいのことを「まあいけるだろう、大丈夫だろう」とポジティブに考えてしまいリスクに大しての感覚が鈍い(よく言うとリスク許容度が高い)

この特性のせいで上司にとっては扱いづらい部下だったでしょうし、大雑把な仕事をしてしまうことも多く在職当時は本当に多くの人に迷惑をかけました。そんな自分の特性を直そうと思った時期もあったのですが、とてもしんどいし、人格改造をしない限り無理だという結論にいたり、そうであればそんな自分が活きることをしようと思い至ったのです。そして、そんな自分が活きるのはやはりスタートアップの経営者だと考えました。

余談ですが、リスクを恐れずにはじめてのことに挑戦する人のことを「ファーストペンギン」と言ったりしますが、チャレンジャーをペンギンに例えるのは適切ではないと思っています。なぜなら、海に初めて飛び込むペンギンには魚の群れがすでに見えており、また魚を採りに海に飛び込む行為は今まで何回も繰り返してきたことなので、チャレンジとは言えないと思うからです。

どちらかというと、人類史におけるチャレンジはもっとランダムウォーク的なものだと思います。客観的にスタートアップ企業の成功率をみてもほぼランダムウォークのようなものだと言って良いと思います。失敗する可能性が高いけれど、集団の利益に資するためにチャレンジするという意味では餌を見つけるために彷徨い続け、また餌が見つかったあとも巣への最短ルートを探してランダムウォークを続ける「働き蟻」の方が比喩としては正しいと思っています。

前置きが長くなりましたが、きっと人類史における先人の中で自分のようなリスク認識能力が鈍い人はチャレンジをしてきて、その多くは野垂れ死んできたのだと思います。自分もそうした方が人類への貢献という意味ではリターンは大きそうだと判断しました。たとえ野垂れ死ぬ可能性が高くても大企業にいるよりは独立してチャレンジをどんどんしていった方が自分に合っているだろうし、世の中のためになる可能性も高いだろうと考えています。(もちろん野垂れ死にたいわけではなく、そうならないように努力をします)

これから何をやっていくのか

人はなぜ働くのかということを考えた時に、過去に比べて個々人によって異なる目的を持ちやすい時代を迎えつつあると感じています。人類史を見渡してみると、農業革命まではとにかく生きるためというのが働くことの目的だったと思います。そして、産業革命以降においては生活を物質的に豊かにする、より便利なものをものを手に入れることに目的が移行していきました。それは日本においても同じで、高度経済成長ごろまでは車、クーラー、テレビ、洗濯機などより便利なものを手に入れるために働く人が大多数でした。

この情報革命社会においてそれぞれの人々が標榜する世界観・未来像はかなり分化してきていると思っており Facebook で友人たちのタイムラインを見ていてもAIによってオートメーション化された未来の実現を求めていたり、逆に自然回帰を求めていたり、もしくは人との繋がりを感じたいなど若い人が働くモチベーションはかなり多様性が高まっているように感じます。

物も食べ物も充足しているこの日本において私たちの労働そのものが自己表現化してきているのではないでしょうか。未来をどうしたいのか将来どんな世界を作っていきたいのか、労働という行為自体が自分の世界観を表明し、世に問うものになりつつあると感じます。

そうした背景の中で自分の事業も株式会社としてやるからにはもちろん資本主義の中で市場に求められ、最大限利益をあげられるものを作っていくのですが、それと同時に自分の目指している世界観を実現する手段として捉えています。

結局これからやっていくことについて書いていないのですが、事業については絶賛準備中ですのでまたSNSなどで共有させていただければと思います!


長くなりましたが、3年半のリクルート人生は非常に学びが多く、また自分の人生の方向性について確信を与えてくれた非常に良い時間でした。一緒に働いた方々にはとても感謝しています。
そして、辛い時も楽しい時もいつも隣で一緒に夢を語り合ってくれる妻にもとても感謝しています。
ありがとうございました!


ここからは流行りに乗って有料にしたいと思います。言いたいことは上に書いたので、ほぼ投げ銭コンテンツのような感じです。
ここまで読んでいただいて、こいつを応援しても良いかなと思ってくれた方は投げ銭していただけると嬉しいです。無駄づかいはしません!笑

有料コンテンツは「リクルートの評価制度と自分自身の評価」についてです。コンパクトな内容です。

あと、ウィッシュリストも貼っておきます!
http://amzn.asia/5HNw2Pb

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追記:これからやっていく事業について書きました

https://note.com/kmaejima1/n/n95a2204afa41

リクルートの評価制度と自分自身の評価について

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