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1年振りのミャンマー、ラカイン州への旅を終えて。

写真は西部ラカイン州ミャウー郊外、ロヒンギャが暮らす村の子供たち。彼らは去年と変わらず不条理な今を生き抜いていました。去年夏に発生した州北部の大弾圧で多くのロヒンギャが殺され、72万人が隣国バングラデシュへ避難している現状は今も変わりません。国際的なニュースに詳しい友人と話しても「もうミャンマー国内にはロヒンギャは存在してないのかと思った」と言われるくらい、ラカイン州内の情報は厳しく統制されており、ミャンマー国内でも知られていないことが多いのです。

しかしこれまでミャンマー国内では「ロヒンギャ」と云うフレーズすら口にできない「タブー感」があったのですが、あまりに世界的に報道され、民主化を目指す流れの中で、特に最大都市ヤンゴンでは「ロヒンギャについて話してはいけない」空気は変わっているように肌で感じました。議論できる環境が育つのは良いことだと思います。

日本の1.8倍の国土に約5500万人が暮らすミャンマーには法的に135もの民族が存在しており(ロヒンギャはそこに含まれていません)、国民の多くはそれぞれの問題と向き合い、喜怒哀楽の中で日々を生きるのに必死です。ただロヒンギャのこと、軍が行っていることを「他人ごと」と見放して欲しくはない。

私は2015年から主にロヒンギャが暮らすラカイン州や避難先のバングラデシュ南東部を訪れ、彼らの現状を僅かに人より多く見聞きしているつもりです。基本的にロヒンギャにはカチンやカレンのような「独立軍」など存在せず、政治的に独立する意思などもないので、彼らは「弱いものいじめ」の状態で「されるがまま」なのです。

実際に様々な不条理を抱え、差別された環境に置かれているのはミャンマー国内で見てもロヒンギャに限られたことではないですが、それでも何より虐殺や村を燃やされたり、移動や教育、医療へのアクセスを厳しく制限され隔離・収容されている現状や、民族ごと「無国籍」にされている国籍法、幹線道路沿いに住んでいても意図的に彼らの村には電気が引かれていなかったりする状況は「深刻な人権侵害」であり、それは伝えていかなくてはいけないと思っています。

同時にロヒンギャだけでなく、彼らと生活を共にするラカイン族やその他ミャンマーの人々、バングラデシュ南東部の人々の状況を見て、話に耳を傾けなくてはいけない。今回改めて「ミャンマーのことをもっとよく知りたい」と感じました。

2018年12月10日

新畑克也

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