見出し画像

異色ではなく、正統

今週の「カンブリア宮殿」では、千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長の特集が組まれており、家族で興味深く、視聴させてもらった。

雑誌やネットの記事を通して、工藤校長の活躍は耳にしていたが、実際に校長として働く中学の映像、授業や生徒たちを通じて、公立中学校で大きな改革が起こったことを認識できた。

番組でも紹介されていたが、定期テスト、宿題、クラス担任の廃止が麹町中では行われており、服装や髪型の指導もない。

麹町中の最上位の目標は生徒の「自律」であり、生徒自身でPDCAを回せる生徒を育てていく点にある。

そして、この目標を達成するために、目的と手段を明確にし、ブレずに改善していった点が工藤校長の行った学校改革であった。

従来の公教育は目的と手段がいつの間にか混同され、手段が目的化し、自律した生徒を育てるとは逆のことをやっているのが実情だ。

具体的に言えば、工藤校長は生徒の自律を促すという目的達成のために、手段である定期テストや宿題を廃していったのだ。

それはビジネスにおいても、そのまま使える考え方であり、この考え方を職員だけでなく、生徒にも浸透させていっているのが、麹町中の教育改革の骨子でもあった。

番組の最後に村上龍が「異色ではなく、正統」と評し、以下の様に語っていたのが印象的だった。

「中間・期末テスト廃止」「宿題廃止」などが話題になって、工藤先生は、異色だと言われる。だが、組織の歯車を育てるという明治以来の教育方針が、いまだ本流として残っているほうが異常だ。わたしはそういった教育体制で育った。数少ない例外を除いて教師は敵だった。だが現代、教師たちも疲弊している。どう生きればいいのか、規範もモデルもない。ただし、重要なのは「どう生きるのか」ではなく、「生き延びるには何が必要か」だ。工藤先生は、そのことを生徒たちに「教える」のではなく、「考えさせよう」としている。

いい番組であった。

そして、勇気をもって改革に取り組む、いい男の顔を見た。

的狙い 標を刻み 志を穿つ 自ら決めて 自ずから立つ




人の世に熱あれ、人間(じんかん)に光りあれ。