テレビ東京制作「ハイパーハードボイルドグルメリポート」見た。友達に勧められて視聴。めっちゃ良かった。Netflix、Amazon Prime Video等で放送５回分まで配信中。

ハイパー体当たり系世界お食事ドキュメンタリー

アフリカ元少年兵、台湾マフィア組長、メキシカンの極悪ギャング、シベリアのカルト教団、僕らが普通に生活を送っていたらまず会うことがない人たちに番組ディレクターがカメラを持って身体一つで取材を行う。
彼らが普段何を食べているのか。その様子をカメラに撮る。
出来上がったVTRを小籔千豊さんが見る。

そういう番組。以下感想。

テレビ東京の本気

凄かった。こんな番組を日本でまだ見れたなんて。
日本のテレビは死んだなんて言われてるけど、まだまだ捨てたもんじゃなかった。しかもテレビ東京。すごいぞテレビ東京。
Netflixオリジナルのドキュメンタリー等に影響を受けている節は見られるけど、最近見た日本制作の番組で一番良かったと思う。

取材自体はすごく淡々としている。芸能人のレポーターもいなければVTRにはナレーションすら入っていない。演出も簡素で編集の合間に小刻みなパーカッションが流れるのみ。

世界や政治に向けてなにかを批判しようという意図や、演出で視聴者を泣かせたり、笑いを取りにいったりすることはない。ただただ彼らの生活を写し、それを見るだけ。

小籔さんのリアクションがワイプで抜かれる部分は日本の伝統的なバラエティ的だけど、この小籔さんのリアクションがまた良い。派手に笑うわけでも泣くわけでもなく「そうじゃないと生活できんもんなあ」「いい人なんやろなあ」と、すごく視聴者目線。ハードな内容のVTRでも説教臭くさせない良いスパイスになっている。

生と死と食事。

この番組は人間の生と死へのフォーカスの仕方がすごく良い。
どんな人間でも必ず腹が減る。
腹が減るならご飯を食べないといけない。

人間が生きている中で一番身近に「生」を実感できるのが「食事」という行為だと僕は思っている。食事は赤ちゃんから老人まで必ず毎日行う。

人と親交を深める時、何かお祝いごとがあった時、そして人が死んだ時も食事を行う。食事と生には密接な関係がある。一つの映画を思い出した。

細田守監督アニメーション映画「サマーウォーズ」
僕がとても好きな映画だけど、この作品にすごく好きなシーンがある。

【以下「サマーウォーズ」ネタバレにつき未視聴の方は閲覧注意】

登場人物のみんなが愛したおばあちゃんこと陣内栄が亡くなった時。
残された家族と主人公の健二、失踪していた天才エンジニア侘助らがまず最初に行ったのが「食事」だった。タイムリミットが押し迫った危機的な状況だったがまず、食事をした。

「食事」という「生」に最も近い行為によって栄おばあちゃんの「死」を弔い、受け入れ、「今生きている自分達にとって何が出来るか？」を模索する。そして物語はクライマックスへと向かっていく。

僕が「生」と「死」と「食事」を初めて深く実感した作品が「サマーウォーズ」だった。そして久々に感じたのが「ハイパーハードボイルドグルメリポート」だった。(この辺は「千と千尋の神隠し」などのジブリ映画にも通ずる部分があるがこの話はまた今度)

【「サマーウォーズ」ネタバレここまで】

「ハイパーハードボイルドグルメリポート」には色んな人間が映される。いつ死んでもおかしくないような人達もいる。毎日が最後の晩餐。
そんな彼らでも食事の時は笑顔になる。極悪ギャングでも、ロシアの僻地で暮らす少年でも。

食事という行為で「生」を実感するのは人間であれば世界中の誰でも共通の感覚なんだろうなと、思う。

７月に新作特番が放送らしい

７月に特番が放映されるらしい。しかもゴールデン進出。タイトルは「ウルトラハイパー ハードボイルド グルメリポート」。長い。有吉弘行さんも出るらしい。
ゴールデン進出にあたって小籔さんがお笑いナタリーに寄せたコメントがとても印象的だったので引用させて頂く。

https://natalie.mu/owarai/news/336921

「今のテレビはどうやねん」みたいなこと言う人がけっこうおるんですけど、この番組に関してはテレビだからできたというか……。（中略）テレビの存在価値みたいなものを感じていただけるんじゃないかと思います。視聴率？ 取れないでしょうね（笑）。でも僕は見てほしいと思ってますよ。今の日本人が見るべき番組ですから。」

今、日本人が見るべきテレビ番組「ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート」は7月15日放送。

繰り返しになるが「ハイパーハードボイルドグルメリポート」はNetflix、Amazon Prime Video等で放送５回分まで配信中。是非。