かばん2019年7月号詠草「朽ちるゆりかご」
かばん2019年7月号詠草「朽ちるゆりかご」 風野瑞人
気がつけば暮れの匂いに満ちているこころの器が割れてゆく音
練乳の黄ばみを帯びた白はじく苺のような血のりの終わり
耳鳴りの止まない側を駆け抜ける救急車のドップラー効果
季節などただのまやかしハナミズキ白い時間を測りかねてる
さびしさをひたすら描いた たっぷりと時間の沁みた色画用紙に
もう行ってしまった電車が待っていたはずの時間の席には誰が
吐くたびにつぎつぎ白く果てる息 レゾンデートルの検索結果
眠っている眠っていないわからない朽ちるという名のいのちのゆりかご
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