かばん2019年6月号詠草 ひとりごとのひとりごと
かばん2019年6月号詠草 ひとりごとのひとりごと
エアコンの室外機さえつめたくていつ頃なのかどこにいるのか
朽ち果てた木の葉を踏むたびする音がふたつの耳へ 知らないシーズン
バルコニーゆっくり近づくサイレンが笑ってつくる不安の横顔
消えていく望みを阻む錠剤のちから健やか あからさまな嘘
くびすじのにぶい痛みをひとつずつ摘まんできてはキーボードで打つ
絶えてゆく種(しゅ)となる日まであと少し「気づかない」とルビ振るハピネス
さびしさで混みあう夜の上り線ガラスに映るオートマタたち
ひとりごと並べ替えてもひとりごとインナーイヤホンを貫く
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