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先人たちの聖地にて未来の扉を開いた9th YEAR BIRTHDAY LIVE

乃木坂46の誕生日を祝うバースデーライブも2021年で9回目を迎えた。舞台は1st YEAR BIRTHDAY LIVEが開催された幕張メッセイベントホール。デビュー以降、着実に人気を高めたグループは今やドームを超満員にする存在であるが今年は配信ライブという形のためこの場に集結した。

1st YEAR BIRTHDAY LIVEと同様にデビューシングル「ぐるぐるカーテン」でライブは幕を開けた。当時34人いた1期生は現在8人。しかし卒業生たちの想いは間違いなく今なお受け継がれている。このライブはそう実感させてくれた。


MCが終わり2曲目は「インフルエンサー」。初めてレコード大賞を受賞した曲でもあり乃木坂46が誇る代表曲だ。白石麻衣、西野七瀬がセンターを務めた楽曲。2人が卒業した今、山下美月と与田祐希の2人がセンターに位置し披露された。
続く「シンクロニシティ」。こちらもレコード大賞受賞曲でグループが重要にしている楽曲である。今回センターを務めたのは梅澤美波。白石麻衣を追いかけ続けた彼女は力強い姿を我々に見せてくれた。

「何度目の青空か?」では生田絵梨花が自慢の歌唱力を存分に見せつけた。彼女がグループ外で培ったものは間違いなく乃木坂46に還元され、強力な武器となっていることを思い知らされた。
「帰り道は遠回りしたくなる」では1年前のバースデーライブで涙を流した遠藤さくらが再びセンターに。彼女はこの1年で大きく成長し、この楽曲を自らのものにしていた。
「君の名は希望」では1期生のエース齋藤飛鳥のセンターによって披露された。8年前のバースデーライブでお披露目となった楽曲は間違いなく今も名曲として生き続けている。


MCを挟み期別のブロックに突入。先陣を切ったのは4期生。「夜明けまで強がらなくていい」、「キスの手裏剣」、そして「Out of the blue」の3曲をフレッシュさ全開でパフォーマンスした。遠藤さくら、賀喜遥香、筒井あやめの3枚看板は功者であることを見せつけ佐藤璃果は新4期として新しい風が間違いなく威力を増していることを実感させた。4期楽曲の新センターである早川聖来は加入当初から今に至る彼女のストーリーを見事1曲で体現してみせた。


3期生ブロックは「逃げ水」、「トキトキメキメキ」、「毎日がBrand new day」のラインナップ。彼女たちは加入直後のFNS歌謡祭で着用した衣装を身に纏った。それはもはや新人と言うことを許さないほど高クオリティであり、3曲それぞれのセンターは大きな成長を感じさせた。

2期生ブロックは「バレッタ」、「アナスターシャ」、「ライブ神」の3曲。絶対的支柱である堀未央奈を中心に2期生独特の雰囲気に包まれていた。前日の前夜祭でボーダー組の紹介もあったが、2期生は今や乃木坂46を支える骨組みのような存在となっている。

1期生ブロックは「制服のマネキン」、「サヨナラの意味」、「狼に口笛を」。モニターに生駒里奈が映し出される演出や星野みなみの力強い表情は当時からのファンの心を激しく打った。また、齋藤飛鳥はグループにおける幻のような存在を観ている者に想像させながらも、笑顔を浮かべ“先”を見せてくれた。そして3曲目では樋口日奈、和田まあや、齋藤飛鳥の1期生におけるアンダーを多く経験したメンバーがフロントを務め、その存在の偉大さを感じさせた。

ここからのMCでは新型コロナウイルスにより異例となったこの1年を振り返る映像と共にパフォーマンスが行われた。まずは白石麻衣卒業シングルとなった「しあわせの保護色」。センターを務めたのは4年前のバースデーライブの本番前に緊張で震え涙を流していた大園桃子。今はその姿はなく、堂々と、かつ彼女独特のオーラに包まれ見事に白石麻衣のポジションを全うした。今回のバースデーライブの大きなハイライトであるだろう。


中止となりSHOWROOM内で行われた2期生ライブの映像後、「ゆっくりと咲く花」。曲が終わった後に寺田蘭世が堀未央奈にタッチした場面は2期生の全てが詰まったこの楽曲をもう1段階意味のあるものにしたのではないだろうか。
コロナ禍で発表した「世界中の隣人よ」ではグループを代表して齋藤飛鳥が医療従事者の方々へメッセージを送った。乃木坂46のエースであることを再認識させた彼女は続く「Route246」でも大きな存在感を放った。「明日がある理由」は齋藤飛鳥が抜け若手が1、2列目を固めるフォーメーション。
続く「ファンタスティック3色パン」は映像研トリオにより3人の最強の世界に引き込まれた。

ファンの人気度抜群、モンスター楽曲の「I see」は無観客ながら間違いなく盛り上がっていることが分かるようなパフォーマンスであった。


続いてはアンダーブロック。「口ほどにもないKISS」、「自惚れビーチ」、「日常」の3曲では各センターに寄り添った演出。特に、もはやライブ定番曲となっている日常では有観客さながらの迫力。燃え盛る炎は北野日奈子の魂そのものに見えた。

「Willderness world」では時を止める演出が曲のカッコ良さを引き立てた。衣装の胸に書かれた「NEOTGSI」はNOGI・Effort・Thanks・Smileの頭文字から成る造語であり、最新曲にも乃木坂46イズムが流れていることを象徴していた。

信頼感抜群の樋口日奈MC後は本編ラストブロック。「いつかできるから今日できる」では与田祐希と齋藤飛鳥が、「おいでシャンプー」では遠藤さくらがセンターとなり「SingOut!」に繋いだ。「おいでシャンプー」では全メンバーがステージを広く動き回りこれぞ乃木坂感と言わんばかりのものであった。

『今の自分には背負うものが大きすぎて。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、と言い聞かせていました。』この気合いと覚悟が見えた山下美月のMC後、本編最後の曲となる「僕は僕を好きになる」を披露。決して明るいとは言えない過去を持つ彼女、恐らく過去の彼女は自分を好きではなかっただろう。しかし彼女は乃木坂46に入り仲間を見つけた。そして、彼女はその背中でとてつもなく広い会場を吸収するほどの存在となった。

アンコールは全メンバーでのライブがラストとなる堀未央奈のセンター曲「そんなバカな・・・」でスタート。各期のメンバーと合流し、最後は手招きで彼女を待つ2期生の元へと駆け寄りいつもの変顔で曲を締めた。加入してすぐに選抜センターという重荷を背負い、様々な意見がある度にそれを自分の実力で跳ね除けた彼女は全体ライブラストとなったこの場でその全てをメンバー、そしてファンに見せつけた。

生田絵梨花の粋な計らいから歌い出した「ダンケシェーン」は秋元真夏のミスすらも温かい空気で受け入れるファンが大好きな乃木坂46を確認した。

キャプテン秋元真夏から堀未央奈へマイクが渡ったMCからラストはもちろん「乃木坂の詩」。全メンバーの先頭に立つ山下美月。以前から彼女に付けられていた“次世代のエース”はもう彼女には似合わない称号となっていた。その姿は誰が見ても間違いなく“乃木坂46のエース”であった。

バースデーライブは過去を振り返り、現在を噛み締めるような気持ちになるものであるが今回のバースデーライブは全体を通して未来への期待が膨らむものとなった。

10年目も乃木坂46は坂を登り続ける。

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