どこでなにを焼いているのか
思えばいつも不思議な気持ちになる。なんでわたしここにいるのかな。ほんの数年前には知らなかった土地に、夫の故郷に、暮らすことになってもう6年ほど経つ。
私の生まれ育った京都の小さい町は、盆地だったのでこじんまりとした空だった。ところがどうですか、ここの空は広い。日暮れまで長い。風が強い。きらいではない。
よく、陶芸やってますというと「これ、ナニ焼きっていうんですか?」と尋ねられることがある。ところがナニ焼きとも答えられない。私は土地に根差さない。
やきものは大阪の陶芸教室で始めた。すごく面白かったので仕事を辞めて、名古屋近郊に暮らしていた両親の家にホームステイしつつ瀬戸の窯業訓練校へ1年通った。またこれが面白かった。
訓練校の後は、東濃地方の磁器メーカーに就職し(ほんまによう行けたわ)、慣れない営業を教わり、毎日出荷したりしながら、となり町に住む訓練校の同級生が教えてくれた貸し工房を一緒に借りて、細々と作った。
その会社を1年半ほどで辞めた。結婚したから。岐阜から西三河に引っ越し、新居のアパートの一室から再出発し、今は建て売り中古一軒家の庭の小さな離れで作業している。
なので、私のやきものは、〇〇焼などのような分類はできない。職業訓練として学んだ瀬戸と働かせてもらった東濃にはお世話になったので、主に瀬戸と東濃の材料を使うことにはしている。
今住んでいるのは西三河。まったく偶然暮らし始めたここで、自分がこれまで見てきたものと、身のまわりにあるもの、自然、わたし自身を作っている生活の中から、思いついたものを作っている。だから、やきものは私にとって、とっても個人的で内面的な作業に思う。
そしてまだ見えていない、自分自身を縛っているもの(自分を責めること、人の評価を気にすること、思い込みなど自由の邪魔になるものいろいろ)に気づいたら、ほどくように意識しながら、楽しいと感じるものを作っていきたいと思っている。今は何が自分のやきものと言えるのか、まだわからない。まだ自由になれていない。
さて、とりあえずこのくらいに。はじめまして、やきものやってるキムラといいます。マイページは用意したものの、初めての記事を書こうか書くまいか迷っていましたが、何かの間違いか20数年前から尊敬していた方がフォローをしてくださり、驚きとともに勇気をいただき、思いきって始めてみました。N K氏、何かの間違いでも感謝します。勘違いして勇気を出してまた書きます。