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はじまりのうたー完結編ー

 「はぁー・・・。はぁー・・・。」
結構走った。息が続かない。
私は立ち止まって息を整える。最近運動をしていないし、出不精だからあまり出かけられていないからかな。
そう思いながら、正面を見る。
そこには、奥に道が広がっていた。だけど、音楽が鳴る方ではそこではなく、右手の方からだった。
右を向く。そこには、大きな建物があった。
大きな建物に見とれていると、後ろから聞き覚えのある声がする。
「あ、まなかだ。どうしたの?」横を振り返れば、まゆだった。
「まゆじゃん。音楽が鳴る方へ走っていったら、ここに辿り着いて。もしかして、まゆも音楽が鳴っていることに気づいて、ここまで走ってきたの?」
「そう。まなかもそうなんだ。」
二人で話していると、正面奥の道から誰かが走ってくる。
目を凝らして見る。
そこには、かれんとアサヒがいた。
「おーい!かれんとアサヒー!!」
私とまゆは大声で二人を呼ぶ。
すると、二人は私たちの呼ぶ声が聞こえたのか、さっきの速度より早く走り、私たちのもとに駆け寄る。
「まなかとまゆじゃん。もしかして、二人も音楽が鳴る方へ走ってきたの?」かれんが口を開く。
「そうそう。二人『も』ということは、かれんとアサヒもその音楽が聞こえて、走ってきたの?」私は言う。
「そうだよ。なんか突然、周りにイヤホンしながら音楽している人がいないからさ、何だろうなって、疑問に思いながら走ってきた。」アサヒはかれんを横目で見ながら、言う。
「私たち四人とも、音楽が鳴っている方へ走ってきたということは・・・。」まゆは頭を抱えながら言う。
すると、また誰かの声が聞こえる。その声も、聞き覚えのある声だった。
「はぁ・・・。はぁ・・・。えっと、あなたたちも音楽が鳴る方へ走ってきたの?」
外見を見ると、麻珠だった。
「そうだよ。」私たちは口をそろえて言う。
「そうなんだ。なんか聞き覚えのある音楽だったし、呼ばれている感覚があったから、走ってきた。」麻珠はそう言う。
「麻珠がここに来て五人。すると、残る一人は言わずもがな、芹奈か・・・。」
まゆはそう言うと、私たち四人も頷く。
「でもさ、なんで音楽だけで集まることが出来たんだろうね。」私は疑問に付す。
「それはさ、みんな『音楽が好き』という共通していることだけで、集まることが出来たんじゃないかな。」かれんは言う。
「でも、なんで突然、私たちにしか聞こえない音楽が聞こえたりしたのだろうね。」今度はアサヒが疑問に付す。
「うーん。それは何でなんだろう・・・。分からない・・・。」私は首を傾げると、他の四人も首を傾げる。
 そこに、ある声が聞こえる。この声は。そう思い、さっき声がした方へ目線を向ける。
芹奈だった。
全員が芹奈を呼ぶと、芹奈はこちらに全速力でこちらに駆け寄ってくる。
そして、芹奈は私に飛びつく。
「みんないるじゃん。あれ、まさかと思うけど、みんな音楽が鳴る方へ走ってきたの?」
私たちは頷く。
「そっかー。でも、折角集まったことだし、何か歌わない?」芹奈は提案する。
「いいねー!」私は同意すると、みんなも頷き同意する。
「何歌うー?」かれんは言う。
「どうしようかー。」まゆは続けて言う。
「やっぱさ、みんなが集まってきた音楽で歌おうよ!その方がなんか感じ良さそうだし。」芹奈はそう言うと、私たちは「良いじゃん。」と同意する。
「あ、曲名ってなんだっけ。」芹奈はすっとぼけるように言う。
「『はじまりのうた』だよー!何忘れているのー!」私は笑いながら芹奈をツッコむ。
「それじゃあ、行くよ。」かれんが言うと、みんなはスタンバイする。
かれんが口を開くと、みんなも口を開き、歌声を奏でる。

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