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神戸はなぜ、GovTechである「アーバンイノベーション神戸」に取り組むのか?

はじめまして。神戸市役所で、アーバンイノベーション神戸の全体プロジェクトマネジメントを行う中沢です。

皆さんは神戸市役所が2017年より、透明でオープンな政府を実現するために行政情報の公開・提供と国民の政策決定への参加を促進するとともに、民間のビジネスを生み出す取り組み、オープンガバメントに積極的に取組はじめたことをご存じでしたか?

 ・テクノロジーを活用し、行政職員と企業が協働で社会課題を解決する「アーバンイノベーション神戸」
 ・神戸市の持つ観光や子育て等の情報を公開する「Open Data KOBE」
 ・職員および市民のデータリテラシーの向上をめざす「神戸市データアカデミー」

これらはすべて、2017年に開始しました。

オープンガバメントに取り組む自治体の中でも、異例の速さといえます。

■オープンガバメントに必要なものとは?

米国では、2009年に当時のオバマ大統領が、「オープンガバメントに関する覚書」を発出したことが有名ですが、その中で行政に対し「透明」「参加」「協働」の3点を求めています。

 「透明」:行政が自治体全体の資産であるデータを開示し、行政の取組・責任を明らかにする
 「参加」:市民・民間事業者が参加し、行政の取組をより効果的かつより質の高いものとする
 「協働」:市民・民間事業者と協働するために、行政が積極的に先端の技術を活用する

さて、ご存じの通り、自治体によるサービスや役務の調達は、公募をするために市の職員が仕様書を作成することが前提となっていますが、行政のプロフェッショナルである職員が仕様書づくりに長けているとは限りません。

このため、特に「協働」(GovernmentにおけるTechnologyの積極活用「GovTech」)についてはその実現が難しいといった実情があります。


■透明・参加・協働のアーバンイノベーション神戸

行政による「協働/Govtech」の難しさがある一方で、神戸市の提供するアーバンイノベーション神戸※は、「透明」「参加」は当然のこととし、「協働/Govtech」を非常に大事にしています。

それは、神戸市が以下2点を正しく理解しているからです。

 ・行政は自身の抱える課題を単独では解決ができず、外部の知見の積極的活用が必須であること
 ・オープンガバメントの重要な機能の一つとして、ビジネスの創出があること

※アーバンイノベーション神戸とは
 2017年に神戸市が開始した、 スタートアップと行政職員が協働する、新たな地域課題解決プロジェクト。テクノロジーを有する民間企業・団体と、神戸市を知悉する職員と企業が協働し、社会課題の解決策を発見、4ヶ月の実証実験を実施する。また、結果に応じ神戸市が調達を行う。
 

アーバンイノベーション神戸の具体的な「協働/Govtech」の工夫には、以下2点があります。

 ・神戸市が民間人材を積極的に登用し、神戸市がプロジェクトマネジメントを行うこと
 ・実績の出た解決策については、費用対効果等に応じ神戸市が発注する

こうした工夫により、課題の約7割において実証実験中に課題を解決し、その後、委託契約を締結するといった実績を達成しています。


■ビジネスの創出、新興企業の支援の側面

アーバンイノベーション神戸による市内外のベンチャーやスタートアップといわれる新興企業や第二創業の支援の側面について少し詳しく言及してみます。

前述の通り、実証実験後に神戸市が対象のサービスを調達していますが、ほかにも①様々な行政が等しく抱える課題および解決のための試験場(サンドボックス) ②神戸市のプレスリリースやイベントでの露出により、参加企業へマーケティングといった機能も提供しています。

言い換えれば、アーバンイノベーション神戸は新興企業が自治体マーケットへアクセスするための「Gateway」となっているのです。


■最後に

このように、アーバンイノベーション神戸は「オープンガバメント」「Gateway」を実装しているものですが、こうした先進的な仕組みが評価され、北海道から九州まで様々な自治体や商工会の方々から日々問い合わせをいただいております。

そして、神戸市は 日本を代表する政令指定都市のひとつです。このため、私たちはアーバンイノベーション神戸で得た知識を、神戸市だけではなく広く様々な自治体に共有し、日本全体の発展に貢献できればと考えています。

次回以降の記事では、過去に取り組んだ課題について解説を行いたいと思いますので、是非ご期待ください。


なお、アーバンイノベーション神戸にご興味をお持ちいただいた自治体の方々は是非以下までご連絡ください。
【事務局連絡先記載】

new_industry@office.city.kobe.lg.jp

【自己紹介】
中沢 久

アーバンイノベーション神戸の中の人。
神戸市の「スタートアップのエコシステムを作るプロジェクトマネージャ募集」に刺激を受けて2018年6月末にNTTコミュニケーション株式会社を退職し、神戸市役所へ。アドレナリン中毒。

趣味:ヨガ・ライブ鑑賞・山登り・ゴルフ・アジアのCasinoめぐり
好物:ニューミュンヘン神戸大使館店、「やげん軟骨の唐揚げ」
その他:神戸軟骨部を不定期で開催

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