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NRで今何が起こってるのか?

 本日は現在のNR環境で起こっているメガリス環境の復活について解説したい。そもそもNRフォーマットはメガリスが一強の環境だったはずだ。そこで海外のNRコミュニティ、Boss Stageは独自のレギュレーションを作成し環境の整備を行ってきた。これによりメガリスやヴェンデットなどの最強デッキは鳴りを潜め、バランスの取れた環境となっていた。
 ところが一昨日、メガリスフールが禁止カードから制限カードに緩和された。ベトールが禁止、ポータル、祝誕が制限であり、ロードオブザレッドなどの強力な儀式モンスターが禁止されているため、フールが緩和されても問題がないと判断されたのだ。

現在のレギュレーション

大会前夜

 メガリスは大幅な規制を受けており、フールを緩和しようという声は以前からあった。その声を受けてついにフールが緩和されたのだ。

 個人的なことになるが、私は以前からメガリスを愛用しており、今回の改定はとてもうれしかった。しかしそれ以上にフールを緩和しても大丈夫なのか、環境が破壊されないか心配だった。

 そこでBoss Stageの方々といろいろ話をしたが、
「展開のエンドカードが規制されている。特殊召喚先がいないからフールは強くない」
「我々は十分なテストプレイをしてきた。メガリスは強すぎるというほどではなかったよ」
「Knoxはメガリスが強すぎるというが、何か我々の知らないコンボでもあるのか?」
などと、フールの強さを疑う声が多かった。

 それを聞いて私も新制限メガリスをテストプレイしたが、回している間、終始笑いが止まらなかった。こんなデッキが許されていいはずがない。あまりにも強すぎる!

 そこで私はフールがどれほど強いかを証明するため、NoRiches#70に参加することになった。以前から日本のコミュニティでも、もしフールが緩和されると大変なことになると言い続けてきたため、ちゃんと優勝しないと嘘になる。

大会当日にも予告ホームランして、さらにハードルを上げた。

伝説の幕開け

 私のビッグマウスが優勝予告を繰り返す中、月曜の深夜4時から第70回NoRichesが開催された。配信はBoss Stageのlemonが担当しており、新制限一発目の大会で、メガリスがどのくらい結果を残せるかが注目されていた。

 その注目に応え、lomonは配信の冒頭で次のように述べ、場を盛り上げている。
「まずはKnoxの試合から観戦しよう。彼は予告通りフールの強さを証明し、私は自分の間違いを指摘されるのか?
とはいえ私は十分なテストプレイをしてきたし、その内容には自信がある。
Knoxは我々の研究を覆せるのだろうか?」

↑配信先

 今回の大会の参加者は20人おり、そのうちメガリスを持ち込んだプレイヤーの数は5人だった。シェア1位ということもあり、配信には幾度もメガリスが登場した。配信のはじめのほうでメガリスが勝っても「これは相手の引きが弱かっただけだ。(メガリスの強さを確認するものとしては)よくない例だ。ノーゲームだ」と解説していた。しかし大会が進みメガリスが勝ち続ける中でその声はどんどん弱々しくなっていった。配信の終わりでは「メガリスは明らかに壊れている。フールは禁止にすべきだよ」と立場が一転していた。

 大会はスイスドロー形式だったが、大会終了までに参加者のほとんど半数が、大会終了を待たずに棄権していった。彼らは「みんながメガリスを回すのに飽きたら起こしてくれ」、「今3‐0で優勝争いに残っているのは、3人中3人ともメガリスじゃないか!」、「ヴェンデットの再来だよ」などと言い残しており、メガリスがどれほど最強だったのかに驚いている様子だった。

私はこの展開に見覚えがある。
 半年前、フルパワーヴェンデットが猛威を振るった時も、参加者が続々と棄権し、ヴェンデットが上位を独占した。ヴェンデットはその後3枚の禁止カードを出し準環境テーマに落ち着いたが、当時の無規制のヴェンデットの強さには目を見張るものがあった。

 今回もまた同じことが起こっている。

 大会が終了しリザルトを見ると、

1位 メガリス (5‐0)
2位 メガリス (4‐1)
3位 メガリス (4‐1)
4位 メガリス (4‐1)

 という結果となった。

 普段優勝者を発表し表彰するFinal Standingでは優勝者の代わりにフールが表彰されるという見たこともないことさえ行われていた。
 かつてのフルパワーヴェンデットの時代でさえ、1位~3位を独占することがあっても、1位~4位まで独占することはなかったはずだ。
 いまNRメガリスの伝説に新たな一章が書き加えられている。この結果を見てBoss Stageの人々も大いに驚き、

「トップ4が全員メガリスじゃないか!」
「この大会でフールがNRで最も強いカードであることが証明されたな」
「こんな大会やらなくても、みんな分かってたさ」
「でもBoss Stageはフールを緩和したぜ」
「Boss StageがPhul (fool) だったよ」
「フールが許されるなら俺のキットちゃんを返してくれ!」

と大興奮の様子だった。

後日譚

 Boss Stageは今回の大会の結果を受け、前回のリミットから3日しかたっていないのにもかかわらず、新たな緊急制限改定を行うといっている。そこではフールが再び禁止カードに指定される(あるいはそれに近い強力なカードが規制される)予定であり、見通しが甘かったと謝罪されている。

個人的にはメガリスを再びぶん回すことができてとても楽しかった。

 ベトールのいないメガリスは、これまでのメガリスとかなり勝手が異なるため、まだ最適解が見つかっていないことが心残りだ。フールの規制は妥当であり優れた判断だと思うが、あと2週間ほど現行メガリスを回したかった。そこで研究途上にあるミラーの作法を突き詰めていきたかった。
 個人的にはミラーでもグラビティドラゴンが強力だと思っていたが、そのあたりを研究する前に、使用不可能となってしまったのが残念だ。

 とはいえ、メガリスというNR界の王の歴史に、新たな伝説の1ページが刻まれるところを見届けることができてとても楽しかった。

 メガリスが規制されグラビティドラゴンが環境から去ると、ようやく罠型デッキに日の目が当たる時代となるかもしれない。メガリスはもうtier1ではなくなるだろうが、来期のNR限定戦も楽しみである。

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