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【数字で見る】Jリーグ各クラブのクラウドファンディング(J1.J2.J3にJFL&地域リーグを加えた計41件を分析)

2020年6月27日(土)、Jリーグが再開しました。(J1の再開日は7月4日)

コロナ禍により、ここに至るまでに各クラブは経営上の大きなダメージを受けている中で、クラウドファンディングで資金調達するクラブが増えています。日本を代表するクラブの一つでもある鹿島アントラーズも先日、「ふるさと納税」と組み合わせた画期的なクラウドファンディングを開始しています。

そこで今回は、現在、そして過去にクラウドファンディング(CF)を実施した各クラブのプロジェクト結果を分析してみます。

分析対象プロジェクトと留意事項

■分析対象

Jリーグ(J1,J2,J3)所属クラブのプロジェクト:20件

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JFL所属クラブのプロジェクト:3件

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地域リーグ所属クラブのプロジェクト:18件

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計:41件 (現在募集中のプロジェクト8件を含む)

■分析対象の抽出方法

大手クラウドファンディング支援「READYFOR」「CAMPFIRE」「Makuake」の3社の各サイトで「Jリーグ」で検索。ヒットした各案件の中から、「Jリーグ(J1、J2、J3」)、「JFL」、「地域リーグ」に所属しているクラブがオーナーとなっているプロジェクトを目視で抽出。

■留意事項

・各クラブの所属カテゴリは、CF実施時のものです。

・上記の通り手作業と目視で対象を抽出しているため抜け漏れがある可能性があります。

・2020年の集計データ及び現在募集中の8件のプロジェクトについては、6月27日時点の情報を基に分析しています。

・以上により、分析内容の網羅性、正確性、適時性を保証するものではありません。

カテゴリ別・プラットフォーム別のクラウドファンディング件数の推移

■カテゴリ別のCF件数と推移

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前述の通り、CFプラットフォーム大手3サービスで実施されているプロジェクト41件の内、Jリーグ所属クラブが20件、JFLが4件、全国の地域クラブが17件となりました。(所属カテゴリはCF実施時のもの)

また、年別の推移は上図の通り、2020年になってからJリーグ各クラブのチャレンジが急増しています。各チームのCFの目的は後述しますが、コロナ渦による各大会やリーグ戦の中止により、地域クラブの全国大会への遠征費用の資金需要が消失した一方、クラブ経営に甚大な影響が及んでいるJリーグ各クラブの危機感が見て取れます。

■プラットフォーム別のCF件数と推移

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全41件中、CAMPFIREが27件と、全体の6割弱を占めています。

ただ、2020年(6月27日時点)に限れば、CAMPFIREの8件に対して、READYFORが5件と追い上げてきています。READYFORは、現在プロジェクト進行中の鹿島アントラーズ、浦和レッズの大型案件も手掛けており、今後一気にシェアを高めていく可能性もあります。

Makuakeは、モノ・プロダクトの開発支援に強いイメージがあるためか、サッカークラブの案件は少なく、2019年以降ゼロです。

各クラブがクラウドファンディングに挑戦する目的

■各クラブのCFの目的

多くのCFの目的は、突き詰めれば「クラブの運営費」に収斂されるわけですが、今回は、「遠征費」「特定プロジェクト」「地域・パートナー支援」「その他クラブ運営費」の4つに分けました。

定義と事例は以下の通りです。

①遠征費

定義:全国大会等、特定の大会・試合に参加するための遠征費

事例:FC淡路島「淡路島発!Jリーグ参入を目指すFC淡路島が全国制覇に挑戦!」

②特定プロジェクト

定義:公式マスコットキャラクターの製作費、ラッピングバス運行費など、資金使用使途が明確な特定のプロジェクトへの支援

事例:FC琉球「県民と共にJ2昇格を目指す!FC琉球ラッピングバスで一人でも多くの方をホーム戦へ」

③地域パートナー支援

定義:クラブの運営のため資金ではなく、地域貢献やパートナー支援を目的としたプロジェクト(広義ではクラブ運営資金と言えますが、今回の分析では切り分けます。)

事例:ベガルタ仙台「震災から復活した伝統芸能をスタジアムでお披露目したい!」

④その他クラブ運営費

定義:上記以外のもので、クラブの運営費、チーム強化費、グラウンド整備費などが含まれます。また、支援金の一部を「遠征費」「特定プロジェクト」に充当するプロジェクトがあっても、メインの資金使途がクラブ運営費の場合はここに含めています。

事例:東京23FC「コロナで年内消滅が現実的に。それでも江戸川と共に乗り越えたい。東京23FCの挑戦」

■目的別のCF件数・構成比

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2019年までは地域クラブによる全国大会遠征費捻出のためのCFチャレンジが多かったのですが、コロナ渦で一変。Jリーグクラブによるクラブ運営費や地域・パートナー支援のプロジェクトも誕生しています。

募集期間と支援者数・支援総額の関係

いざクラウドファンディングに挑戦しようとすると、決めなければならないのが「募集期間」と「目標金額」。

募集期間のデータが取れたのがCAMPFIREの終了済プロジェクト(22件)のみでしたので、この22件の結果をまとめたのが下記です。

■各クラブのCF募集期間

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ちなみに最短のプロジェクトは、ヴィアティン三重(地域クラブ)による「愛媛で共に闘おう★第2弾 地域CL2016 スプリントチャレンジ!」(2016年11月2日~11月13日)というプロジェクト。これは、全国地域チャンピオンズリーグ2016への出場が決まったため、急きょ遠征費用を募ったものと思われます。

■CF募集期間と支援者数(支援総額)の散布図

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募集期間と支援者数・支援総額については、相関関係があるような、ないような。この結果を見ると、必ずしも募集期間を長くすれば支援者数(額)が増えるとは言い切れません。募集期間も20日前後から80日程度まで様々です。

■カテゴリ別のクラウドファンディング目標額・支援総額・支援者数

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これは予想通りですが、JFL地域リーグのクラブよりも、知名度が高くサポーター数も多いJリーグのクラブのほうがCFの目標額も、結果としての支援総額・人数も多い結果に。

支援総額ベスト3のプロジェクト

それでは、実際に多くの支援金が集まったのはどのようなプロジェクトなのでしょうか。

過去に終了したプロジェクト(33件)、現在募集中のプロジェクト(8件)、それぞれの中から支援金を多く集めた(集めている)プロジェクトを紹介します。

■過去に終了したプロジェクトのベスト3

第3位 14,134,500円

コンサドーレ札幌「J1北海道コンサドーレ札幌元主将・河合竜二引退試合を、一緒に盛り上げましょう!」(2019年)

第2位 15,535,000円

清水エスパルス「ファン・サポーターとともにつくる、清水エスパルス25周年記念誌」(2017年)

第1位 18,615,000円

東京ヴェルディ「今こそ、最高の舞台に返り咲く。緑のハートが繋ぐ軌跡を一冊に!」(2018年)

いずれもJリーグ所属のビッグクラブ、そして、遠征や漠然としたチーム運営費ではなく、使い道が明確な特定のプロジェクトに共感とお金が集まっていることが分かります。

■現在募集中のプロジェクトのベスト3

※6月27日0時頃時点での支援状況です。

第3位 44,177,871円(6/27時点)

コンサドーレ札幌「#全道一丸で乗り越えよう!コンサドーレパートナー企業 応援プロジェクト!」(募集終了日:8月22日)

第2位 64,930,000円(6/27時点)

鹿島アントラーズ 「鹿島アントラーズ クラウドファンディング プロジェクト」(募集終了日:7月31日)

第1位 78,861,680円(6/27時点)

浦和レッドダイヤモンズ「NE HEART TOGETHER!~浦和レッズの未来のために」(募集終了日:8月31日)

こちらもいずれもビッグクラブ。資金使途は特定のプロジェクトではなく、クラブの運営費やパートナー企業の支援です。コロナ禍により経営状況が厳しくなっているクラブの力になりたいというファン・サポーターの支援が集まり、既に過去のベスト3プロジェクトを大きく上回る資金を集めています。

また、飲食店支援などのプロジェクトも多く誕生し、メディアに取り上げられることも多くなり、クラウドファンディング自体が一般に広く普及しつつあることも追い風になっています。

現在募集中のプロジェクト

最後に、現在募集中のプロジェクト(上記の3つを除く)を募集終了日が近い順にご紹介。ユニークなプロジェクトや魅力的なリターンも多く設定されています。お気に入りのクラブ、応援したいプロジェクトが見つかったら、支援を検討してみてはいかがでしょうか。

①東京23FC (カテゴリ:地域リーグ 終了日:6月30日)

②ブラウブリッツ秋田 (カテゴリ:J3 終了日:7月15日)

③ベガルタ仙台 (カテゴリ:J1 終了日:7月19日)

④福山シティFC (カテゴリ:地域リーグ 終了日:7月31日)

⑤アビスパ福岡 (カテゴリ:J2 終了日:8月18日)

-------------------------------------------------------------------------------------ここから先は有料(500円)です。有料版をご購入いただくと「全41プロジェクトの分析データのスプレッドシート」をダウンロードいただけます。

スプレッドシートには各プロジェクトに関する以下の項目を入力しています。これにより、ご購入者自身で様々な分析が可能となります。

「クラブ名」「カテゴリ」「プロジェクト名」「資金用途」「開始日」「終了日」「募集期間(日数)」「リターンの最低金額」「同最高金額」「目標金額」「支援総額」「達成率」「支援者数」「(一人当たり)平均支援金額」「プロジェクトのURL」
※「開始日」「募集期間(日数)」は、CAMPFIREの終了案件(22件)のみの入力となっています。

※現在募集中のプロジェクト8件の「支援総額」「達成率」「支援者数」については、6月27日時点のデータ(支援人数・支援総額・達成率)を入力しています。

またおまけとして、以下を記載しています。

・過去に支援総額の少なかったプロジェクト3件

・高額リターンベスト3 ※6/30追記

・CFリピート回数とちょっと気になること

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