JC-120とアンプの話

 Roland JC-120。Jazz Chorus。通称ジャズコ。またはJC。ライブハウスでライブをしたことのあるギタリストならば、ほとんどの人が知っているであろうギターアンプだ。日本全国のライブハウスやスタジオでは、このJC-120と、Marshall JCM2000やDSL100H + 1960Aキャビネット等の組み合わせが定番だと思う。

 俺はJC-120しか使わない。邦ロックでも、メタルでも、オルタナやポストロックでも、できる限りJCを使う。ツインギターの場合は絶対にJCが使いたいと一度は駄々をこねる。それくらいJCしか使わない。

 理由が知りたいだろう。……知り合いだろう?

 なぜ俺がJC-120しか使わないか。それは、どこにでもあるからだ。全国のライブハウス。スタジオ。JC-120は大体どこにでもある。たまにJC-160だったりするが、JC-120は9割方ある。同じ型番のアンプがどこに行っても大体あるのだ。
 これは凄いことで、例えばMarshallは結構あるが、JCM2000だったり、JCM900だったり、DSL100Hだったり、JVM210Hだったり様々だ。たまにケトナーとかメサブギーだったりもする。また、ベースやドラムに至っては逆にどこ行っても同じメーカーですらないことが多い。

 なんでJCがこれほどどこにでもあるのかというと、安くて頑丈だから。整流素子を真空管でなくトランジスタを採用してるため壊れにくい(ここを詳しく語るとダルいのでそういうことだと飲み込んでください)とされているから。日本のRolandが作ってるから。

 どこにでもあるということは、いつでも大体同じ音が出せるということ。これは大きなメリットだ。いや個体差がーって、そりゃあるが、例えばデラリバと6505の差に比べりゃ些細も些細だろ。

 ところで、いつでも同じ音を出すと言えば、アンプを持ち込むという手もある。
 第一に、コンボアンプ・またはヘッドアンプとキャビネットをセットで持ち込む方法。これは全く同じものを毎回使えるので、かなり理想的ではある。メジャーアーティストなんかに多い。ただしクッソ重い。まあ後部座席倒すタイプの車は必要。
 第二に、アンプヘッドを持ち込む方法。これもまあキャビネットが毎回同じ(例えば1960A)モデルのものを使えれば、ある程度同じ音を出せる。しかしキャビネットが適当なもの・別メーカーのものになるとかなり音が変わってしんどい。これで1回痛い目見たことがある。あと重い。後部座席はそのままでいいけど、車は必要。
 第三に、プリアンプを使う方法。これには更に2種類あって、1つは常設アンプのパワーアンプを使う方法。つまりリターン挿しだ。これは結構アンプの性能に出音が左右される。パワーアンプの音に対する影響は思いの外強い。もう1つの方法はパワーアンプも持ち込む方法。最近はPlaytechのアレとか小型パワーアンプが流行っている気がする。アンプヘッドを持ち込むのに似ているが、プリアンプとパワーアンプを別で持ち込んでいる点で多少異なる。パワーアンプを自分で持ち込めばパワーアンプの影響は無くせる訳だ。これは比較的軽い。徒歩や電車移動も可能だ。
 最後に、アンプは何も持ち込まないパターン。これはそのアンプに委ねるしかない。

 この4パターンがあるのだが、まあ①②のパターンは運搬が大変だ。③のパターンは妥協案だが、あまり④と変わらない気がする。④は基本的にアンプの性質が変わらない方がいい。言い換えると、いつでも同じアンプを使えた方がよくて、それはつまりどこにでもあるJC-120を使えば割と現実的に良い解決案では?と思う。

 そもそも、アンプはプリアンプ→パワーアンプ→キャビネット(スピーカー)の順で信号を通る。エフェクターと同じように、後ろの方が影響が強い。つまりギターの音はキャビネット(それとマイキングした外音)の影響が最も強いと言える。とすると②もダメかもしれない。せっかく重いヘッドを運んでも、キャビネットが同じ保障がないのなら、運び損だ。

 てことは、真にいつもと同じ音を出す方法は、①のコンボアンプまたはヘッド+キャビネットを毎回持ち込む、以外に無い。

 ということで私は最大の譲歩として、妥協として、常にJC-120を使うことに決めた。だってボードデカいだけでもイヤだし。あとはエフェクターでなんとかする。おれはそういう人間だ。

 しかしキャビネットやパワーアンプの影響がすごく強いという事実は、例えばKemperやHelix等のアンシミュを使っている人間は頭に入れておいた方がよい認識だろう。

 深夜なので少し攻めた記事書いてみた。最近Plini XいじってたらほぼJC-120みたいな音になったから家でもJCの音欲しい!って人はオススメです。Neural DSP最強!


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