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戦艦ポチョムキン号の反乱

ロシアでは1905年に「戦艦ポチョムキン号の反乱」という事件があった。

黒海艦隊の一つ戦艦ポチョムキン号の水兵たちが起こした反乱で、この出来事を描いた映画「戦艦ポチョムキン」は、エイゼンシュタインによる画期的手法も手伝い、映画史上屈指の名作とされている。

港町オデッサで民衆が惨殺されるシーンは、「映画史上最も有名な6分間」とも言われる

戦艦ポチョムキン号の反乱は、ちょうど日露戦争の敗戦直後に起こっており、専制君主を打倒し共産化へ向かうロシア革命の先鞭となった。


さて、過去の事例を私に思い起こさせたのは、この記事だ。


将官が次々と死亡し暴徒と化すロシア軍

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/03/post-98360.php

この戦争では、艦船同士の戦闘はほとんどないのに、海軍の上級将校が犠牲になっている。先日も、ロシア黒海艦隊のアンドレイ・パリー副司令官(少将昇進を控えていた)が、ウクライナ東部の包囲された都市マリウポリ郊外でウクライナ軍に射殺された。
その主な原因は、~中略~約20万人という大部隊(その多くは若い徴集兵)を命令に従わせるために、将校が前線に出向かざるをえなくなっていたこと
「彼らは最前線にいる部隊に命令を理解させるのに苦労している」と、この外交官は、最近の戦場での情報活動について、匿名を条件に語った。「指揮官は命令を実行させるために現地に赴かざるをえないため、通常では考えられないほど大きな危険にさらされている」。
「何かをするために部隊に命じても、それが実現しない」

このニューズウィークの記事では、元米国海軍大将が「ロシア軍は規律とプロ意識に欠ける」と述べている。

しかし私は、ロシアの若い兵士達は無能なのではなく、戦う気がないのだと思う。むしろサボタージュが始まっていると見做すべきだ。

サボタージュという言葉の語源は、フランス語です。フランス語の「sabotage」からきた言葉で、仕事がうまくいかないとき、そのイライラから木靴で作業用機械を蹴り壊したという話が語源といわれています。
サボタージュとは、労働の質や量を低下させる行為のこと。 しかし、正当なサボタージュであれば、労働条件や労働環境を改善したい労働者の争議行為として刑事免責や民事免責も認められます。

そう考えると全て辻褄が合ってくる。キエフまで30kmのところで愚図愚図していることも、陸空の連携が取れていないことも、ロケットやミサイルといった遠隔攻撃頼りなことも、スコベツキー少将が部下への演説中に射殺されたことも。

日本語の「サボり」もこのフランス語が語源だろう。このサボタージュの最たるものが、ポチョムキン号の反乱なのだ。


しかも今回のウクライナ紛争で、黒海艦隊の副司令官が殺されている。これは死に方があまりに不可解だ。

もしかするとロシア軍内部の反対勢力によるプーチンへの脅しかもしれない。「プーチン閣下、我々が起こしたポチョムキン号の反乱を忘れていませんか」という暗黙のメッセージの可能性もある。報道通りウクライナ側が殺していたとしても、民衆の革命権をちらつかされて、ロシア軍幹部からしたら嫌な予感しかない。

また西側の軍事専門家は無線が傍受されているというが、実はロシア軍の中には、ウクライナ側に情報を流してくれるロシア兵がうようよいるのではないか。内部通報者を守るために「無線が漏れている」と言っている可能性がある。

黒海艦隊は司令官射殺への報復、そして戦艦ポチョムキンの不安を追い払うかのように、数日前からオデッサへの艦砲射撃を激化させている。

また陸地ではチェチェンから過激派部隊を移動させ、サボタージュ姿勢に入った若い徴集兵にプレッシャーをかけていると私は思う。



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