Ringwanderungという衝撃

※だいぶ前に下書きしてたものです。今さらですがあげます。
※最初の「出会い」は自分語りなんで読み飛ばしてOKです。ただ、後に繋がる伏線になるようには書いています。

出会い

 僕は以前からアイドルに興味はあった。しかし、それは中森明菜さんとか、モーニング娘。とか超メジャーどころだけで、ライブと言えば専らバンドか声優だった。
 人並みに欅坂とかFRUITS ZIPPERとかにも興味はあったが、たまにYoutubeで動画を見る程度で、実際にライブを見に行くほどの熱量はなかった。
 そんな2023年8月、とあるバンドのサイン会でリミスタを開いていたら、一組のアイドルユニットを目にした。それが「Ringwanderung」だ。アー写から既に雰囲気が出ていて、思わずYoutubeチャンネルを探して登録した。
 が、その日は夜遅かったので何も見ないで眠ってしまった。
 9月になると資格勉強が佳境に入り、Youtubeで開くのも勉強に役立つ動画や作業用BGMばかりになり、11月になる頃にはすっかり忘れてしまった。
 だが11月3日、僕の運命を変える動画が投下される。2022年LIQUID ROOMで行われた、今のところリンワン唯一のバンドセットワンマン「HURRICANE」だ。試験に受かって浮かれモードな上にバンド+アイドルというカツカレーのような組み合わせである。僕は迷わず再生した。

HARRICANE

 最初に始まったのは「River」5人がドヤ顔で胸元のホコリを払うようなダンスから始まる曲だ。自信に満ちた表情と動きで、一目見てたくさんの練習とライブを積み重ねてきたんだろうという事が想像できた。
 そして、みょんさんの歌い出し。上手い。ただ上手く歌っているだけでなく、わざと言葉の頭を上げるなど、崩し方も上手い。
 続いて出てくるのは花琳さん。メイドさんのような声で、みょんさんからのギャップが凄い。そこから、倫子さん、陽凪さんと繋いでサビは全員で…あれ、皆上手くない?と気づく。そう、この後登場する音々さんも含め、このグループは全員歌が上手いのだ。

 YoutubeCH登録者4000ちょっと、おそらく現場オタクにしか認知されてないような知名度だ。それがこのレベルで歌えるというのは衝撃以外の何物でもなかった。正直、僕がインディーズのアイドルたちをなめていたと認めるしかなかった。
 今まで食わず嫌いしてきた恥ずかしさに、悔しさ、そしてワクワク感に目が離せなくなった。このライブ動画を最後まで見るしかなかった。

パルスが届く

 ライブ中盤になると倫子さんの「まだまだ行きます!全員踊れ!」という煽りとともに、音々さんと陽凪さんが「パルス!」と叫んで人気曲の一つ、「パルス」が始まった。
 「ラ〇ュタやんけ!」と僕以外の多くのオタクも感じたことだろう。
 しかし、この曲はこれだけでは終わらない。ド〇クエ、F〇、シン〇レラ、サ〇ーちゃん、アッ〇ちゃん…数々の名作ゲームやアニメからギリギリ訴えられないレベルでパロディをするという遊び心に満ち溢れていた。
 更に2番ではこのところが道教・修験道の「九字」に、不動明王の真言へと変わる。歌詞で遊び過ぎだろ、と心の中でツッコミつつも、作詞者の引き出しの多さに惹かれていった。
 そして、この曲でも5人はよく動く、その中で乱れずに歌う。プロデューサーもアイドルも只者じゃないと確信するには十分だった。

そして、心に突きササル

 このライブのカメラアングルでは、Aメロで一度みょんさんが見切れるのだが、Bメロはソロパートなので、当然カメラが戻ってくる。
 あれ?
 さっきまで着ていた衣装がない。見切れている間にノースリーブになっていた。そんなことがあるのだろうか。アイドルがライブ中に衣装を脱いでいいとは知らなかった。でも、脱いでるからアリなんだろう。
 そこからのみょんさんはご存じの通り、ブーストがかかったように激しく自由な動き、更に感情のこもった表情と歌になった。ピッコロ大魔王が重たいターバンとマントを脱いで強くなるあれだ。それをリアルにやる人がいたんだ。ここに。
 更に、倫子さんもそこへかぶせて来る。「ここにしか意味を感じない~」のパートでは、もう振付なんて関係ないと言わんばかりに腰に手を当て、文字通り上から目線でがなるように歌う。かと思えば「嘲笑って」と泣いてるかのような、弱弱しい横目でカメラを見つめる。凄いギャップだ。
 そして、ラスサビ。Youtubeの動画で言えば1:07:25のところ、会場と動画の前の99.9%がみょんさんの歌に酔いしれている後ろで、陽凪さんがめちゃくちゃいい表情をしている。「その目で刺して」と顔で歌っていた。これが僕の心に深く突き刺さった。

アイドルで、あきな

 先に述べたように、僕は中森明菜さんのファンである。Youtube Musicで曲を聴き過ぎて、うっかり上位0.9%に入ってしまったくらいには好きだ。だから、名前が「あきな」というだけで注目していたのに、パフォーマンスの面でも見事に刺されてしまった。
 他の動画も見ていってわかったのは、陽凪さんはいつでも全力パフォーマンス、ということだ。自分が前列だろうが後列だろうが、自分の推しカメラだろうが他のメンバーの推しカメラだろうが、そんなのは一切関係ない。音楽が流れているところでは一切手を抜いていなかった。これは誰にでもできることではない。
 演者としての意識の高さ、その人柄に惹かれていくのに時間はかからなかった。

さいごに

 こうして、1人のリンワンオタクが誕生した。
 正直、ライブも推し活も十分やりきったぜ、あとは動画と配信を見ながら余生を過ごすんだ…と思っていたが、まだやり残したことがあったらしい。いや、できてしまった。
 リンワンが頂上に到達するのか、それとも志半ばに遭難してしまうのか。それを見届けるまで、オタクは辞められない。


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