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ボロ船が映える秘境、ライレイ・ビーチ。

アラームが鳴り響くよりも先に、クラビに生息する名の知れない野鳥の声で目が覚めた。

窓を開けると目の前にはプールがある。夕方になると欧米人が泳ぎ始めるが、さすがに早朝から泳いでいる姿は見えなかった。

今日はクラビのアオナンビーチからボートで15分ほどで到着する、ライレイ・ビーチに向かう予定だ。

クラビの人気島、ライレイビーチへ

朝食を済ませ、すぐにビーチに向かった。

ビーチに必ずチケット売り場があるだろうと考えての行動だ。

旅に慣れた今、基本的にあまり情報は調べない。

案の定、ビーチにはボートのチケット売り場があり、ライレイビーチの他に、チキン島やポダ島などに向かうボートも出ている。

チケット売り場に飾っている他の島々の写真が魅力的に映り、少し迷ったが、ライレイビーチ行きのチケットを200バーツほどで購入した。

まだ残り日数があるので焦ることはない。

チケットを購入してすぐに、ボートの運転手に呼ばれた。

どうやら乗客がすぐに集まったので、船を出発させるらしい。

ボロ船が大海原に向かって走り出す。

船は木造のボロい作りだ。中型の船が激突しただけで大破しそうな船に、6人ほどの乗客が乗り込む。

もちろん、安定感がないので乗り込む際に船がかなり傾く。

「本当に大丈夫だろうか」

沖で船が沈没した時の対策を、脳内シミレーションしていた。

旅をしている時、つい癖でやってしまうのだ。

例えば周りに誰もいない田舎でバスを待っている時「このままバスが来なかったらどこで寝ようか。寝ている時に犬に噛まれないかな」など常に最悪のパターンを想定してしまう。

しかし、そんな最悪なパターンは全く起こらないどころか、いつも想定外の事案が代わりに発生してくれる。

旅とはそういうものだ。それが楽しいし、強く思い出に残る。

特に発展途上国などは、先進国に比べて、システムや規則などが整備されていないところが多い。

だからトラブルも頻繁に起こるし、奇想天外なことが起こる。

先進国では、比較的にそういったことが起きないからつまらない。

予想の範疇で旅が終了してしまう。

どこかトラブルを楽しみにしている自分がいるし、トラブルが起きると心の中でガッツポーズをしている。

旅人はみんなそんな人ばかりだろう。

最悪なパターンを想定している間にライレイ・ビーチに到着した。

やはりどこにいっても欧米人ばかりである。

日本人はなぜいないのか。

距離的には日本の方が近いはずなのに、なぜ欧米人ばかりなのだろうかと、少し暗い気持ちで船を降りた。

ボロ船が生まれ変わる島

すぐにこの島を気に入った。広く長いビーチに、先ほどまで「ボロい」と思っていた船が並んでいる。

この島に到着したボロ船は、途端に「趣深いなにか」に見え始める。

島の入り口付近にマップがあった。

どうやらこの島には、少し山を登ったところに、美しい景色が見れるポイントがあるらしい。

特に島内に目的地もなかったので、早速そこに向かうことにした。

命がけの崖登りをする羽目になるとは、思いもせずに。

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